「秘密の記憶は消化不良」秘密 THE TOP SECRET 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
秘密の記憶は消化不良
大友啓史監督によるコミック実写のミステリー。
見た順番が逆になったが、同じく大友×コミック実写×ミステリーの「ミュージアム」はなかなか面白かったが、こちらは…。
死んだ人間の脳の記憶を映像化。
斬新なアイデアだが、20年ほど前にハリウッド・サスペンスで「アンフォゲタブル」があり、特別目新しいものではない。
が、非常に面白味あり、また、一昔前ならDNA特定でさえ絵空事だったかもしれないが、科学捜査が当たり前となった今、本作のような捜査も将来絶体無いとは言い切れない。
被害者が殺される直前まで見ていた記憶を見るのだから、これ以上の確かなものはない。
迷宮入りなんて永久に無くなるだろう。
警察庁の脳内特殊捜査チーム、通称“第九”が挑むある一家の惨殺事件。
死刑執行された犯人である父親の記憶を映像化した所、意外な真犯人の姿を目撃する事に…。
この事件に、“第九”発足メンバーで室長の薪のトラウマとなっている別の事件が交錯。
二つの事件には…と、話は練り込まれているのだが、今一つ釈然としない。
徐々に明かされていくサイコパスである真犯人の素性までは引き込まれたが、そこから交錯し始め主軸もブレ始め、真相や新事実にカタルシスが欠けた。
正式な捜査と認められない脳内捜査、凄惨な殺害シーンを目の当たりにし、他人の記憶とシンクロする事から精神に異常をきたすなども描かれているものの、巧く活かしきれず。
まとまりきれず、面白味も薄れ、それで2時間半は長過ぎる!
コミックを読んでいる人には逆に物足りないのかもしれないが。
生田斗真、岡田将生、松坂桃李、偶然にも揃った少女コミックの実写化で主演を張った若手イケメン実力派。
映画オリジナルキャラだと言う大森南朋、キーとなる新人(?)・織田梨沙の鬼気迫る熱演は見事だが、頑張り損。
ジャニーズの中でも役者業一本で奮闘する生田クンだが、岡田准一ほど注目されないのは時々作品選びに難ありか…?
“TOP SECRET”な秘密など明かされず、他人の脳内の記憶を覗き見するもんじゃないとしたら皮肉。
主観的に見ても客観的に見ても、消化不良。