シン・ゴジラのレビュー・感想・評価
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三権分立を無視した行政はあり得ない パチンコにシン・ゴジラが登場。なんか、がっかりさせられた。
まぁ、あり得ない話だから。どんな表現をして良いのだろうが、三権分立を無視した行政はあり得ない。結果が良くとも、これでは独裁的軍事国家と同じ。内閣総理大臣は権力者ではない。主権在民を忘れては駄目だ。
さて、あり得ない話だが、原発が爆発すれば、この程度ですむ話ではない。
そして、原発が爆発しても、こんな行政対応だけになるのだろうと、この映画を見て、背筋が寒くなる。昨今の出来事(戦争とか天災)を考えて、国民を守る行政対応が早々に望まれる。未然にそして平時のうちに。
『最後は自衛隊の力だ』と主人公の俳優に臭い演技をさせるが、あまりにも臭いので、アイロニーと僕は感じた。
さて、作品の評価だか、完全に消滅してしまった東京を見せてこの映画は終る。その東京の悲惨過ぎる姿に対して、主人公は自身の事後の進退だけを心配している。その演出と演技が意図的に不自然で、我田引水な茶番に見せようとした演出と思った。僕はそこを評価したい。また、もう一つのセリフでは『ビルトアンドスクラップで今まで再生してきた』と臭いセリフを俳優がはくが、そんなんですまないのは、明白なこと。総選挙なんて頭の中をかすめる訳がない。つまり、全てがアイロニーと見て、この作品を評価したい。不謹慎だが面白い。
ゴジラを越えたゴジラ
東京湾に突如異変が起こり、当初、火山などの天変地異だと思われたが、その正体が巨大不明生物だと判明する。ゴジラと命名された巨大不明生物は驚異的な進化を続け、破壊の限りを尽くしていく。当初、ゴジラを軽視していた日本政府も徐々に対応を強化し、自衛隊出動にまで発展するが、それでもゴジラを撃退できない。そして、ついに多国籍軍による核兵器攻撃が決定される。日本での3回目の核兵器使用を阻止するため、日本政府は英知を結集してゴジラの弱点を解明し、予想外の方法でゴジラを撃退していく。
という粗筋だけで判断すると、従来のゴジラ映画路線を踏襲しているように感じられるが、実際には従来作とは一線を画す作品だった。
ただひたすらに、ゴジラ出現という未曽有の危機に立ち向かう日本政府、自衛隊に焦点を当て、時々刻々変化する状況と彼らの対応をドキュメンタリー仕立てでリアルに観せる。登場人物の家族とか生い立ちとか、大抵の作品で描いているものを一切排除しているので、作品としては、直線的であり、膨らみ、奥行きはないとも言えるが、その分、全編、ピーンと張り詰めた緊迫感が途切れることはなく、スピード感ある展開で、迫力満点の作品に仕上がっている。
また、壊滅的な被害を受けた街、放射能など、3.11東日本大震災が思い出され、怪獣映画というよりは、未曽有の危機に直面したら日本社会はどう対応するのかを描いた作品である。
豪華な俳優陣も話題になっていて、竹野内豊、長谷川博己の演技は光るが、個々の演技の競演というよりは、全員が日本社会を体現しているリアルな群像劇という感が強い。ゴジラは凄い迫力、貫禄であるが、本作の本当の主役はゴジラではなく、その出現により、緊急対応が必要なのに、それでもなお縦社会、法律に拘って右往左往する日本政府を代表とする日本社会だろう。
秘すれば花?
ゴジラは飾り物
言わずと知れた本作。ようやく鑑賞。
評判通りの出来。大怪獣のあとしまつとは大違いの、超真面目な映画。万人受けする作品ではないが、個人的にはなかなか好きな作風でした。
やはりスケールが段違い。
庵野秀明監督ということもあって、ゴジラのビジュアルが凄まじい。CGも日本映画とは思えないクオリティ。圧倒的で非の打ち所のない映像は映画館で見れなかったことを悔やむほどに素晴らしい。そのうえお馴染みの音楽が流れた時には緊迫感を観客に与えてくれる。お見事です。
これまでにないキャスト量で、日本映画好きとしてはたまらない。チョイ役までも豪華でそれだけでも見応えはある。しかも皆ハマり役。政界の雰囲気を見事に作りあげ、重厚感のある作品に。長谷川博己を中心に描いたのは大正解。とてもよかった。ただ、石原さとみの役には納得がいかない。何言ってんのかさっぱりだったし、イライラするし。
大真面目で話が難しく、今日続編の発表がされた「ゴジラvsコング」のような面白みは無いし、政界を舞台にしていることもあってエンタメ性にも欠ける。文字も多すぎるし、後半はかなり垂れて退屈。業界用語をもっと丁寧に説明してくれたらもっと面白かっただろうけど、それでもこれまでしっかりと作ってくれたことには感謝。東日本大震災が裏テーマであることも読み取れました。
もうちょい上手くできた気はするけど、満足度は高め。ゴジラ映画ではないけど、政界映画としてはかなりの出来でした。
ゴジラというより政治のお勉強
ゴジラがメインの映画かと思ったら、色々な政府関係者が出てきて、法律の立案や会議、自衛隊の要請、作戦をどのような過程で行えるかを学べる映画だった。
その観点から見ると、こんなにも色々なところを通さなければならない、許可をもらわなければならない、内閣の方達が殉職した場合はこのような対応するのかなど、勉強にはなりました。
ただ、ゴジラ映画としてみると圧倒的に迫力、ハラハラが足りないのは確かです。多くのゴジラファンはそのゴジラという生物がメインなのを当然期待されていたわけですから酷評されても仕方ないかなと思います。
私個人としてはこのような話し合いばかりの映画でも退屈しないタイプですし、軽く勉強にもなったので、そこまで後悔はないです。
ゴジラ
ゴジラの出現から上陸、破壊活動、そしてその対処までその足元にいるリアルな日本政府がどう立ち回っていくかという映画だった。
実際もこのような動きなのだろうなという関係各所諸々にリアリティがあったし、最終的には総理に丸投げというのもしょうがないがコメディ感もあった。
ゴジラの特撮は流石の出来で上手く実際の映像と合わさり迫力のある暴れっぷりを見れて絶望を良く感じることができた。特に子供ゴジラの不気味さが好きだった。
役者の人の演技も皆さん素晴らしく、女性キャラのキャラ付けはやり過ぎ感が否めないものの許容範囲か。
気になったのはセリフ量。リアリティを出す為にやたら法律や専門用語の様な難しい口調をマシンガンの様に掛け合いしているのだが、むしろコントっぽく、説明的だ。
また、主人公指揮下に置かれるキャラクター達が各部署の爪弾き者達というのも意味が分からない。なぜそんな奴らを集めるのか。普通に優秀な奴連れてこい。
最後のヤシオリ作戦。パワーを使い切ったゴジラが簡単にズッコケるのは百歩譲っても、それぞれ車両がある場所へ本当にベストな所に倒れてくれてしかも凝固剤を入れやすい様に口も開けてくれていて親切だなぁと。
結論:面白かった。
やや理想論ではあるが
未知の危機が迫るとき、今作の当時では福島原発事故だったし、いま(2022年)ではCOVID-19である。
それに対する政府機関が適切な処置を打てないというのもリアルな話ではある。
そのリアルさにこだわったという作品らしく、多分こうなるだろうなと言う内閣や官僚の動きの悪いところも、良いところも描き出されており、好感が持てる。
また主役たるゴジラも、ゴジラ視点に立てば「ただ歩いているだけなのに、なぜ皆が虐めてくるのか」という解釈も出来、破壊衝動に駆られた怪物でもなく、子供の味方でもない、ただ体の大きな生物という所も好感が持てる。
惜しむらくは、もし矢口蘭堂なる政治家が存在しなかったら、東京は、いや世界は絶望的な状況になっていたことであろう。
こういうわけで、今作の最大の虚構は、ゴジラではなく政治家・矢口蘭堂である。
陳腐すぎる
日本国が経験した3.11災害を踏まえた傑作映画
究極のゴジラ映画であるとともに、日本国が経験した3.11災害を踏まえた傑作映画であると唸らされた。
総監督及び脚本が庵野秀明の2016年公開の東宝製作配給の日本映画、監督及び特技監督が樋口真嗣。音楽がエヴァンゲリオン同様に鷺巣詩郎、及びゴジラシリーズの音楽で知られる伊福部昭(再使用)。ゴジラキャラクターデザイン・造形は竹谷隆之。
出演が長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子、大杉蓮、柄本明、塚本晋也、高橋一生、余貴美子ら。
まず何より、ゴジラが蒲田君、品川君を経て三段階で変態を遂げるというアイデアと、その具体的造形が素晴らしかった。
そして、想定外の事態に右往左往する政府およぶ御用学者、立川に脱出しようとするが簡単にゴジラにやられてしまう政権幹部を描くストーリー展開が、リアリティを感じさせて実に秀逸。
政府危機の中、共同でゴジラに立ち向かう市川実日子ら変わり者若手官僚たちの姿が、日本の現場力の底力を感じさせて胸を打つ。
市川の好演も有るが、庵野自身がアニメ製作現場の集団創造の能力の高さを信じきれているせいか、加えて観客が自組織の中の優秀な人間が何処に存在するかを把握できているせいか、一定の説得力を感じた。よく出来た上手い脚本と思った。
放射性廃棄物捕食する不明海底生物研究の学者(庵野が尊敬する岡本喜八監督)の海上からの謎の失踪(ゴジラとの合体を暗喩)を冒頭に置き、彼による暗号化資料を解き明かすことでゴジラを倒す薬剤を見出す流れも、とても良く練られている印象。
最後、尻尾に幼体を数体孕んだままゴジラが東京駅脇で凍結して立ち尽くす姿(福島原発の象徴か)が余韻を残し、何とも秀逸。
ん? 待てよ。 絶賛できない粗がボロボロと…。
なすすべのないように見える想定外の事態に対して、政府は、世界はどう動くのか。
震災の経験を踏まえて、
献身的に事態の収束のために動いた人々を描くことで、讃え、
スクラップされても、この国は立ち上がれるというメッセージを込めた作品。
と、テーマは素晴らしい。
でも、おままごとに見えるのはなぜ?
ゴジラは『ゴジラ(1954)』とギャレス監督『GODZILLA ゴジラ』のみ鑑賞。
エヴァと岡本監督『日本のいちばん長い日』未見。
前半の、政府が迷走する様は、コメディの様で、ありえそうで、その展開=目の付け所に唸った。
何が起こっているのか把握しきれず、でも対策を講じなければならず、困惑する大臣たち。
その一方で、粛々と対策本部室を整えていく役人たち。
情報伝達の有様。実務に伴う懸案事項。意志決定の有様。
資材がすぐに用意できるのは、日ごろからどこに何を頼めばよいか、把握しているからであろう。
総務・人事…。
『踊る大捜査線』を思い出すというレビューもあったが、
私は『12人の優しい日本人』や『博士の異常な愛情』を思い出しながら見ていた。
演技力の定評のある役者たちの演技に支えられて、情報は混迷しつつも、テンポよく見せてくれる。
そして、ここで、石原さん演じるカヨコ登場。
総てが絵空事・学芸会の世界になる。
イーオンで鍛えた英語を駆使して、高飛車なエリートの役作りをなさっているのだが、
かえってそれが裏目に出て空回り、コメディにすら見えない。
そして物語も設定のための設定となる。
ゴジラの出自、牧の動向…USAを絡ませる、カヨコを登場させるための設定?
『ゴジラ(1954)』での、ゴジラの誕生や芹沢博士になぞらえているのだろうが、まったく映画の中で活きてこない。「牧教授は人類を試した…(思い出し引用)」という台詞があるが、とってつけたよう…。
それでも、巨災対のメンバーの、これまた、演技力に定評のある役者たちによって、”研究”という地味なシーンも見どころあるものになり、
政府側では、平泉氏演じる里見の、ボケ的なニュアンスを醸しながらも”トップ”の想いが印象に残る。
ここでも、安易な作戦。
B-2の攻撃後に光線を発し始めたのだから、原爆を落としたからと言って、死ぬとは限らず、かえってさらに攻撃性のあるものを開花させる可能性は検案されない。もともと、放射性廃棄物に適応進化した生物と設定させているのに…。ギャグか?
”究極”の設定にするための設定?
そして、ヤシオリ作戦。
USA軍機・新幹線・在来線・重機・爆破。ジオラマを見ているようで楽しい。『しょうぼうじどうしゃ じぷた』の世界や、『シンカリオン』のように変形はしないが、プラレールで遊んでいるようで、テンションが上がる。
ここは、四の五の言わずに、童心に帰って楽しむしかない。
と、ツッコミどころもあるが、見どころもある。
映像も、『ゴジラ(1954)』のオマージュ?と言えるようなところもたくさんある。
(東京タワーは素通りして、国会議事堂・銀座交差点襲撃もオマージュ?)
音楽は、もちろん、伊福部氏のものを多用。
ゴジラの造形もきれいで迫力ある。ポスターにしたいような映像もある。
けれど、なぜだろう。『ゴジラ(1954)』の方が怖い。
そして、痛みがない。
『ゴジラ(1954)』と同じように、逃げ惑う人のシーンはある。避難するべく移動しているシーンもある。避難所のシーンもある。
だが、すべてが、ニュース映像で見ているよう。どこか他人ごとなのだ。
主人公である政府閣僚や巨災対メンバーは、現場に居ず、”安全”な場所にいるからか?
事態を少しでも良くしようと、必死になっている様は描かれるが、熱量が伝わってこない。
『ゴジラ(1954)』は戦争体験と、原爆投下・水爆実験を体験した人たちの手で作られた。
だから、震災を経験した庵野監督たちは、この映画を作ったと、どこかで聞いた。
でも、忘れていやしないか。体験の内容が違う。
『ゴジラ(1954)』の関係者・観客は、ある者は従軍し、ある者は兵器開発に携わり、ある者は空襲で逃げ惑い、ある者は疎開していた。そして、ある者はその生活基盤や家族を失っていただろう。
そして、庵野監督は、どこでどのように震災を経験したのだろうか?東京は、揺れ・地割れや建物にヒビが入ったところもあるが、基本無事だった。そして、東日本が震災・津波に飲み込まれる姿を繰り返し見させられた。その映像を”我が事”として観た人は多いが、”体験”したわけではない。
そして、もう一つの違和感は、働き方。
未曾有の事態に、人々のLifeを守るために、献身的に働く人々。
この映画では時間との闘いという縛りはあるが、
昼夜間・0泊〇日で勤務することを尊いとしているって、なんてブラックな…。80年代の「24時間働けますか?」のノリ。精神論か?
どういうふうに研究しているのか、素人考えだが、スパコンが解析している間、張り付いている必要はあるのか?
最近の脳科学では、ちゃんと睡眠取らないと的確な判断が下せなくなるから、ちゃんと寝る権利ー昼寝だってー推奨されているのに。
エッセンシャルワーカーに強いる負担。
今現実的に起こっているコロナ禍でも、労働状況をと整えることなく、医療従事者・保育士・介護従事者に強いる負担。それでいて、少子化と問題視し、頓珍漢な支援策を打ち出す。
けれど、これは、政府の無策の問題ではなく、この映画の登場人物の働き方を”良し”とする私たちの中にある価値観。それが、こうして世代伝達されていくんだなと心が冷え切ってしまった。
そして、根本的な信念として、核に対する曖昧なスタンス。
細かく考えると、ツッコミどころ満載な映画。
政府目線で、災害対策に物申す的な映画だが、ほころびがボロボロ出てくる…。
<追記2022.6.2>
どうして、この映画がおままごとに見えるのか、考えた。
原爆・水爆を踏まえて、新しい発見が兵器利用されることを断固として拒否し、体現した芹沢博士。『ゴジラ(1954)』の真のテーマ。強烈なるメッセージ。
今作には、このテーマ・メッセージに匹敵するものはない。
オマージュを捧げた? 足元にも及ばない。
ポリティカル・シチュエーション・ムービー
まあ、評判がよくないでしょうね。ゴジラファンからは。だって怪獣映画じゃなくて、政治映画なんだから。
これにそっくりな映画が押井守「パトレーバー2」。平和に飽食したとみえる日本に、突然巨大な仮想テロを出現させ、この国の治安維持や安全保障機構がどう作動して、内部の脆弱さを晒していくかを描いた名作です。
これに対して本作は、国際社会の核の傘に収まり切れない、人類に対する「核の脅威」そのものというべきゴジラが出現したとき、日本と世界はどう対応していくかというものでした。福島原発の暗喩でもあるのでしょうが。
米国が「大使館の安全のため」と称して、日本国内なのに勝手にゴジラを攻撃しようとしたり、それを糊塗するため急遽日本政府からの要請があったように見せかけるとか、いくつか笑えるところがあります。
ただ、いかんせん意外性がなく、キレがない。だから会議シーンは全体的に退屈になってしまいました。
とはいえ庵野さんのゴジラだけキレ抜群で、気持ちが悪く、破壊力抜群。まさに破壊神そのもの。米軍機をあっという間に木っ端微塵にしてしまうところなど、快感でした。もうちょっと壊して欲しかったなあ。
小説にしても面白そう
東京湾に正体不明の巨大生物が出没し、パニックとなる。想定外に日本政府はどう対応するのか。
国立新美術館で公開中の庵野秀明展のチケットをもらったため、行く前に見ておこうと思い、鑑賞しました。公開時から気になっていた映画の一つだったが、見ないまま時が立っていたので、いいきっかけをもらいました。
話には聞いていたけれど、政府の対応や判断を丁寧に描いており、想定外の事態に右往左往する様子の臨場感は格別でした。牧教授の調査など、映像化されていないプロットもあるので、小説にしても面白いのではないかと感じました。
役者もそのキャラに合った演技をしており、政治の動きに躍動感を与えていたように思います。登場人物が多くて、キャラを噛み締める余裕はないのですが(笑)。石原さとみが演じたパターソンは、キャラとして浮きすぎてて、その点は残念でした。
CG感など細かいところ、もうちょっと質を上げて欲しいと思うところはありますが、もう一度見ても楽しめそうな映画でした。
絶妙な構図とセリフ
多分マジメにセリフを最後まで聞こうとしてる人はいなかったんじゃないか。集中して聞くほどあの速さは物凄く疲れます、、が、そのだらだらと前に進まない感じが堅苦しく見ようとするのを辞めた途端面白くなり、さらに絵の移り変わりがとてもスピーディかつ構図がカッコよくて、かなり楽しめました。
ゴジラの活動よりチャーミングな外野の営為にスポットをあてたアングルの面白さは、どうせ庵野が撮るならそうそうこれくらいやってくれてやったね!というのが第一の感想。楽しかった。
しかし俳優の皆さんよう早口で喋る。でもさすがみんなプロできちんと聞き取れる滑舌。石原さとみだけがコミカルで際立ってたけど、ただ状況に呑まれるパニックものゆえにほかの俳優には演技に目が行かず、少し役者泣かせの映画やなと思いました。
やってることは『未知への飛行』に近い
『新世紀エヴァンゲリオン』で有名な庵野秀明が脚本と総監督を務めた話題作。噂は聞いていましたが、何だかんだあって今まで鑑賞したことはありませんでした。ようやく鑑賞できました。
結論ですが、鑑賞前に抱いていた「怪獣映画」のイメージを覆すような作品でした。
日本が舞台の作品で、日本が舞台である必要性があるストーリー。ゴジラの登場するシーンよりも会議室で人間が議論しているシーンの方が多分長い。観ていて『博士の異常な愛情』や『未知への飛行』を思い出しました。人命を取るか、驚異の排除を優先するか。色々と考えさせられる場面も多かったです。
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ある日、東京湾アクアトンネルで崩落事故が発生した。地震か海底火山の噴火であるとする意見が多く挙がったものの確証には至らなかった。そんな中、内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)は、海中に生息する未知の巨大生物によるものだと推測する。会議でそのことに言及するものの荒唐無稽な説である故に全く取り合ってもらえなかったが……。
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とにかく全編を通して台詞が異常に早口で展開されます。怪獣映画なのに会議などのあまり動きのないシーンが多い本作ですが、演者の顔が次々とアップで映し出されたりして、撮影方法で動きを出している印象です。会議室のシーンが非常に多いので、密室会話劇映画のようにストーリーが進みます。
この会話シーンがとにかく面白い。良くも悪くも日本らしく、何かを決めるのにいちいち会議を開いたり、体裁を何よりも気にして最善の策が取れなかったりするところに多くの観客(特に社会人)が共感できるであろう「あるある」が詰まっていて、怪獣映画なのに会話シーンがとにかく面白い。
俳優陣がとても良くて、脇役に至るまで実力のある俳優を揃えていたり、キャラに合ったキャスティングだったりして、細部までこだわって作られた映画なんだと分かります。
本作を観ていて私は『未知への飛行』を想起しました。
核爆弾を積んだアメリカの戦闘機に「ソ連へ核攻撃をしろ」という誤った指令が出てしまい、大統領や幹部や軍の関係者が会議を開き、どうにか攻撃を阻止しようと右往左往するという映画です。「断固として核攻撃を阻止しないといけない」と考える穏健派もいれば、「この機会にソ連に攻撃を仕掛けよう」と提案する強硬派もいる。核攻撃までのタイムリミットが迫る中で色んな考えを持つ人たちが議論を繰り広げるのを見るのが非常に興味深く面白い映画です。
本作『シン・ゴジラ』も、ゴジラへの対策を行う人間たちは様々な思惑があり、激しい意見の対立が起こります。人命を第一に考える人・ゴジラの駆除を第一に考える人・自分の進退を第一に考える人。立場によって意見が違い、そして選択を迫られるという展開。『未知への飛行』とかなり似ていると私は感じました。
ラストの展開も、テンションが上がるような興奮するような、かなり熱い展開になりますので見応えがありました。主流から外れてしまったアウトローたちが奇抜なアイディアと勇気で大怪獣ゴジラに立ち向かう展開は盛り上がりますね。
間違いなく面白い名作でした。オススメです。
全1635件中、101~120件目を表示









