劇場公開日 2016年7月29日

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「特撮映画の歴史を塗り変えた快作!」シン・ゴジラ ハーシー・カイルトラスさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0特撮映画の歴史を塗り変えた快作!

2018年4月25日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

2016年に劇場公開されるや、数々のメディア・ネット上で話題となり、関連商品は品薄状態、この年の映画賞を総ナメするなど、社会現象となったヒット作。

名作名高い1954年版の展開演出はそのままに設定を現代日本の政府・国民に置き換え、迫る巨大な国難にどう立ち向かうか。
アニメ出身の庵野秀明総監督が印象的な映像とセリフで巧みに表現した。

作品のシリアス度、クライマックスの説得力などは54年公開時の時代背景もあり、東日本大震災をベースにした本作をもってしてもやはり前者に幾つもの分がある。
しかし、無理に説得力を持たせず現代の有りのままの日本「国」と「人」が「どうなり得るのか」「どうあってはならないのか」「どうあるべきなのか」を真剣さと皮肉を織りまぜて随所に観客の想像力に委ねる工夫をした。

特撮は過去最高水準の技術を発揮。
荒唐無稽な作品の世界をアナログとデジタルを駆使し見応えある仕上がりになった。
SF映画のように画的に擦りあげ過ぎたり、エンターテイニングに寄り過ぎないリアリティーを取りながらも、東京炎上、ヤシオリ作戦の場面などは特撮映画ならではの観客が高揚するような圧巻の場面を作り上げた。
そしてやはり、ゴジラの存在。
まさに非日常の象徴であり、人類に警鐘を鳴らし続ける不動明王だ。

かつて第1作公開時に特技監督を務めた円谷英二氏が「これまでキワモノ扱いされてきた特撮の分野を大いに発揮し、見返してやりたい。」と語ったそうだが、「ゴジラ」はまさに打って付けの題材だったのであろう。
それを60年以上の歳月を経て樋口真嗣特技監督が再び昇華させた。

特撮映画の魅力を広く世間に再認識させたという意味でも日本映画史に残る傑作となった。

ハーシー・カイルトラス