「編集の妙技、そして奇跡の名演」パパが遺した物語 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
編集の妙技、そして奇跡の名演
ラッセル・クロウ(事故の後遺症に苦しむ作家、ケイティの父)
アマンダ・セイフライド(家族を失った悲しみから自暴自棄に生きる娘)
アーロン・ポール(ジェイクの作品の熱狂的な信奉者で、ケイティの恋人)
クヮヴェンジャネ・ウォレス(誰にも心を開かない黒人の少女)
カイリー・ロジャース(幼少期のケイティ)
そして、ライアン・エッゴールド(ケイティと一度関係を持った男)
その他、実力のあるキャストがワキを固め、思わず見入ってしまったほど緊張感のあるプレイの続出。それを見事にカメラに収め、トリッキーな編集はそれを感じさせないさりげなさ。
ラッセルとアマンダが同じ画面に収まることはあり得ないのに、フラッシュバック的に二人がすれ違う。そのタイミングの見事さ。
はっきり言って、大したストーリーじゃないのに、ここまで共感できる映画になったのは役者の力が大きい。それを引き出したのだとしたら、この監督はただものじゃないな。と思う。
以下、ネタバレになるが、自分へのメモリアルに記入しておく。
・アーロン・ポールってやっぱり上手いんだね。「受け」の演技が抜群。「ブレイキング・バッド」で相当力をつけたんだな。
・ライアン・エッゴールド チョイ役だけど印象的なサイテー男(と言うより、ケイティがサイテーなだけで、それに振りまわされたら当然の仕打ちか)「ブラックリスト」の深入りするほど実力を発揮する男なだけはある。
連続ドラマで主役級のメインキャストは、絶対リハーサル以上の演技をぶっこんでくる。
・ラッセル・クロウ プロデュース業にも関わって、自分の得意技と見てほしい演技をこれでもかと放り込んできた気がする。脚本は彼の意向でだいぶいじったんじゃないか。もし自分が監督だったら彼の登場シーンは半分は削れる。そうすればもっと短くまとまったのに。ま、上手いけどね。
・クヮヴェンジャネ・ウォレス 「ハッシュ・パピー」で最年少ノミネートされた子供……出番少な目だけど、えらく成長したなぁ。見た目も、演技も。
・アマンダ・セイフライド いわゆるビッチにも、理由がある。満たされない日常には、愛情に飢えている子供時代のトラウマが影響して、それでも自分と同じ境遇の少女にはソーシャルワーカー以上の情熱を注ぎ、ついに彼女の心を開く。喜怒哀楽の全部、さらにはセックスシーンもこなし、できない役はもはや無い。無敵か?
・カイリー・ロジャース ダコタ・ファニング以来の天才子役。子役としては、クロエ・モレッツも良かったけど。この子も人気出そう。
2020.9.4