劇場公開日 2015年5月30日

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「樹木希林の佇まいだけで泣けてくる」あん スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5樹木希林の佇まいだけで泣けてくる

2015年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

予想以上に引き込まれた映画でしたが、予想以上にテーマが重い映画でもありましたね。
差別や偏見から、こんな人生を送っていた人達がいたんだと言う事実を目の当たりにしたら、胸が苦しくなってしまいました。
ハンセン病については正直何も知らなかったので・・・。
しかしあんな状況でも生きる意味を見出して前向きに生きている徳江の生き様には、感動させられました。

また樹木希林が演じてるから、尚更その佇まいから全て彼女の生き方に感情移入させられてしまうんですよね。
雇われ店長と過ごしたあの時間、彼女にとっては本当に特別なものだったんだろうなと、しみじみ・・・。
演者と役が全く違和感ない、と言うか完全に一体化している辺りの演出は、お見事の一言。

河瀬直美監督作品は今回初鑑賞だったので、最初はちょっと不安だったんですよね、難しそうで・・・。
でもこの映画は万人がスッと入っていける河瀬作品にしては珍しいタイプだったようなので、ホッと一安心でした。
心模様を表したような四季折々の風景も、本当に素晴らしかったです。

店長を演じた永瀬正敏も、いい味出してましたね。
樹木希林とのあん作り、重いテーマの中にも笑いがたくさんあって、ほのぼのさせてもらいました。
ラストシーンも良かったぁ~!
内田伽羅が演じたワカナのエピソードだけはやや中途半端でしたが、そこをカバーして有り余るぐらいとても魅力的な作品でした。

スペランカー