「己を知り強くなる。」わたしに会うまでの1600キロ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
己を知り強くなる。
偉大なる母の精神が娘に及ぼした影響はことのほか大きく、
そんな母の死で娘の結婚生活はものの見事に破綻していく。
でもそれは、母親のせいでも何でもなくて、アンタ本人が
弱いからでしょ?と私のような捻くれオバサンは常に思う。
そこで娘は自分探しの旅に出るのだが(こういうのが嫌いで)
自分探しをする人間ほどもう見えている自分から逃げようと
しているとしか思えない。その最中をそこで乗り越えて新た
な人生を模索できるのが自分に残された力(発見)なのになぁ。
だから、環境云々、旅云々、に託けて逃げた自分を脚色して
カッコ良く人生訓を並べる女性連中をいやらしく感じていた。
…なんて煩い愚痴を散々頭に描きながら観てみたのだったが、
歳をとっても可愛いリースと、このお母さん素敵!なローラ
の組み合わせといい、PCTの過酷な大自然の偉大さといい、
背後に流れる音楽といい、ほぼパーフェクトな仕上がりだ。
母親は苦労して自分と弟を女手一つで育ててくれたが、その
人生訓は見事なまでに決して後ろを振り向かず前進あるのみ。
後悔しない生き方はその人の性格にも因るが、そもそも自身
で選びとった人生なのだから、失敗すれば責任も自分にある
というのをきっちり分かっている女性だったんだろうと思う。
自分もそんな生き方をしたかったのに、娘は母が望んだ自分
になれないことを恥じ自堕落な方向へと堕ちていってしまう。
そこを支えてくれた夫をも裏切り、まぁホントに酷い生き方
をしてきた自分をこのPCTで変えるぞ!と意気込んだ物語。
過酷な旅中で彼女は真っ黒な身体で真っ白な自分を取り戻す。
リースの体当たり演技は素晴らしいが、何やかやで容姿とか、
女を利用して得をする場面が多く、そこに嘘がないのはいい。
(その後現在が語られ写真も登場、なるほどご本人も美人だ~)