「つながりたい男たち、女たち、子供たち」ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
つながりたい男たち、女たち、子供たち
意外にも(失礼!)2度のオスカーノミネートを誇るジェイソン・ライトマン監督作で、アダム・サンドラー、ジェニファー・ガーナー、J・K・シモンズら実力派共演ながら、日本未公開。
まあ確かに地味だし、日本で公開してヒットしたか?と問われたら素直に頷けないが、なかなか悪くはないヒューマン・ドラマ。
今のSNS社会の男たち、女たち、子供たちの群像劇。
登場人物は多く、その関係図も少々複雑。
浮気にハマる倦怠期夫婦と、ポルノサイト閲覧が止められない息子。
スターを夢見るチアリーダーの娘と、その娘の過激な写真をSNS上にアップする母親。
SNSで母親の再婚を知った息子と、関係がぎくしゃくしている父親。
GPSで娘を監視する母親と、その娘。
アノ人とコノ人が出会ったり、アノ子とコノ娘が付き合ったりと、まず関係図を把握するのに一苦労。
チア部の女の子二人が可愛い。ブレイク前のアンセル・エルコートの好演光る。
劇中誰もが、スマホやパソコンをチャカチャカ操作、手離せない。かく言う自分も人の事言えないが…。
メール、ゲーム、ウェブサイト、ポルノ…各々、それぞれに依存。
SNS社会と言うと、どうもイメージが悪い。
LINE無視しただけでイジメ。LINEで知り合って殺人。スマホ操作するとビール瓶で殴る力士もいる。
そんなネット上だけで関係など築けるか。
しかし本作は、SNS社会をただ批判するだけの映画になっていない。
空虚な若者たち、SNSで出会って、悩みを分かち合って…。
否は親たち。写真アップが原因で娘は落選。ある母親の監視は異常なもの。
やりすぎはよくない。
でももっとよくないのは、分かろうとしない事。
別に相手は虚像ではない。
スマホやパソコンの画面の向こうにいるのは、生身の人間。
出会い、触れ合い、繋がり、愛し合いを求めている。
嫌いなのは、ネット上なのをいい事に、何に対してもあれこれボロクソ悪口しか叩けない輩。