劇場公開日 2015年8月1日

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「観おわった後の、この重さはなんだ。」セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター だい茶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5観おわった後の、この重さはなんだ。

2015年8月11日
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鑑賞方法:映画館

'The Salt Of The Earth' (原題:「大地の塩」/邦題 『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』)を観てきた。平日の夕方からの回で、劇場はほぼ満席。

もう、20年もまえになるのか、『WORKERS』に驚愕し、それ以降は写真展が開催される度に訪れた、尊敬し憧れる「生涯旅人」Sebastião Salgadoのドキュメンタリー映画。構成はいたってシンプル。映画そのものは、これまで彼のアクションに注目したことのある人にはとくに目新しさは無いかも知れない。

自らの写真を前にした独白(聞き手は息子か)、Wendersとの会話と語り、息子Julianoによる現場風景。それらをWim Wendersが上手くとりまとめている。

しかし観おわった後のこの重さはなんだ。三者の語りで解き起こされるSebastião Salgadoの人生のストーリーを追体験しながら、大スクリーンに映し出される写真の数々が否応なしに眼に焼きつけられ心を打つ。人間の力と、人間の暴力と、人間の弱さ(と強さ)。

写真展なら自分のバイオリズムで写真を巡る。引き返す。もう一度立ち向かう。だから映画で制作したのかもなと思った。途中で一時停止をしたりトイレに立ってはだめだ。ソフト化されてからではなく、劇場で姿勢を正して観るべき作品なのだろう。『GENESIS』の大判写真集はいま手元を離れているから、『WORKERS』を本棚から出した。

だい茶