「餡はねぇっ!気持ちなのよ!」あん コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
餡はねぇっ!気持ちなのよ!
内容は、主人公の問題を抱えてる中年男とふと春の訪れと共に訪れた、おばあさんとのどら焼きを通じた心のふれあい物語。好きな言葉は『どっちが好み?私ねぇ、季節を間違えちゃったのよねー』そんな言葉で初夏の日差しの下で手渡す手編みの座布団。何時も突然別れが訪れる世間と自分の死が間近にある自分自身を直視し、ひたすら自分の生きた証として人の為に尽くしたい。そんな言葉には表し難い切ない気持ちが、胸を深くえぐりました。明日は本当に無いのかもしれないと思う気持ちはどんな感じなのだろう。この物語は結構好きで劇中に出てくる『いのちの初夜』や原作『あん』ドリアン助川著も目を通しました。ハンセン病患者との壮絶な歴史は何も言えない衝撃を受けました。毎年12月に行われる講演会にも伺った事もあり、『舌筆👅🖌』の話が印象に残りました。舌筆とは、ハンセン病が進行し手足指先が腐り落ちて目も見えずあらゆる感覚が削ぎ落とされ最後に残る感覚が舌先だけであり舌先で点字を読んでコミュニケーションをとるので、せめてもの安らぎとして甘い物を大切にし、それが餡子であり『あん』だったという事が分かり余計に胸が締め付けられ共感には遠く及ばない思いがしました。物語は日差しと共に主人公の成長で終わりカタルシスの解放が感じられ見応えのある作品だった様に感じました。
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