日本のいちばん長い日のレビュー・感想・評価
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お水の入ったコップの行き来
この映画で松坂桃李を初めて認識した。半藤一利の原作だったのか。もっと気合い入れて見れば良かった。おじさんばかりの映画だなという印象だった。(2015.8.13.)
この映画で役所広司と松坂桃李は初共演したんだ。そして3年後に「孤狼の血」素敵な関係だなー。(2021.7.25)
岡本喜八監督による前作(1967)は途中(玉音放送の録音まで)で見るのをやめてしまったのでいい加減な感想ですが、前作と今作とではかなり色合いが異なると思いました。この映画では組閣にいたる経緯と、鈴木、阿南、天皇の関係性が丁寧に描かれていてそれが重要だったことが伝わってきました。天皇による「もうほかに人はいない」などの言葉が、軍人は政治に関与するべきではないと固辞する鈴木を決心させます。
映画として良いと思ったのは、最後の御前会議での男泣きシーンをセンチメンタルに延々と映すことをせず全体的に場面の切り替わりが速くて淡白だったことです。それにより観客は良きにつけ悪しきにつけカタルシスを得られずに済みました。家族にポイントが置かれていたことも今作の特徴です。鈴木も阿南も家族と自宅で過ごす場面があり、天皇は疎開している我が子を慮る言葉を述べます。
阿南の人望の厚さ、天皇と鈴木への気づかいとリスペクト、家族に対する愛は役所広司だから表現できたのだと思いました。次男の写真が胸に置かれ横たわっている夫に向かって、次男の戦地での様子を具体的に言葉はっきりと伝えるべく話しかける妻・綾子役の神野三鈴に心動かされました。音楽もよかったです。(2021.8.16.)
おまけ
松坂桃李演じる畑中少佐に教養と知性を感じた。彼が受けた軍人教育、負け知らずだった陸軍、彼の若さに思いを馳せた。怒り、悔しい、悲しい、馬鹿げてる…。
政術映画「そのとき、日本は止まった」といったところか
岡本喜八監督版は未鑑賞。
ただし、岡本喜八版は8月15日の玉音放送前日を「日本のいちばん長い日」と定義して映画をつくっていることだけは知っています。
しかし、本作は・・・
戦争終結内閣である鈴木貫太郎内閣の成立から8月15日の玉音放送(同日鈴木貫太郎内閣総辞職)までを描いています。
とすると岡本喜八版とは、まるっきりアプローチが違うし、タイトルの「日本のいちばん長い日」がそもそも異なるように感じました。
この映画での「その日」は、玉音放送のあった8月15日。
その玉音放送によって、これまでの日本という時間が止まった。
そして、新たな日本へ転換する。
玉音放送の「とき」が、「日本のいちばん長い日」。
本作は、まさに「そのとき」で終わります。
(なので、副題に「The Emperor in August」がある)
映画は「そのとき」を迎えるまで、どのような葛藤があったのか。
それを、原田眞人監督が得意とする「男騒ぎ」の映画として描いていきます。
天皇、鈴木首相、阿南陸相を中心とした、政治映画(というか政略映画というか、政術映画というか)として、原田監督は巧みにまとめたと思う。
監督特有の少し冷めた感覚、ワンシーンワンシーンを思い切りよく短いカットで繋いでいくのが、この映画には合っていた。
難しかった…
終戦記念日前に観なくては、と思い行ってきました。
平日午後ですが大勢の観客でした。
年配の方も多かったです。
戦中最後の内閣発足から玉音放送までお話しです。
裏であんなことが起きていたとは…。
勉強不足の為、軍の組織や人間関係がわからず、難しかったです。
もう一度、勉強してから観たいです。
若い方には必見!
1967年公開の同名の映画も見ています(DVDも持っている)。前作の時には終戦にあたってこんなことがあったのかという驚きもあり迫力を強く感じましたが、今回は割と落ち着いて見ました。前作に比べて、全体の事件の流れを分かりやすく追い、ところどころ人間模様を入れこんでいる感じがします。
戦前の軍の恐ろしい、しかし愚かしい(見方によっては滑稽な)考え方を見ることができます。
若い方には必見です。
やや難しすぎるか。歴史を伝える勉強映画。
【賛否両論チェック】
賛:“終戦”という困難な決断を迫られる中、国を守るために奮闘する主人公達の苦悩や、己の信念のために次第に暴走していく青年将校の姿など、大局に立たされた人間の本質を思い知らされる。
否:史実だけに、話そのものはかなり難解で、セリフも難しい。緊迫感も伝わりにくく、知らない人や関心のない人には、非常に退屈。
個々の命が軽んじられる戦争の悲惨さと、そんな戦争を終わらせるという困難な決断を迫られた人間達の、それぞれの人間性の本質が伝わってくる、そんな作品です。 国を守るために命を懸けた者や、自らの信念に従って戦い続けようともがく者、そして周りに振り回されながらも、平和への思いを持ち続けた天皇。戦争という大局を描きながらも、1人1人の生き様にドラマがあり、深く考えさせられます。
反面、太平洋戦争に関する予備知識がないと、訳が分からないままなんとなく終わってしまう感じで、退屈なことこの上ないと思います。また、セリフもやや難解で分かりづらく、聞き取れない会話も結構あります。
良くも悪くも、歴史に関心がある勉強好きな方向けの作品といえそうです。
学校では教えてくれない真実 一流どころの役者が揃っている中、昭和天...
学校では教えてくれない真実
一流どころの役者が揃っている中、昭和天皇の本木雅弘の演技が輝いていた
ただ、登場人物が多すぎて…
原爆が、回避することが出来た現実を見せられ、当時の閣僚の判断の遅さが悔やまれて仕方ない
真剣さが伝わるか
封切りの8日に行き満席であきらめ、今回は再チャレンジ。
「正しいこと」「より賢明なこと」を肯定できない、その時代の空気に逆らうことができないもどかしさを知る。
忘れてはいけないのは、本当の犠牲者は画面で写るキャスト(ほとんどがエリート将校?)ではなく、戦場にいる多くの一般の兵士と帰りを待ち続けて支えた家族であることを忘れてはいけない。
「反対」と唱え、武器を放棄したとしても、国家どうしのいざこざは止められない。それだからといって、戦争を肯定してもいけないし、戦争による犠牲者を出してもいけない。
国の指導者たる器は、国民の身体、生命、財産が守られ、平穏な生活ができるよう大局にたつものでなければならない。
若者が目を向けるべき作品
私自身この作品にエキストラとして参加させていただきました。現場は背筋が伸びるような緊張感でした。戦争映画のあり方を学びました。
終戦がこんなにも難しいことだなんて、、、ほんとに難しい感情であの時代に生きた人にしかわからない誇りと責任があったのだなと感じた。役所さんの自決シーン本当に感極まった。桃李さんの演技には鳥肌がたった。名役者たちが必死に戦争を伝えようとしている映画をぜひ若者にみていただきたい。
日本国民の映画た
残しておきたいものは
モノにして残さなくては消えていく
本、映画にしなくては。
文句言う気満々だった本木雅弘が素晴らしくて驚いたから投稿!
どう考えてもモッくん=昭和天皇
はないだろーーーーー!って引いてた分、素晴らしくて息をのんだ。この作品に人間のユーモアとチャーミングさを感じては不謹慎だろうか。。
人間が引き起こした戦争を、人間が終結させる。命を懸けて得た平和である事を苦しく再び突きつけられる。
映画が日本を救う最後のチャンス。一人残らず観て欲しい。
役所広司、山崎努、山路和弘、堤真一と震えるような常連に加え、近年加わったキムラ緑子、赤間麻里子、戸田恵梨香、神野三鈴女性陣。知性、品格高き俳優陣の原田ファミリーが贅沢に配置。随所に出て来る度に、はっ!と喜びが湧く。松山ケンイチの贅沢な使用、次の作品に出演するんかな?
最近、どの監督のファミリーもタレント集合でイラっとするからこういうファミリーが理想的。
ただ
やはりこの時代の妻の存在に【女優】を見せられると、物語から気が削げる。骨太な映画にそっと寄り添う妻が原田映画にはしっくりくる。
日本人の男は軟弱だからな笑。欧米と家族のあり方が違うからだろうか。男の映画に女が強い意志を持つとバランスが崩れる気がしてならないんだな。
兎に角、玉音放送のように皆で心して拝することを望む。
今、全ての日本国民が観るべき映画だ。
毎年夏に中学生・高校でも上映会するべきだ。
救いようのない大和魂
ドラマとしての完成度が高い作品。歴史的事実を扱ってるが故に、内容が浅いとかという意見も目にしたものの、史実に重きを置く人はドキュメンタリーなり歴史書など追求すればよいのでは?この映画はあくまで劇的物語であるわけで、そういった意味であらゆる演出が上手くはまっていたように感じる。
主演陣の演技もすばらしいもので、まさにその時代のそこに生きていた人々の思いがひしひしと伝わってきた。何か儀礼的ただ中で振り回される人々、信じられないくらいに滑稽で、戦争をやめさせようとするもの続けようとするもの全てが悲劇的な喜劇を演じていたのだと理解できる。あの瞬間をつぶさに再構築して見せてもらうだけでも、あの戦争の無意味さを実感できた。
後半に展開されるシーンは全て無駄なことばかり。それに涙する日本人も多いことだろうが、無意味なことに重きを置く日本人のやるせなさを感じずにはいられなかった自分のような日本人も決して少なくないだろう。
高速球でデッドボールを食らった気分だ
名作映画・小説「日本のいちばん長い日」が平成版としてリメイクされると聞いて、公開を楽しみにしていました。
が、いざ見てみると・・・
人物描写が酷いものの、原田さんが高い技術力を持った映画監督ということもあり、私はそうは思いませんでしたが1つの映画としては素晴らしい出来なのではないでしょうか。
しかし、ある程度歴史に詳しかったり喜八版を視聴済の方にとっては本当に本当に駄作と言っていいと思います。以下が私の思う問題点です。
・明らかに一部の人物を極端に悪人に仕立てあげている。
・監督による史実にも原作にもない捏造シーンがたくさんある。
・中立性がない。
・現代の価値観によるバイアスがかなりかかっている。
・日常シーンが長く、ダレる。
・テーマ「家族」に囚われすぎていて、ダレる。
(このテーマはこの映画に向いていなかったのでは・・・)
監督のインタビューで喜八版は嫌いだとおっしゃっていたのを読みましたが、その通り喜八版と同じような描写をするのが嫌なのか、想像の斜め上を行く謎のシーンが多々ありました。
監督の他の映画は素晴らしい出来なだけあって残念です。
日本人として観ておきべき作品
『日本のいちばん長い日』を鑑賞。
「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」の原田眞人監督最新作となる。
1945年8月、大東亜戦争(太平洋戦争)が昭和天皇による玉音放送によって集結されるまでの数日間を描いた半藤一利によるノンフィクション作品の映画化である。
終戦間際、本土決戦かポツダム宣言を受諾するかで揺れる鈴木貫太郎(山崎努)内閣。そして昭和天皇(本木雅弘)による玉音放送で終戦が宣言させるまでに何が起こっていたのかが明らかになる。
この作品は終戦を描いた作品であり、戦争自体を描いたものではない。よって戦争の悲惨さや命の尊さなどを直接的な映像では語ってはいない。
しかしその時、国民は、陸軍は、海軍は、それぞれの立場での考えはどうであったかが実に丁寧に描かれており、戦争は始めるより終わらせることの方が遥かに困難である事がひしひしと伝わってくる。
とにかく俳優陣が素晴らしい。山崎努、役所広司、堤真一等のベテラン陣は勿論のこと、本土決戦実現に奮起する畑山少佐を演じた松阪桃李も素晴らしかった。
しかし、やはり特筆すべきは昭和天皇を演じた本木雅弘である。独特のイントネーションや雰囲気などは正に昭和天皇そのものである。
スタッフ、キャストそれぞれのこの作品に対する思いがこれ以上ないという程作品に現れており、終戦70周年に相応しい出来映えとなっている。
内容が内容なので、多少なりとも大東亜戦争(太平洋戦争)に関する知識が無ければちんぷんかんぷんだと思うが、逆に日本人としてそれはあまりにも恥ずかしい事であり、是非予習をしてでも観ていただきたい作品である。
面白いとか面白くないとかそう言う次元で観る作品ではない。俳優たちの熱演を通じて、現在の平和がどのようにして作られたのか。その真実を知り、体験する作品である。
考えさせられる映画
日本という国を愛しているがための思想の暴走、今の世の中にこれほどまでに日本という国の将来を考えている人は何人いるのでしょうかね。まぁそれが必ずしも良いとは言えないのですがね(;´_ゝ`) とても考えさせられる映画でした。途中で笑えるところもありましたし、飽きさせない作品でした。戦後70年である今年に見ても損はないのでは無いでしょうか。
楽しい映画ではないのだけれど
決して、見た後に気持ちいい映画ではありません。
日本人の心に問う映画なのかも知れません。15年の長き戦争に終わりをむかえさせるにあたってのドラマだったのだと。
役者みなさんが好演しており、本木さんは、天皇をしっかり演じ、本人に見えてくるぐらいでした。
自分は、本当の史実を知りえませんが、こういったことがあったのだと理解できます。
また、桃李さんの演技、ひかっておりました。愚直で信じる事に邁進している姿、良くも悪くも日本人なんでしょうね。
ところで、正義ってなんなのでしょうか?
立場が変われば、正義も変わる。お互いの正義のぶつかり合いもまた、考えさせられる一つの事でした。
最後にこの映画を見て、戦争は誰も幸せにしない、そう理解させて頂きました。
天皇は高貴?
原田眞人監督の渾身の作、とは思うが、疑問な点もなくはない。
もう一度見直さないといけないが、岡本喜八版はまさに1日の話であったと記憶している。
陸軍の反乱分子が、昭和天皇が吹き込んだ玉音放送の録音版を必死に探すのを、機転を利かせて守りきるという描写があった。
今回の原田眞人版にはそういうのもない。
阿南惟幾(役所広司)、鈴木貫太郎(山﨑努)、昭和天皇(本木雅弘)、この三者のありようを描きたかったと、原田眞人は言っているわけだが、それなら「日本のいちばん長い日」というタイトルは返上してほしかった。
まず聖断があって、そこからのドラマに徹してほしかった。
本木雅弘には感心した。我々日本人には好むと好まざるとに関わらず、皇室というものが刷り込まれている。玉音放送もいろいろなメディアで幾度となく聞いている。
人間天皇なのだが、どうしたわけか、本木雅弘はある種高貴なオーラをまとっているのだ。東条英機が諌言に赴いたときの昭和天皇の毅然とした態度には、なぜか襟を正さなければ、という気分にさせられた。
この人が聖断を下したのだ。逆らえる理由がない。
反乱の首謀者畑中(松坂桃李)がまったく愚鈍なヤツに見え、彼の言にはまったくの理もない。
そこは映画としては、決定的な欠点となる。
松坂桃李は熱演だったが、相手が悪かった。
原田眞人が昭和史を映画にするとき、それは違うだろうと立ち上がる映画人がいたが、若松孝二はもういない。
思想信念の暴走
立場、思想は違えど日本を思う人々の決意を写した作品。
日本国という誇り、それを国民と見るか戦いざまに見るかが立場により明確に異なります。
国民ありきに生き続けることを、
希望ととるか恥ととるか。
共感するかは置いておいて、どちらの立場の感情も慮ることができ、切なさがあります。
また、それら対立する考えの間に立たされる立場の苦しさが、
役所広司の演技を以ってまざまざと描かれています。
誰かを悪者せしめることで過去を収めがちですが、
誰もが悪者にはなりえないことを実感させられます。
平和な現代に生きているからこそ、
胸を締め付けられるような想いでした。
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