「映像"だけ"は凄い」進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
映像"だけ"は凄い
前編で感じた原作からの設定変更、ズレ、すべてが最悪の方向でまとまってしまった。
まず明かされるこの世界の謎。我々の現実世界とリンクしている点について。
まあ前編で不発弾やらヘリやらが出てきた時点で割れたも同然のネタだけど、いきなり原作の世界観からかけ離れた場所で、かけ離れた映像を見せられるとショックは大きい。
……それにしてもさぁ。
「実はリアルな世界とリンクしていたのだ」というネタは、「猿の惑星」以来、もうゲップが出るくらい見てきて飽き飽きしてるんですけど。
こんな新味が何もない設定をドヤ顔で見せられてもうんざりするだけ。
それに、巨人がハイオハザードによる「感染」なら、一度壁内に巨人の侵入を許したからには、今後壁内で突然巨人になってしまう人も出てしまうのでは?とか、無知性巨人とエレンたちの違いは?とか、疑問点がそれこそ湧いて出てくる。
より詳しい説明があるのかと思いきや、これだけ。これで説明しきったつもりらしい。
次にシキシマの革命論。
壁を壊せば、政府転覆以前に人類そのものが危ないのだが、それを考慮する気配はない。
世界を滅ぼして征服するのだ!!みたいな子供向けマンガの超安っぽい「悪者の理屈」をこんなところで見せられても、失笑するだけ。
で、ケッサクなのが、政府転覆を狙うシキシマと、巨人の恐怖に人民を曝すことによって恐怖で支配しようとする政府側が、「外の壁の穴は塞がない」という点で利害が一致していること。
何のブラックジョークだ。
で、政府側もおかしいのは、壁が破られて2年経っているわけで、恐怖で人を支配するのはいいけど、奪われたままだと政府に対する反感は増すのだが?ということで、そろそろ壁を塞いで壁内の巨人は駆逐しないと革命勢力が台頭してしまうと思うぞ?
あー、ところがその革命勢力も壁に穴を開けようとしているわけで(笑)
シキシマもクバルも、もう頭悪すぎ(笑)(笑)
やっぱこいつらの巨人は無知性巨人なんじゃないか?
超大型も知性はないぞ。
こいつは好きなときに好きなだけ壁を壊せるというのに、なぜ不発弾で壁を塞ごうとするエレンたちをムキになって邪魔する?
さらにシキシマの最後の行動はなんで?
兄弟の情に目覚めたの?それしか考えられんが、またえらく都合良く改心してくれたんだな。
こんなバカ丸出しのシナリオしか考えつかなかったの?
こんなことなら原作の4巻あたりまでを忠実に映画化しておけば良かったのに。
まあ、この監督の演出では、あの絶望感は出せなかったかもしれんけど、だからといってこんなバカ丸出しなシナリオにしなくても……
ちなみに前編で素手で巨人を投げ飛ばしたキャラは、後編では立体軌道装置のアンカーを打ち込んだ塔を素手で引き倒しよった(笑)
笑いをとりたかったんだろうなあ、やっぱり。
こんなおバカなお話、真剣に見るもんじゃありませんよ、ということなんだろうね。