「前評判に違わぬ出来栄え」シン・ゴジラ Yakiimoyaさんの映画レビュー(感想・評価)
前評判に違わぬ出来栄え
庵野ゴジラ、大変良かった!116分と、比較的長い上映時間だが一瞬も退屈する瞬間がない映画は久々である。
何と言っても上陸後の圧倒的な破壊力!これぞ災害の象徴たるゴジラ!と思わず拍手したくなった。同時に、ビルが倒れ電車や車は小石のごとく跳ね飛ばされる様がリアルで、恐怖すら感じた。東日本大震災の復興も半ばで熊本大地震の直後と言っていいこの時期に公開していいの?と心配した。しかし、被災者に対する監督からのメッセージともとれる台詞を最後にキチンと挿入するあたり、心憎い配慮があるではないか。
「不明生物」出現時には「これがゴジラ?」と思ってしまったが、なるほどそう来たか!と思わず膝を叩きたくなった。ゴジラのフォルムそのものはこれまでの日本版を踏襲し、なおかつ背中や尻尾からも放射能を放出する姿はまさに無敵!さらにハリウッド版ゴジラへのオマージュか、無性生殖で子ゴジラを生み出そうとするあたり、庵野監督の遊び心と懐の深さを感じた。
また噂に聞いていたとおり、自衛隊の装備や兵器、政府の会議の様子は細部まで拘ったリアル感がある(らしい。本物を見たことはないので)。これも見どころの一つであり、オタク系の人たちでも納得の出来栄えではないだろうか。
ストーリーそのものはひねりも大どんでん返しもなく、第一作ゴジラのリメイクと言って良い。結末はほとんど分かっている。しかしその作り込み、細部へのこだわりによって映画の中に入りっぱなしの2時間であった。しいて言うのなら、尺の関係かキャスト(特に石原さとみ)のセリフ回しが早口すぎて、理解が追いつかない場面が多い。発言内容が理解できなくても全体的なストーリーはちゃんと分かるのだが、この点を考慮して4.5点としたい。