「オラ、ノリにノッてるゾ~!」映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
オラ、ノリにノッてるゾ~!
映画クレヨンしんちゃん23作目。
毎回毎回そうだが、「クレヨンしんちゃん」の映画って発想が自由だなぁ、と思う。
元々は日常的なファミリー物の筈なのに、映画になると、ヒーローアクションになってみたり秘境アドベンチャーになってみたりファンタジーになってみたりスパイ映画になってみたり怪獣映画風になってみたり時代劇になってみたりSFになってみたり…と、多種多様。
さながら藤子・F・不二雄作品のような“S・F(すこし・ふしぎ)”で、お陰で「クレヨンしんちゃん」の映画は「ドラえもん」や「コナン」よりいつも楽しみにしている。
さてさて、そんな今回もまたユニークな一作だった。
開幕はいつもの風景。
会社に行くひろし。
幼稚園に遅れるしんのすけ。
送っていくみさえ。
マイペースなひまわり。
またエサお預けのシロ。
…が! そんな野原一家に重大な出来事が!
ひろしの転勤でまさかまさかのメキシコへ引っ越し!
この野原一家が引っ越すまでの冒頭20分くらいだけでも魅力が濃縮されている。
自分一人だけでメキシコに行く事を決めていたひろし。
そんなひろしを咎めるみさえ。
怒った理由は、メキシコに転勤するからじゃなく、自分一人だけで重荷を背負おうとしたから。
家族はいつも一緒。
野原一家って理想の家族像だなぁ、と思わせる。
引っ越し当日。
多くの友人が見送り。
馴染みの面々や思わず「おっ」とニンマリしてしまう脇役キャラまで出るわ出るわで、ここはファンなら必見。
一人だけ居ない人物が。風間くん。
清々するとひねくれ口を言ったものの、実は動揺が隠せない。
遂に野原一家は電車にのって出発。
その時、走って追いかける風間くんの姿が!
「風間くーん!」「しんのすけー!」と涙ながらに呼び会う二人。
仲が良いほど喧嘩するってこの二人の事。
思わずちょっとウルッと…。
まるでTVシリーズ一本分を見たような…あ、いやいや! 本編はここからだった!
(冒頭のレビューだけでメチャ長くなってしまった(>_<))
やって来ました、メキシコー!
カラッと明るい陽気、ナイスボディな美女たち。
意外と来てよかった~!
これから住む町の名前が笑える。
“マダクエルヨバカ”。
あれ、めっちゃ田舎…。あれ、期待していた新居と違う…。
ポジティブなのが野原一家。あれこれ言っても始まらない。新生活スタート!
今町は、新種のサボテンで大盛り上がり。
“サボテン・フェスティバル”と題して町興し。
発端は、その新種のサボテンから採れる絶品の甘い蜜。
その蜜を会社の商品にしようと言うのが転勤の理由なのだが、顔がデカイ町長は猛反対で、悪戦苦闘のひろし。
一方のしんのすけは地元の幼稚園のナイスボディ美人先生にお熱。
開幕のようないつもの風景で、すっかり新生活に馴染んだ野原一家。
そしてサボテン・フェスティバル当日。
ここで思わぬ事件が。
新種のサボテンは何と、人喰いサボテンだった…!
甘い蜜に誘われてやって来た人々を、次から次へとパクリ、パクリ…。
果たして野原一家と新しいご近所さんたちは生き延びる事が出来るか!?…と言った、さながらサバイバル・パニック・コメディの趣向。
オイオイ、感動の序盤から何故に突然のガラリ変わった作風に!?の疑問。(まだやった事の無いジャンルで、思いきった事をやってみたかったというのが企画の立ち上げだとか)
謎が一切明かされない人喰いサボテン。(突然変異…?)
実はツッコミ所も多い今作だが、レビュー冒頭に挙げた通りこの自由な発想が「映画クレヨンしんちゃん」。
サボテンから逃げ、町を脱出が失敗に終わり、絶体絶命の時に遂に見つけたサボテンの弱点。
後半はあの手この手を策したサボテン撃退作戦。
女は勇敢、男はへなちょこ、頼りがいがありそうなんだか無さそうなんだかいかにも「クレヨンしんちゃん」らしい残った面々で団結して立ち向かう。
ギターを持ったマリアッチと言う名のアン○ニオ・バン○ラスっぽいキャラや池○彰のそっくりさんなどのパロディ。
ナイスボディの美人先生、“スマホ”ちゃん、弱虫ナチョ・リブレ、顔がデカイ傲慢町長…個性的な映画オリジナルキャラ。
テンポいい軽快なドタバタ劇の中に、ご近所さんたちとの友情や家族愛を勿論そつなく。
さて、野原一家はずっとメキシコに?
それは見てのお楽しみ。
春の三大定番アニメと言ったら、「ドラえもん」「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」。
興行面では「ドラえもん」「コナン」には遠く及ばないが、ここ近作は興行も右肩上がり。今作はシリーズ最大のヒットに。
今回もなかなか面白かったし、自由な発想さえ続けば「クレヨンしんちゃん」の人気は不変。
オラ、ノリにノッてるゾ~!
次回作は劇団ひとりが脚本。
はてさて…?