「最後までぬかりなく、濃かった。」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5最後までぬかりなく、濃かった。

2019年10月10日
PCから投稿

前編、後編通して、古典的なものから最新までを織り交ぜ、最適かつ得意な手法で柔軟に作りこまれた映像が濃く、とても見ごたえがあった。
もし巨人が全てCGだったらあの迫力はでなかったろうし、かといってスーツのみだけでもこのご時世、滑稽に映ったろう。つなぐとスムーズで一つのシーンに見える、見せる技が心地よかった。
世界観、関係性を出すためと思うが群衆単位で扱う前半に比べ、後半は個対個が目立ち、アクションもドラマも濃密だったように感じる。いずれにせよこの内容で1本にまとめられると見る方も息切れしそうで、2本仕立てはちょうどよかった。
(むしろ2本仕立てだからコッテリ作りこんだのか)

偽りの恐怖による支配と安定。飼われて生きる安心。真実と自由への渇望。
三つ巴のほこたて対決。その凄まじさよ。
壁とは何のメタファか。
国やある規模の集団とそれ以外を仕切るもの、とも考えられるけれど、案外、個人の中で日々起きる葛藤、無意識のうちに居座っている固定概念と当てはめることもできる。なら信じたいものを信じるうちは己の恐怖に飼いならされているだけなのかもしれず、原作云々においてはこの作品こそ壁の外にあるものなんじゃないだろうかとも思った。
総じて、渾身の一撃を食らったかのようなエンタメ大作と、原作知らずは大いに楽しむ。

しかしファイトシーンの熱量は韓国映画かと思うくらい中だるみなくアツかった。
なかなかこうはいかない。
あっぱれ。

N.river