「やっぱり世間は信用しない方が良いのかも知れん。」シン・ゴジラ クリッターさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり世間は信用しない方が良いのかも知れん。
去年、話題沸騰となり、アカデミー賞も受賞したこの映画。
やっとこさ、レンタルで鑑賞しました。
ゴジラシリーズはハリウッドも含め、全て鑑賞している自分としては、かなりの評判の良さに期待に胸躍らせて観ましたよ。
結果を言うとだ。
言いづらいけど、良かった部分もあれば、個人的には引っかかる部分のが多かったと言うのが、正直な感想。(以下長文)
[良いと思った所]
初代のOPを丸々拝借。(個人的にオォってなった。)
建物の崩れる音、怪獣が倒れ込む音が昔の円谷特撮特有の音だった所。
日本が核に頼らず、自分達の力と知恵を絞って、ゴジラと戦おうとしていた所。
ゴジラの放射能線を吐くシーンで、火の海になった東京が、大空襲っぽかったなぁって所。
[う〜ん、と思った所]
散々言われてきてるが、登場人物のくそ長いかつ、ペラペラ何言ってるか分からん会話。
映画の7割〜8割が政治や専門用語による会議や会話シーンで埋め尽くしてる上に基本、早口気味で喋るから字幕がないとマジで何言ってるか分からん。
リアリティはあんのかも知れんが、正直あくびが止まんねっす。
今までのシリーズより格段に長いのは確か。(まぁこういうテイストの映画だから割り切るしかないか。)
登場人物に関しても、尾頭ヒロミのあの早口で無表情で無機質な喋り方に「君はアンドロイドか」と思った。
たくさん登場人物がいる中でも一際浮いてる。
あとカヨコ。
日本語で話してんのにカタカナの単語を、いちいち英語口調で言わないでくれ。何だか見てて恥ずかしくなる。
伊福部の音楽多用。
別に、悪くはないんだけどぶっちゃけこの映画と伊福部の音楽は合わないと思った。(特に「三大怪獣地球最大の決戦」で使われた音楽がエンドロールで流れた時は「何でやねん、全然マッチしてねぇよ」ってなった。)
なんか「どう?懐かしいでしょ?リスペクト感じるでしょ?」みたいな使い方がかえって鼻につく。
昔の曲を流しまくればいいってもんじゃないぞ、庵野さんよ。
ゴジラの造形や設定。
最初に出てきたお目目パッチリで血を出しながら這う生物を見て申し訳ないがドン引き。
変形するとは聞いてたが、これがゴジラかい…と。
そのあと初代に似た姿に変形するんだが、顎外れたり、背鰭からビーム乱射したり(宇宙怪獣かよw)、尻尾から出したり。
確かに今までも卵(ミニラ)があったり、空飛んだり、シェーしたり、アンギラスと喋ったり、紅くなったり、白眼だったりしてたから、まぁ百歩譲るとしても、ちょいとやり過ぎじゃないかと思った。(ちょっと受け入れるのに時間かかるなぁ、あれはww)
身長に関しても、2014年版のギャレゴジが108.2mだったのに対し、今回は118.5m。
申し訳程度に10mでかくするだけなら、いっそのこと150m位でかくすればいいじゃないかとも思う。
映画内に入ってるであろうエヴァの要素にしても、正直、エヴァなんか全く興味がないから、どこでエヴァのBGMが使われたのかも全く分からず。
ゴジラを語りたいのに、エヴァエヴァ騒がれても悪いが困る。(エヴァファンごめんよ。)
[ダメダメだなと思った所]
CG、これに尽きる。
建物が破壊されるエフェクトはそれなりなのに、肝心のゴジラの重厚感が全く伝わって来ない。
誰かも言っていた様に、マジでPS2レベルで、ジュラシック・パーク1作目の恐竜のCGに毛が生えたレベル。
ギャレゴジと見比べてみれば違いは一目瞭然。
ギャレゴジもフルCGだったが、ズシンとした重厚感が備わってた。
対してこの映画のゴジラは動きがロボットみたいで意思も感じられず、全くと言っていいほど重み0。
未だに、こんなショボい物しか作れないなら最初から伝統の着ぐるみで撮影した方がずっとマシだったろ。(てか庵野も樋口もCG嫌いみたいなこと言ってなかった?嫌い嫌い言いながら何で使ってんのさ。ツンデレ?)
これを言うと「ハリウッドと比べるな、日本にしちゃ頑張ってる」ってなるだろうけど、残念ながら差異はあれど、昨今のアメコミ映画やトランスフォーマー、ジュラシックシリーズ等と同じ料金で公開してた以上、もう何も言い訳には出来ない。
比べられたくなければ、それこそ日本流の着ぐるみで撮るべきだった。
白組には申し訳ないが、まだまだ日本は、技術水準が低いし追いついてない。そう感じた。
(2016年の時点でこれならもう望み薄。無理してCG使わない方が良い。見苦しいだけ。)
長くなっちまったが総括すると、期待しすぎたせいか「話題作の割にはこんなもんか…」と言うのが全体的な印象。
やっぱり世間はあまり当てにしない方が良いのかも知れん。
(逆に自分には面白いと思った物が世間では評判よくなかったりするから、分からんもんだ。)
でも、かつてのゴジラシリーズ30作も色んな作風があり、出来、不出来もあったからこの映画も数あるゴジラ映画の内の1本として、考えれば、まぁこれでいいかと言うのもある。
この映画のタイトル「シン・ゴジラ」の「シン」は個人的には「神」でも「真」でもなく、「新」です。(長文失礼)