母と暮せばのレビュー・感想・評価
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親子が成仏するまで
丁寧に昭和の理想の女性像を映像化しているからこそ、
元々クリスチャンが多い地域の長崎で、
元々お人好しな部類の方であっても、
「何であの子だけ?代わってくれたら良かったのに」
と最後に母伸子が口にするのが効いてくる。
亡くした家族が大切だから、
誰しも、他の家庭で家族と同世代の子が生きていたら、
いいなと思う感情を抱いて普通だと思う。
夫を結核で亡くし、長男を戦争で亡くし、
次男までも原爆で亡くし、
失意をどうにか次男の恋人の町子に支えられて3年過ごして、町子を娘のように想う伸子ですら、思うのだ。
吉永小百合も黒木華も、
監督や男性の考える理想的な女性で、
原爆の実際の中では、画にできている部類の生活なので
作品で扱う登場人物それぞれの感情はまだ美しさ優しさを残せている方。
それでも充分もう散々に悲しい。
明らかに憎むべきは戦争そのものなのだが、
負けたアメリカから流れる闇物資で
少し生活に贅沢が出るのもまた事実。
理想的な女性達に、「現実」のスパイスを加える上海のおじさん。
出兵した男性達もまた、元々は女性から産まれて、
お母さん大好きな男の子達だったわけで。
戦時中辛い時寂しい時、母の優しさを思い出した者は沢山あっただろう。
幽霊という設定がゆえ、それを声に出して伝えてくる。
マザコンと叩く評判はわかるが、実際男性ってマザコンな生き物だよなぁと。
もし生きていたら、20代男性はあんなにペラペラと恋心や胸のうちを母親には話さないし、とっくに浩二は町子と新しい家庭の大黒柱。
霊だからこそ童心に還り、全てを言葉に出している。
母には、たとえ息子がいくつでも、大切な子供。
戦争なんかに奪われて、悔しさ悲しさ寂しさこの上ない。この作品を見て、亡くした家族と重ねて、浩二が発する台詞に救われる遺族はきっといると思う。
息子の霊が、3年間母が諦めないから出てこられなかったと言っている通り、母が息子の生存を信じているうちは霊にもなれずにいたということか。
そして母が、現実として息子は亡くなっていると理解できる頃を見計らって出て来ている。
夫や長男と違って、遺体や遺品さえも全くないから、希望を消して亡くなったと認識し生活を進めるのは非常に難しい。
作中、伸子に現実を突きつけるのは、息子の霊にしか出来ない役割なのだろう。
終戦して3年経っても、国民の生活も苦しく、癒えぬ傷を沢山抱えている中での話。
決して良いななどとは言えないが、
身寄りがなくなるまで家族を亡くした母親が少しずつ、息子の霊と共に生きている世界から離れていき、息子のお迎えがある状態で息を引き取り、長く経つことなく発見されて、悲しみ悼まれながらミサまでして貰える最期は、あくまで最期の形だけで見ればかなり恵まれていると思ってしまった。
ミサで、伸子だけでなく遺品もなかった浩二も一緒に天国に送って貰えているという表現があのCGなのかなと。もう霊になることもなく、成仏するのだろう。
伸子はそれまでどれだけ、品位を落とさず、ひとり抱えて苦しんできたか。
町子すら結婚を決めた時、この世に生きる意味も幸せも未練も全てなくなって整理がついたのだろう。
ただし、町子の結婚は町子のご家庭と町子が決めることで。今頃孫が産まれているかもとか想像してしまうのも、浩二が町子を大好きだからすっぱり送り出せないのもよくわかるのだが、あれだけ関わりがありながら町子のご家庭は会話にすらも全く出てこないのがとても謎。
そして、子供をたくさん産んで、って当時の価値観での言葉が何度も出てくるが、現代だと叩かれちゃうかも。
浩二への想いは嬉しく有難くも、断腸の思いで町子には浩二を諦めて幸せになって欲しいと結婚を勧めたが、結婚相手となった黒ちゃんは戦争で足を失くされた方。
恋仲だった女性が、別の者と結婚し幸せになって欲しいと想いを切り替える時、大好きな町子の結婚相手にどこかしら不自由がない方が珍しいほどだったことを、浩二は想像していただろうか。
町子はどの選択をしようとも、お世話をする人生。
それでも、生き残った者が背負う罪悪感や苦悩を、ひとりで感じ続けるよりずっと良い。
話し相手がそばに居続けるだけで良い。
それも難しくなった伸子には、寂しさからか本当なのか、次男の霊との会話をする日常が始まっていき、次第に現実との境目がつかなくなっていったのでは。
それは寂しすぎて、認知症のような状態が進んだのか、一種の逃避だったのか、わからない。
それでも掃除まで欠かさず、助産師の仕事まであって、稼ぎ手がいなくて分家の未亡人でありながら、髪や身だしなみも、言葉も優しさも乱れない伸子は、戦後の、戦死した男性、生き抜いた男性達全ての、理想像。
伸子のお隣に住むおうちこそ実際。
身なりも何もはっきり違いをつけて、画でそれは示してある。
見た目だけでも美しい中で語られる、
状況ではなく気持ち。
まだ学生設定、息子設定だから二宮和也はまぁよく喋るが大人になりきっていない男性の演技がとても上手。
霊になったことで子供に戻ったかのようにお母さん大好きが溢れ出る。笑う演技のみぎこちないが、メンデルスゾーンに大粒の涙を流し、台詞はないが生きていたら良かったのにとやるせない悔しさ悲しみがひしひし伝わる演技がとても良かった。
医大学生が高校の頃には中学生の町子と出会っている。
どんな馴れ初め?
出演者は恥しくないのか?
『人間のすることじゃなか!』
さて、気持は分かるが、寧ろ、それが人間のするあやまちだと思う。実際の台詞は『鬼のアメリカ軍め!』となる。つまり、それが言えないから、誤魔化した台詞。三島由紀夫先生が自決した理由がそこにあると私は考える。
しかも、東京大空襲の指揮を取ったカーチス・ルメイの存在になぜ触れないのか理解出来ない。
学校で『背比べ』を歌っているが『柱の傷は一昨年の、、、』と続く。『プルトニウム爆弾』が投下されたのが、三年前。柱も吹き飛ばされた長崎でそんな歌歌ったのか?
メンデルスゾーンはドイツの作曲家だが、メンデルスゾーンはユダヤ系の作曲家。ナチス・ドイツがどう言った扱いをしたかきちんとリサーチすべきだ。
演出家や脚本家が誰か知らずに見た。分かっていたら見なかった。
ファンタジーと言えど、作品づくりに人称を意識しないとそれは反則になる。
死んだ人間に対して、操を立てる神経が分からない。結局は主人公もやがて死ぬんだろうから、地縛霊のお話。
アメリカ交響曲は1945年の映画。ゆえに主人公が知る由もない。
結論、『皆さんPLAN75に入ろう!』って事か。
皆に優しい母が最後口に出してしまった言葉が本音だろうな…
ネタバレ
泣いた。
原爆で亡くなった息子と、1人で生きている母の話。
泣いた…。
母は原爆症で亡くなったのか、心臓?悪化して亡くなったのか…。
亡くなった人を思い続けまちこを縛り続けるのは良くない。
最後母のセリフ、まちこが代わりに亡くなればよかったって子を持つ親ならみんな思ってしまうんだろうな。
最後までまちこをみんなを大切にしていた母が見せてあの姿がね…。
つら…。
ピカっと光ってインクの瓶が一瞬で溶け、そこから爆風がきて。
戦争はよくない。
23.8.12 テラサ
感動。息子がお迎えに来た説を強く推す
まずは批判も多いラストですが、あれは原爆で亡くなった方々への鎮魂と、祈りだと強く感じた。レクイエムを歌う老若男女、お母さんと手を繋いだ子供、一瞬で失われた沢山の、普通の方々の魂だと思えて涙が溢れた。戦争と原爆というものを書くからには、祈りと鎮魂が込められなくてはいけないと、思うので、ラストの特撮の出来の問題は置いておいて、あれで良かったと思う。あのラストは戦争と原爆で亡くならなくてはならなかった方々へ送られたものであり、「オチ」では無いのだ。天国へ行って欲しいと祈る祈りと共に私は泣きながら見た。
二宮さんは独特の哀愁がある役者だ。黙って見つめただけで悲しみを表す。泣く演技をしなくとも悲しいのだと感じさせる。セリフで説明するわけではない悲しみを内在した存在を演じさせたらピカイチだと私は思っている。
本当はどうなのかはわからないが、母は息子を探して、投下翌日から長い間被爆地を彷徨った時に被爆したのではないかと推察した。
母は無意識に自分の死期が近いことを感じ取っていたのではないだろうか。だからマチコにしつこいくらいに息子を忘れて幸せになって欲しいと言い出し、おじさんに世話になる関係も清算しようとしたのではなかろうかと感じた。息子が未練で亡霊となって近づいてきたのではなく、母があの世に近づいていたから息子が見えるようになったのではないだろうか。ラストで息子がおやすみという時の、悲しいような怖いような表情。息子は母の死が近いことを知っていた。母を心配しながら、たくさんの話の中で息子は、母にこれからの幸せのことや、長生きしてねというような未来の話を一度も言わないのである。
リアルで、老健施設に勤めている家族から聞いた話。気難しい利用者が、「〇〇丁目の角まで、亡くなった息子と旦那が迎えに来ているので、タンスの中のものを風呂敷に全部詰めて欲しい」と訴えるようになったそうだ。その数週間後にその方は亡くなった。私には、風呂敷にぎっしり身の回りのものを詰めて背負ったその方の魂が、旦那さんと息子さんの待つ〇〇丁目の角まで、歩いて行く姿が想像された。全部持って行こうとして、旦那さんと息子に、あの世には持っていけないよと言われたりしなかったであろうかと、想いをはせた。
その話を聞いた後のこの映画である。
なので、息子がお母さんを迎えに来たんだなと、即思えた。お母さんが亡くなる前にマチコが決心できるように誘い、母子共に心の整理もして、何も心配することを残さず行けるような作業を共に行なった。母と暮らした大事な時間だ。
2人芝居の舞台を見ているように進む、淡々と積み重ねる時間は、別れの言葉も言いにこれず、自らの死で母に大きな悲しみを与えてしまった息子の、親孝行の時間であったと思えた。亡くなる前に、息子と想い出を語り合い、ひとときの喜びを感じ、小さなずるさを清算し、立派な母が、悲しさに心の奥も吐露した。マチコへの愛情と複雑な想い。マチコの罪悪感と、そうして確かにある愛情。その時間の切なさ。それを退屈だと感じる人には、死はまだまだ遠いのだろう。
なぜあなたが生きてて自分の子供が死んだのか。と言われた人を実際に知っている。なぜうちの子だけが。と考えてしまうほどに子供を失うということは悲しい。世の中で、それ以上に悲しいことはないのではないかと思えるほどに悲しい。そう言った実際の悲しみを知っているかどうかで、この映画への感じ方は変わり、評価も変わるのかも知れない。
この映画には戦争という大きな悲しみを産み出したものと同時に、「悲しみを抱いた普通の人」の人生。〇〇人と、数字で語られる被害者一人一人の生きた時間に対する想いがあり、祈りがある。ずっと心に残るであろう良い映画であった。
また、現実時間軸では息子が出てくる時の唐突さ。家の暗闇にスッと消えて行く様は実にリアル。お化けってこういうふうに出るよね〜と面白く見た。
比してあの世の家ではライトアップされる舞台的非現実感で差別化されているのも(そっちの演出はあまり好みでは無いが)面白い。
舞台の二人芝居のよう
映画なのに舞台の二人芝居のようでした。
斬新で驚きました!
戦争映画で戦後の日常を取り上げたものは貴重。
数日前、阪神大震災の被災者のその後を取り上げたドキュメンタリーを観て、戦後も震災後も残された人々の生活は似ているなと思いました。
戦争をテーマにしているのに、亡き息子が幽霊となって現れるというリアルとファンタジーの組み合わせの設定に仰天。
原爆の悲惨さを丁寧に扱いながらも、口から産まれたようなおしゃべり息子のおかげで楽しさもたくさんありました。
浩二の婚約者の町子のあっさり具合には涙…ちょっと早くない?
まだ、黒田と町子の二人の関係性が見れたらよかったけど。
でも、町子と浩二の母の関係は素敵でした。
本当に浩二が生きていたら、素敵な夫婦になってただろうに。
賛否が分かれるラスト!私は否の方です…。
なんで、いきなり?オカルトぽくて変過ぎると思いました。
浩二が母を躊躇なく死後の世界に連れて行ってしまうのも戸惑ってしまって。
母としてはその方が幸せかもしれないけど、浩二もそう思ってるようで恐怖に感じました。
最後だけ急ハンドルで方向転換!と感じたので-☆にしました。
期待しすぎた感
吉永小百合さんの演技は本当にすばらしく、涙が出そうになる部分も何回かあったのですが、いかんせんテンポが悪くて入り込めませんでした。導入はすごく面白いですし、話としてはとてもいいと思ったのですが…。
特に??となったのは最後の場面。何回か匂わせはあったけれども、謎の光が出てきていつの間にか亡くなってしまったことがわかる。元々死者が目に見える形で出てくる話ですからファンタジーではあるけれど、最後のシーンは現実味がなさすぎて涙が引っ込んでしまいました。音楽も坂本龍一さんでこれは泣けそうだな〜と思っていたのですが、少し残念でした。😓
すべての人に
wowowの放送を録画で、思いがけず見ることができた幸運に感謝しています。私にとって宝物のような、特別な作品になりそうです。静かな、だけど激しい、悲しい、だけど嬉しい、そんな映画です。
物語は、原爆を投下する爆撃機が、ささやかな日常に忍び寄るところから始まります。歴史に残る攻撃によって、いとも簡単に破壊されてしまった、彼らの日常。
原爆投下は一瞬でした。みるみるうちに溶けていくインク瓶は、雄弁に、そこにいた人びとがどうなったかを想像させます。そして、粉々のガラス片を猛速で真横に運ぶ爆風。激しいのはそれだけ。たったそれだけ。この場面は見事の一言です。金縛りに遭ったように、息もできませんでした。
以降、被爆後の地獄絵図は一切なく、投下3年後の静かな日常生活の描写だけ。それがかえって、悲惨な体験をした人びとの深い深い悲しみを浮き上がらせています。主人公たちはただ一様に、思い出を語るのです。その中に、クスッと笑えるエピソードがふんだんに織り込まれている。それが、彼らの運命の哀しさを一層引き立てます。そう、彼らはみな、思い出に生きている。思い出の中でしか、生きられない。唯一、思い出の世界から現実に生きる道を選ぶのは、原爆で死んだ医学生・浩二の恋人、町子だけ。
死んだときに、母さん!と叫ぶ間さえなく一瞬にして自分の命が消えてしまった、その悲しみを思う。その悲しみに思いが至るのは、単に私が歳を取り、数多の戦争映画やドラマを見て悲惨さを知っているから、ではなく、この作品の力だと思います。浩二は饒舌で明るく、実に愛くるしい青年です。この陽気な子が、すっかり心を塞いで口をつぐみ、うつむいて黙りこんでしまう。そして、すーっと姿が見えなくなってしまう。その哀しみの深さ、重さ…。あとに残された母の、身の置き場もなくなるような、例えようのない寂しさ…。皮肉なことに、浩二の亡霊が現れるたびに、母はこの世に生きるエネルギーを失っていくのです。
物語は、舞台演劇のように進みます。場面転換も、セリフ回しも、ライティングも。ここは好みの分かれるところでしょうが、私は、山田監督は原作者である井上ひさしさんへのオマージュとして、あえてそうしたのでは、と感じました。そうでない演出なら、他の監督に任せればいい、とでも言いたげに。その演出に、すべての登場人物がピタリとはまっています。セリフも、それぞれの人物にピタリとはまっています。どこが違っても、あの感じは出せなかったでしょう。私には、完璧に思えます。
浩二は、母が心配で成仏できなかったのでしょう。母が自分への執着を振り切ったとき、息子の霊魂はやっと、母のそばに来ることができた。と同時に、母が手放した執着はまた、母自身の人生への執着でもあったのです。自分の命にさえ執着がなくなった彼女にとって、残った唯一の心配事は、息子の許嫁、町子の幸せでした。だからこそ、その心配が解決したその日のうちに、母は何も思い残すことなく旅立つことができたのです。こうして、息子は意に反して、母の最期に立ち会うことになってしまったのでしょう。
これ以上のラストはありません。クリスチャンだけでなく、すべての人にとって、死は終わりではないからです。死によって、不完全なこの世の苦しみから解き放たれ、魂にとって真の安楽な次元へと住処を移すことができるのです。主人公母子をクリスチャンに設定したことで、これを無理なく伝えることに成功しています。愛する息子に寄り添われ、夫や長男の待つ世界へと歩を進める母の、満ち足りた笑顔。この世に自分を送り出してくれた母を、魂の安住の地へと導く息子の、誇らしげな仕草。愛にあふれたこの母子の物語に、もっとも相応しいラストだと思います。
町子にとっては、死んだ恋人の母に新しい婚約者を紹介した日は、古い自分との決別の日でもあったと思います。新しい婚約者を得た町子が幸せだったなどと、どうして言えるでしょう。町子は、死んだ恋人を忘れはしません。町子は、浩二の母が強く勧めたことに忠実に従っただけ。まだ浩二を愛していたから。一生、死者の面影を胸に一人で生きていくだけの強さを秘めた女性です。死んだ恋人を、そしてその母を愛していたから、彼女は言われたままの道を選んだのです。片足のない、誠実そうな、しかし浩二とは真逆に冗談の一つも口にしなさそうな、真面目なその人に寄り添う町子の姿から、障害を持つ男と一緒になる覚悟と、過去を振り切って生きようとする強さと、他の男の妻となっても浩二への永遠に変わらぬ愛を抱いて生きていくという決意が、痛いほどに伝わってきました。
母の前に現れた浩二は、亡霊なのか、それとも、生きることに憂き始めた母が生み出した幻影なのか。私は前者だと思います。これは「お話」です。必ずしもリアリティを追及する必要はありません。
では、なぜ、戦死した長男は亡霊となって現れなかったのか?
私は霊の研究家ではありませんが、よく聞く話から想像するに、兄が死んだときはまだ弟がおり、母は一人ではなかった。心配が少ない分、この世に魂が留まる理由がなかったのではないでしょうか。しかし、次男である浩二は、母を一人残してしまった。しかも、母は病弱で、浩二はいつも、母が薬を飲んでいるかを気にかけ、声をかけていました。母への愛に加えて、その優しさと責任感から、浩二は幽霊となって母のそばに来たのです。いつかは別れを告げなければならないなどとは考えもせずに。結果として、別れは告げずに済むのですが…。
これほどまでに静かな反戦映画を、私はほかに知りません。
すべての人に、しっかりと噛みしめて味わってほしい映画です。あの戦争の幾万の犠牲の上に、恵まれた毎日を生きられる私たちが、生きることのかけがえのなさを心に刻みつけるために。
愛されるべきお喋りな息子役をニノが好演しています。 自然で可愛くて...
愛されるべきお喋りな息子役をニノが好演しています。
自然で可愛くて、なんでこのこが亡くなってるんだろと悲しい気持ちにさせられます。
ラストがそれでいいの?と思ってしまう。
母の前に現れた息子はなんだったのか。
亡霊?幻?妄想?
なんだろうなぁーと思ったけれど、本当の息子だったのなら母を連れては行きたくなんかないと思う。
生き残った母が幸せに生きてくれることを願うと思う。
最後母を連れて行くときだけ、一瞬息子が怖かった。
なので戦争で全てを奪われた母親が、身体も心もくたびれて、死期が迫った時の妄想?と思いました。
お世話をしてくれたお嫁さん的な人を先に進ませて。
でもそのこに少しの嫉妬や羨ましさがどうしてもあって。
嫉しさも自分でだめねと正せるくらいの本当にしっかりした、ただ息子が愛しい、戦争に全て奪われた悲しみに打ちひしがれたお母さん。
神を信じていた母親だから、信じる心のままに幻想を最後に作り出した。最期に少しだけおかしくなっていたのだろう。と思います。
戦争、原爆の悲しみを描いた映画だと思いました。
黒木華さん、上海のおじさんもよかったです。
心に響く
五回見ました。
わたしはここまで心に残る作品を
始めてみました。
最後に
お母さんが浩二にむかって
どうしてあの子だけが幸せになるの?
といったあの言葉
その言葉の重みが伝わってきました
それは普通の暮らしをしたかった人々の本音なんだろうなと思います
お兄ちゃんの話をする場面で
浩二にむかって
どうしてあんたは来てくれなかったと?
っていったら浩二が
僕は一瞬で消えたんだよ来たくても来れなかったとさ
っていったとき
一瞬で人の命が消えることの怖さをひどさをツラさが伝わってきました
浩二は会いに来れなかった代わりに、
お母さんを迎えに来たのかなと感じました。
最後、二宮さんが
町子、、、
っていうところで
辛さと悲しさと悔しさと複雑な気持ちになりました。
がっかり
期待していた作品でしたが残念でした。
日本アカデミー賞の各賞というのにも疑問が湧きます。
幽霊で母親に会いにくる息子は死神でした。
吉永さんと二宮くんの大根俳優を除けばしっかりした俳優陣。
ただ、浅野忠信さんが助演男優賞?
そこは「上海のおじさん」を演じた役者さんでしょ。
山田監督も方言をしっかり喋れる役者さんを選んで起用しましょう。
それにしても吉永さんの演技には呆れてしまいますね。
戦後の傷と救い
母が観たいということでレンタルで借りてきて一緒に観たので、予備知識も何もなしなフラットな状態で視聴できた。
終始目に映ったのはキリスト教。
考えてみれば長崎にはたくさんのキリシタンがいて、アメリカはそこに原爆を落としたんだなぁと思った。
多くのキリスト教徒のいる彼らは、同じ神を信じる人達を殺すという事の愚かさに気づけなかったのだろうか…とかまんまと考えさせられたので、観てよかったと思う。
死んだはずの浩二が出てきた理由は明らかにはなっていないが、結果的には伸子の身辺整理をさせるために出てきた感じなので、「お迎え」なのかなと思った。
浩二が見えた時点で伸子は大分参ってしまっていたのだろう。
救いがない、という感想も散見したが、そもそも戦争とは勝敗にかかわらず救いのないものである。
地上での罪を赦し、天国で永遠の安息を与える…といったキリスト教的な最期を迎えられ、伸子は間違いなく救われているのだと思う。
その他、気になった所など。
演出が巧みで、随所に見られる場面転換のうまさは流石だと思った。
逆に「あの世とこの世」の混在のさせかたには苦労したのか、「兄が枕元に立った」というシーンや、最後らへんの浩二がブルーのライトで照らされて戻ってくるシーン(?)はシュールすぎてちょっと笑ってしまった。
しばらく離れていた伸子のところへ町子が婚約者を連れて来て、その相手を浩二の霊前に報告しようとしてできなかったシーンは泣けた。
別れ際の抱擁も良かった。
この辺は一番心動かされて、いつの間にか伸子に感情移入していたのは自分でも驚いた。
亡霊?幽霊?
吉永小百合の映画は、どうしても彼女の色が強く出すぎてしまう印象がありますが(主演だから当然ですが)、今作はそれが少し軽減していたようにも思いました。
さて、浩二はどういう扱いでしょうか?
亡霊?
幽霊?
少なくとも幻覚ではないのでしょうが・・・
現実と回想が入り乱れ、じっくり観ていないと置いて行かれそうになります。
少なくとも、原爆の威力、悲惨さや残された人々の思い、そういった面は非常によく伝わるのですが、所々に入る歌や指揮のシーン。
どこか宗教的な感じがどうしても拭えなかった。
長崎弁に違和感のある反戦ファンタジー
方言で演技するのってきっと難しいのでしょう。多分出身者以外では感じないかもしれないのですが、方言に違和感がありすぎて物語に入り込めませんでした。
だってこの物語のメインとなる母と息子のやり取りの言葉使いがおかしいって致命的でしょ?なんだか長崎弁に博多弁も混じってる印象を受け、九州ひとまとめかい!ってツッコミたくなりました。九州弁ってないから!!各県言葉使い違うから‼‼うーん、放言って独自のリズムがあるので、それこそ今作なら1年なり地元に住んで多少なりとも感覚を覚えてからとかしないときっと誰が演じても無理なんだろうなー。残念ながらそこまでやる役者バカは日本にはいないと思いますが。
あ、でも放言って地元ではない人が見れば特に気にならない事かもしれません。作品自体が幽霊の出てくるファンタジーだから、リアリティーは気にしちゃいけない所なのかもしれませんが・・・しかしながら正直この物語なら舞台は長崎じゃなくても成立するので、無理して原爆絡めない方が自然でいい作品が作れたと思います。
という訳で不自然過ぎて話に入り込めないと作品作りの荒が目立っちゃうんですよね。特にエンディングは酷すぎです。笑いを取りにいってるとしか思えない。何でこうなった?
個人的に一番印象に残ったのは黒木華が女の子を連れて、その子の父親の消息を聞きに行くシーン。父親の訃報を聞いても泣かないでけなげに耐えてる所はこちらが泣けてきます。きっと戦後の日本ではよく見られた光景なんでしょうけど胸が締め付けられます。母と息子のシーンがダメダメだった分、そっちが印象に残りました。
広島、長崎で原爆の実験をしたことはアメリカのやった民間人大量虐殺であり、国際法も無視した絶対に許されない重大犯罪です。そこはもっと世界に訴えるべきでしょう。でもアメリカ人にはもっと直接的な描写で訴えないと、例えこの作品をみても遠回し過ぎて何も伝わらないだろうなーっと思いました。色々と残念。
パトラッシュ、、
全編、まぁまぁいいとは思うのよ。
でもね、ラストで腕が肘掛けから落ちたよw
2人でバージンロードはないんじゃないか??w
で、2人の周りにパトラッシュが見えたよw
最後の合唱の宗教がかった感じもいただけない。
んーーー
なぜ最後にそうなったのか。
ハッピーエンド、いいじゃない。
だったらもっとすっきり終わろうよ。
最後に強いおもいを伝えたかったお兄ちゃんはどこ行っちゃったのよ。
一緒に迎えに来ようよw
あともうちょい、吉永小百合の泥くさいとこ見たかったかなぁ。
私なら母としてもっと恨むし、もっと妬むし、やり場のない怒りと無念さで狂いそうになる。
美しすぎるかな〜
まぁ、今回子どもと観たんで。
戦争を伝える、という意味では役割りを果たしてるんじゃないかなー。
泣きました
感情の緩急がある映画でした。
戦争モノ暗い映画、ではなくところどころに親子のクスッとするエピソードがあったり微笑ましい恋愛模様が描かれていたり。特に、二宮くんと吉永小百合さんの親子の上品で仲睦まじいやり取りには思わずうっとりしてしまう部分もありました。
また、原爆を扱っていながらも直接的な描写を避け登場人物の心情を通して平和とは何か愛とは何かを訴えかけていたのはよかったです。多くの人に見てもらいたい映画だと思いました。
ただ、最後の演出がやりすぎなのでは?と。母親が亡くなる流れということは薄々分かっていましたが、母と息子が肩を組んであの世へ向かっていくというところで少しチープさを感じてしまいました。また、地震や津波は運命と受け入れられるが、戦争は人が作ったもの、運命となんか言えない!(曖昧ですが)という台詞には引っかかりを覚えました。
引き込まれるものがない作品でした
原爆が落ちるシーンや、当時の生活の再現は、見ていてこんな時代があって今がある…と何となく考えさせられるものはありました。
息子が亡くなって、忘れなくて…良く分かるテーマなんですが、あっさり幽霊が登場して、母も幽霊の息子に依存とゆうか、過去に捕らわれたまま、亡くなってく様が、私個人の意見ではありますが、映画のテーマはなんだったのか?とエンドロール見ながら呆然としました…
きっと、日本が戦争から立ち直れたのは、手放して未来に希望をもって歩んできたからだと思うのですが、そこは、町子さんの件で描かれてはいましたので、少し救われました。
二宮くんのインタビューとかも、読んでみましたが、一切魅力がわからなかったです。
歴史的なことを知る、という目的では良いかもしれませんね!
苦しい。
とにかく苦しい。
最後のシーンは、フランダースの犬を初めて読んだ時の感覚を思い出した。
サッドストーリーのハッピーエンド。
人の幸せの基準がこんなにも変わってしまう(捻じ曲げられてしまう?)ことがあるんだなあと思った。
役者さんがとにかく一流の方たちばかりだし、時代に合わせたセットや小道具がすごくてリアルでした。
同じような状況、気持ちを味わった方は沢山いたんだろうなあ…
良かった。
アカデミー賞ノミネートおめでとうございます。
原爆のシーン、とてもよく表現されていました長崎出身ゆえに小さい頃から数々の原爆映画を見てきましたが、一番わかりやすく
「一瞬にして何もかも消えてしまった」ということが表現されていたと思いました。
町子が結婚の挨拶に来たシーンが一番泣きました
あと、長崎弁は上海のおじさんが一番上手かった(笑)もしかして長崎出身?と思うほどに…
吉永さんと二宮くんの雰囲気が素敵
冒頭の白黒での描写は実際の映像とマッチしていて、いい演出だと思いました。
原爆というと、キノコ雲がデカデカと描かれる事が多いですが本作はキノコ雲が出てこなかった。
キノコ雲という大きなものではなく、手のひらサイズのインクのガラス瓶。
これだけで一瞬で全てのものが焼き尽くされたんだなと思わせてくれました。
このシーンは印象的でしたね。
役者としての二宮くんは結構好きな方なんですが、この作品では、より表情が豊かな演技をしてるなと思いました。
お母さんに、お父さんに告げ口するよって、意地悪く言う二宮くんと、少し慌ててる吉永さんが凄く仲の良い親子という感じがして、このシーンは好きですね。
少し心残りなのは母の前だけでなく、町子の前にも現れて話しかけて欲しかったな。
伸子はキリスト教徒として描かれていましたがエンディングが、ちょっとそのテイストが強かったので少し違和感ありました。
でも、短いシーンでも名優が脇を固めてて見応えありましたし、親子の絆に目も潤みました。
涙だけじゃなくて、鼻水ちゃんぽんとか面白さや戦争の怖さとか色んな感情が描かれてるのが良かったです。
古い街並みに田舎にありそうな昔ながらの家、レコードとか少し洋風なテイストもあって、ジブリに出てきそうな風景でファンタジー要素も大きかったのでアニメにしても面白いんじゃないかと思いました。
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