「ウディ・アレンの恋と奇術」マジック・イン・ムーンライト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ウディ・アレンの恋と奇術
ウディ・アレン2014年の監督作品。
ニヒルだが一流のイギリス人マジシャン、スタンリーは、友人からアメリカ人占い師ソフィのインチキを暴いて欲しいと頼まれる。ところが、彼女の才能は元より、彼女の美貌や魅力にすっかり魅了されてしまい…。
いつもなら批評家絶賛のウディ映画だが、本作はちと鈍かったとか。
確かにここ近年の傑作『ミッドナイト・イン・パリ』や『ブルージャスミン』ほどではない。話も特別洗練されたものではなく、少々平凡。
ウディの傑作/名作の類いではない。
でも、
1920年代の南仏のリゾート地の雰囲気。
ジャズ音楽。
洒落た作風にウディらしいインテリでウィットに富んだ軽妙な会話のやり取り。
ウディ映画の醍醐味はそつなく堪能出来る。
それから、天文台のシーンはついつい『ラ・ラ・ランド』と被ってしまった。
自信過剰男のコリン・ファースのハマり具合もさることながら、
やはり、エマ・ストーン! 魅力大爆発!
こんな魅力的でキュートな占い師になら術を掛けられてもいい!?
それにしても、今何をやっても魅せられる。
超常現象など一切信じない自信過剰男の価値観がひっくり返るのは、何だか『トリック』をちょいと彷彿させ、笑える。
滑稽な男と強かで魅力的な女…コミカルでシニカルな男女の恋の駆け引きの様は、これぞウディでブレない。
少々この場を借りて、ウディの今の問題について。
養女へのふしだらな性的行為が本当ならば、100%擁護は出来ない。
が、その養女の証言は、幼い頃の朧気な記憶のみという。
何故かそれを皆して信じるのも疑問だが、それ以上に、
今までウディを尊敬し、ウディ映画への出演を熱望していた輩が一転して、
もう二度とウディの映画には出ない、ウディの映画に出た事を後悔している…などなど、一斉に手のひら返し。中には、ずっと気持ち悪いと思っていたとまで!
ウディの行為と、これまでウディの業績、数多くの名作、現在の映画界の才人である事は全く以て別の事。
どうしてこんな事を軽々しく言えるのか…?
もしも、ウディに否が無かったとした場合、手のひら返した輩はどう言い訳するだろうか?
自分もウディみたいにシニカルな性格あるので。