「新・真・神・進・震・sinゴジラ。 ゴジラよりも、矢口蘭堂の方がよっぽど虚構であるという皮肉。」シン・ゴジラ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
新・真・神・進・震・sinゴジラ。 ゴジラよりも、矢口蘭堂の方がよっぽど虚構であるという皮肉。
破壊王ゴジラの恐怖を描く特撮怪獣映画『ゴジラ』シリーズを、設定も新たにリブート。
突如として出現し、東京の街を蹂躙した”巨大不明生物”。「ゴジラ」と名付けられたこの怪物に対処するため、日本政府は「巨大不明生物特設災害対策本部」(巨災対)を設置。内閣官房副長官の矢口を中心とした各分野のエキスパートが集結し、ゴジラに戦いを挑む…。
総監督、脚本、撮影(D班)、録音(D班)、監督(D班)を務めたのは『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや『風立ちぬ』(声の出演)の、日本を代表する映画監督・庵野秀明。
主人公である内閣官房副長官、矢口蘭堂を演じるのは『地獄でなぜ悪い』『進撃の巨人』シリーズの長谷川博己。
内閣総理大臣補佐官、赤坂秀樹を演じるのはテレビドラマ『BOSS』シリーズや『謝罪の王様』の竹野内豊。
米国大統領特使、カヨコ・アン・パタースンを演じるのは『インシテミル』『進撃の巨人』シリーズの石原さとみ。
内閣官房副長官秘書官、志村祐介を演じるのは『蛇にピアス』『ソラニン』の高良健吾。
巨災対のメンバーの1人である野生生物専門家、尾頭ヒロミを演じるのは『いま、会いにゆきます』『嫌われ松子の一生』の市川実日子。
統合幕僚長、財前正夫を演じるのは『風立ちぬ』『そして父になる』の國村隼。
タバ作戦戦闘団団長、西郷を演じるのは『ALWAYS』シリーズや『モテキ』のピエール瀧。
第一戦車中隊長、池田を演じるのは『海猿』シリーズや『20世紀少年〈最終章〉ぼくらの旗』の斎藤工。
東京湾アクアラインのトンネル崩落事故に巻き込まれたカップルの女を演じるのは、『神さまの言うとおり』『イニシエーション・ラブ』の前田敦子。
巨災対の1人である生物学者、間邦夫を演じるのは『クワイエットルームにようこそ』『沈黙』の塚本晋也。
フリージャーナリスト、早船達也を演じるのは『ピンポン』『カイジ』シリーズの松尾スズキ。
古代生物学者、志賀(仮名)を演じるのは『ジョゼと虎と魚たち』『のぼうの城』の監督で知られる名匠、犬童一心。
内閣官房長官、東竜太を演じるのは『ウォーターボーイズ』シリーズや『悪人』のレジェンド俳優、柄本明。
官邸のベテラン職員、広田静子を演じるのは『かもめ食堂』『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』の片桐はいり。
巨災対の1人である研究者、安田龍彥を演じるのは『耳をすませば』『スウィングガールズ』の名優、高橋一生。
東京都知事、小塚を演じるのは『20世紀少年』シリーズや『カイジ』シリーズの光石研。
内閣総理大臣、大河内清次を演じるのは『踊る大捜査線』シリーズや『ツレがうつになりまして。』の大杉漣。
警察庁長官官房長、沢口龍彦を演じるのは『20世紀少年』シリーズや『エイプリルフールズ』の古田新太。
消防隊隊長を演じるのは『のだめカンタービレ』シリーズや『恋空』の小出恵介。
大怪獣ゴジラのモーションキャプチャを務めるのは『のぼうの城』『風立ちぬ』の、狂言師・野村萬斎。
第40回 日本アカデミー賞において、最優秀作品賞/最優秀監督賞を受賞!✨
第59回 ブルーリボン賞において、作品賞を受賞!
本作の感想はコレだけっ!
💀💥ゴジラが怖いっ!!💥💀
ゴジラ映画において、これ以上の評価点があるだろうか!?
ゴジラが強くて怖い=超オモロい。Q.T.E.
以上、解散ッ!!
…まぁこの映画については公開当時から散々語られているし、それぞれの感想や評論がなかなかに面倒臭いから、あんまり触れたくないんですよねー。
3.11のメタファーだとか、原発事故が東京で起きた時のシミュレーションだとか、官僚批判だの左翼的だのどうたらこうたらと、イデオロギー主義者の巣窟になっている。
それに加えて、怪獣映画オタク内での派閥闘争も絡んできてもうめちゃくちゃ。
特別ゴジラ映画に思い入れがない自分からしてみれば、よくぞここまでの娯楽映画を邦画で作ってくれたッ!と手放しで喜びたい気分でいっぱい。
この映画の成功によって『シン・ウルトラマン』(2022)も『シン・仮面ライダー』(2023)も制作が決定したんだし、特撮ファンとしてこんなに嬉しいことはないよ…😭
とにかく早口で喋りまくるキャラクターたち、字幕によって次々と投入される情報。こういうものが相まって、もう頭の中はキャパオーバー。細かいところはよく分からん。
でもそれでO.K.なんです。分からなくて当然だし、庵野だって分からせようとしていない。
庵野作品の特徴はその「衒学性」にある。「それっぽい」こと、それ自体が最重要なのです。
つまり、「なんかリアルっぽい」「なんか政治劇っぽい」「なんかメッセージが込められているっぽい」が伝わればOKであり、別にその中身はどうでも良い。後は観客が各々考察したりなんだりして勝手に盛り上がってくれというのが、庵野秀明の思惑なんじゃないかな。
メタクソ面白い映画だと思うんだけど、それでもやっぱり「うーん…😞」と思うところはある。
ズバリ言えば、三幕目が弱すぎる。
一幕目のスピード感。コレはもう抜群!
開始5分でゴジラ登場。ボンクラだらけの内閣と、間抜けな総理によるコメディ。
あれよあれよと言ううちに蒲田くんがプッシャーッ🤮グロキモいっ!
そしてまさかの進化!
自衛隊攻撃っ!…と思ったら、民間人がいて撃てない〜💦
攻撃中止!からのゴジラ逃走。
ここまでのスピード感、その気持ちよさは最高!Foo〜〜✨✨
そして第二幕。
巨災対設立。霞ヶ関のエクスペンダブルズ結成。
アメリカから唇怪獣こと石原さとみが襲来💋
牧教授の陰謀とは…?
そして巨大化したシン・ゴジラがあのテーマ曲と共に襲来🦖
しかし、今回は自衛隊もマンキン。ガンガンに攻め続ける。
そして、遂に在日米軍が攻撃。やったかと思いきや…。
ここまでで大体1時間くらい。
半端ない盛り上がり。もうこれは10,000点💮
尻尾だけを見せるという情報不足な登場シーンから徐々にその全貌が明らかになるというサスペンス、上陸して来た蒲田くんのキモさ、そして完璧な成体へと進化したゴジラの神々しさすら感じる圧倒的な威圧感。
形態を変化させることにより描き出される三者三様の恐怖。段階を経てどんどん盛り上がりが増していく作りになっており、全く観客を飽きさせない。
普通なら退屈に感じる会議シーンも、最初はコメディとして描き、事態が悪化してゆくにつれてシリアスな雰囲気に移行してゆくという変化の描き方が絶妙な為、グッと引き込まれてしまう。
エヴァのテーマと共に集結する巨災対の面々。本作はチームものとしての面白さも重要な訳だが、高橋一生や市川実日子、津田寛治といった演技巧者が配されており、彼らの演技力によってそれぞれのキャラクターが生き生きと浮かび上がっている。その為、メンバーが集った時のワクワク感はすごい!コイツらならゴジラをヤッてくれるかも、と期待させてくれます。
会議パートや巨災対パートは、冷静に考えると説明的すぎるセリフが山盛りなんだけど、こっちは情報量の多さで頭がパンクしているのでそんなことには気がつかない。この辺りもおそらく意図されていることなんだろう。ただただ、「うわー、みんな頭いいなぁー✨」と言う単純な感想を抱くばかりである。
んで、問題は東京壊滅後の第三幕。
この映画の第一の山場は初めてゴジラがその姿を表す蒲田くん登場シーン。
そして第二の山場は内閣総辞職ビームによる東京壊滅。
そしてそして、第三幕で行われるゴジラ撃退作戦「ヤシオリ作戦」こそが第三の山場。なのだが、最も盛り上がるべきこの最後の山場が弱い…。
無人在来線爆弾という名称のインパクトはたしかに凄い。まさに声に出して読みたい日本語。でも、そのインパクトに値するだけの画的な面白さは正直言ってなかった。
そもそもヤシオリ作戦自体、ちょっと乗り切れなかったところがある。あれだけのパワーを持つゴジラが、いくらエネルギー不足だったとは言えあんな攻撃でこけるのかなぁ?とか、そんな都合よく口の中に液体突っ込ませられるのかなぁ?とか、そんなことが気になって仕方なかった。
ゴジラがまるっきり原発のメタファーであるが故、あの作戦を描かなければならないと言うのはわかる。
でも、やっぱりゴジラの倒し方としては、いかに荒唐無稽といえども、1954年版が映画的な面白さとしてはベストであり、本作でそれを超えることは出来なかったなぁ、というのが素直な印象である。
あとあの牧博士の曼荼羅。
結局あの謎を解き明かしたところでやることは変わらなかったんだから、なんであんなに引っ張ったのか謎。
あの謎を解いたことによって、ゴジラを冷却するという作戦を思いついたのだとしたら展開的に理解できるんだけれど…。
そもそもこの映画、『劇パト1』(1989)と漫画版パトレイバーの「廃棄物13号編」を一つにしたみたいな作品。
冒頭で黒幕が自殺するというのは帆場のやり口と一緒だし、「廃棄物13号編」ではニシワキ・セルという猛烈な勢いで進化する細胞から生まれた怪獣が東京湾に出現し、自衛隊も災害派遣という体で出動していた。
なんでこんなに似ているのかといえば、企画協力として押井守の秘蔵っ子、神山健治がクレジットされているからだと思うのだが、これらの先行作品と比べると本作はお話の纏め方が正直言って上手くない。ゴジラの倒し方を考えるというのは、すごく難しい事なんだというのは理解出来るのだが、もうちょっとなんとかならんかったんかな…。
『劇パト』では故人である黒幕、帆場の足取りを刑事が追うというシークエンスがあるのだが、そこがめちゃくちゃミステリアスで美しく、そして怖かった。
どうせ『劇パト』のオマージュをやっているのなら、松尾スズキ演じるフリーライターが牧の足取りを追う場面を入れて欲しかった。
両手を上げて大絶賛っ!という感じではないけど、こういう映画が大ヒットしてくれたのは素直に嬉しいし、まだまだ邦画にも希望があるということを教えてくれた。
市川南さんなのかな?庵野秀明にオファーを出したのは。
市川南の作る映画には疑問を抱くことも多いが、この慧眼は素直に凄いと感じる。実写映画の制作者としては大した結果を残していない庵野秀明に、328人もの役者が出演する大作の舵取りを任せたのだから。
そしてその期待に応えた庵野秀明の凄さ。
ここ1〜2年の内閣の動きを見てもわかるように、残念ながら現実世界に矢口蘭堂は存在しなかった。「コロナ」というゴジラの如き脅威は存在していたというのに、これはなんたる皮肉か。
しかし、混迷極まる映画界において、庵野秀明こそが矢口蘭堂になりえる存在であることを証明した。
ここ数年の庵野秀明の活躍ぶりは止まることを知らない。行き着くところまで行ってくれ!庵野秀明!そして早く『シン・ウルトラマン』と『シン・仮面ライダー』を見せてくれ〜😆
※2024年8月、追記
『シン・ウルトラマン』も『シン・仮面ライダー』もパッとしねぇじゃねえか!!どうした庵野秀明!?
次は『シン・宇宙戦艦ヤマト』だという話だが、ぶっちゃけ『ヤマト』には全然興味ねぇぞ!!そんなんしてる場合か庵野秀明!?
> というのが本作の、というより『エヴァ』を含めた庵野作品の特徴なんだと思っています
なるほど! 先月、「エヴァ」4本を一気観したのですが、その際にぼんやり感じたことがなんだったのか、このレビューのおかげで、はっきりしました。ありがとう!
たなたなたなかさんこんにちは。
シンコジラ楽しめてよかったです。私は幼い頃からゴジラ見てきたのでアナログのゴジラのほうが頭から抜けてなくてシンコジラは最後まで観てないのです。
リアルなゴジラなだけに人との交わりの違和感が半端なく感じました。
もう一度挑戦してみたいと思います。