「この世界に生きるということ」あん 由由さんの映画レビュー(感想・評価)
この世界に生きるということ
この世界に生きることの素晴らしさを実感できる映画。
原作の主張を、言葉で強く伝えすぎず、どこにでもあるような自然の風景の美しさを映した映像や、演技で伝える。その伝わってくる想いは、温かく、切なく、優しく、そして厳しい。
自由を奪われて、差別にさらされても、深い心を持ち続けられるのは、ひたむきに生きて、あるがままの自然を愛する気持ちがあるからだろうか。
映画の中に切り取られた風景は、桜が風に揺れる姿や、緑の濃い樹々、雨で桜の花びらが落ちた水たまり、夕日を背に走る電車、小さな街中の河川など、特別な景色ではないのに、どの景色も繊細で美しい。まるで、徳江さんの見る世界を、映像で私たちにも見せてくれているように思える。
映像の美しさは、映画館で映画を観る良さを再確認できる。
最後のエンドロールは、観ている観客が皆で気持ちを共有し、希望を感じているように思えた。
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