「感動がジワジワと…何度も観たい」母と暮せば こころさんの映画レビュー(感想・評価)
感動がジワジワと…何度も観たい
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私の叔母さんは、長崎の原爆で、学生で動員されていた兵器工場の小学校で、一瞬にして亡くなったそうです。
そして、今は亡き私の母は、焼け野原を探し回った経験がトラウマになって、50年経っても毎夏、夜中に悪夢でうなされていました。
生きていたら、一緒に観に行ったであろうと思い、被爆二世の私一人で観に行ってきました。
山田洋次監督が、井上ひさしさんの戯曲「父と暮らせば」の長崎版」母と暮らせば」の構想を引き継ぎ、描かれた被爆の瞬間の描写は、小さな子どもが観ても大丈夫に配慮されたのか、グロテスクではないもので、素晴らしかったです。
一瞬で亡くなってしまった二宮和也さん演じる医学生の視点からのCGは、
原爆のグロテスクな恐ろしい部分をいっさい排除した上で、人間が作り出した核というものがどれだけの熱と熱風と恐ろしい戦争兵器たのかということをみごとに表現されています。
広島で壊滅的だったのに加えて、もう投下の必要はないと思われていたにも関わらず、違うタイプの核を実験として使用された場面、一般市民の被害者の立場で立ち会った感じさえ感じました。
戦争と平和について、
一瞬亡くなることについて、これは、東日本大震災、交通死亡事故、
当事者、遺族の葛藤、
母の気持ち、
息子、娘の気持ち、
戦争に翻弄される人々の細やかなこころのひだまで
本当に良く描かれています。役者さんたちの演技も、皆さん素晴らかったです。
今の日本人が忘れかけている人間の心の繊細さ、優しさ、無償の愛について考えさせられました。
観終わって、ジワジワと感動が私の中に拡がり、何度も観たいと思いました。
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