「なりたい自分」コングレス未来学会議 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
なりたい自分
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「なりたい自分になる」というCMが前に良く流されていました。
「ユーキャンでなりたい自分になる」
なんだ、通信教育のCMだったら、もしかするとなりたい自分になるには無駄な努力が必要かもしれないな。
しかし、この作品で描かれる「なりたい自分」になるには努力は必要ありません。娯楽薬があれば、十分です。
娯楽薬。
全てを自分の都合通りに夢見させてくれる魔法の薬。見渡せば、私の周りは「思考停止」というドラッグだらけ。「あの人」「この人」を盲信する世界では、自分という存在は絶対的に無視しなくてはいけない、そんな現代。
しかし、思考を停止させたユートピアの先には必ず、直視できないデストピアが待っています。思考を無視すれば、それはすなわち、私は存在しないも同じ。私は、誰かの人生を生きるだけの生きた屍。
アリ監督は、自己の不在という恐ろしい現実空間へ、ポップなアニメーションという仮想空間を通じて私をいざないます。私は果たして今、存在しているのか?
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