「やや理想論ではあるが」シン・ゴジラ 荒川光線さんの映画レビュー(感想・評価)
やや理想論ではあるが
未知の危機が迫るとき、今作の当時では福島原発事故だったし、いま(2022年)ではCOVID-19である。
それに対する政府機関が適切な処置を打てないというのもリアルな話ではある。
そのリアルさにこだわったという作品らしく、多分こうなるだろうなと言う内閣や官僚の動きの悪いところも、良いところも描き出されており、好感が持てる。
また主役たるゴジラも、ゴジラ視点に立てば「ただ歩いているだけなのに、なぜ皆が虐めてくるのか」という解釈も出来、破壊衝動に駆られた怪物でもなく、子供の味方でもない、ただ体の大きな生物という所も好感が持てる。
惜しむらくは、もし矢口蘭堂なる政治家が存在しなかったら、東京は、いや世界は絶望的な状況になっていたことであろう。
こういうわけで、今作の最大の虚構は、ゴジラではなく政治家・矢口蘭堂である。
コメントする