怒りのレビュー・感想・評価
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残酷。それでも生きる時、湧き上がる感情。
好意を持つ相手に対する疑惑。
『もしかしたらこの人が殺人犯…?』
設定が振り切ってるので映画としてエンターテイメント性が高く、すごく引き込まれます。
ただ、血みどろの殺害シーンより、純粋無垢な少女が愉快に犯されるシーンの方が生々しくてトラウマチック。2度と見れません。可哀想で胸が引き裂かれます。足首から吊るされて、笑いながら皮を剥がれるような残酷さ。
こんなことが実際何度も繰り返し起きている世の中であることを突きつけられ、気づかされ、ゾッとします。
映画の中にふと見える現実。
それでも生きる女の子は時間と共に逞しくなっていく。
あの子は知ってる子?
人ごととは思えない。
湧き上がっては、腹の中に深く沈める暗いもの。
それが包み込まれるように浄化される各々ラストの一瞬は美しく希望に満ちています。
普通におすすめ。タイトルが合わない。
観て損のない映画。
そこそこ時間の経過を忘れさせてくれた。
面白かったと言えば面白い。
ドロドロヒューマンドラマ好きな方はおすすめ。犯人の心の闇が見事に描かれているのが良かった。
怒りというタイトルはあまり合わないように思う。
しかし残念な所がある。
犯人に似ている顔の人物が3人居る。
そのうち1人は犯人だから、逃亡劇があるのは分かる。
顔が似ている2人が同じくタイミングで逃亡して周囲の人間を不安にさせるのは都合が良すぎる。
こじつけ気味な物語が残念に思った。
特に病気を理由に逃亡する意味が分からない。
犯人では無かった時のある女性の泣き叫ぶシーンは必要ないというか、演出が違うように感じた。
あそこはしっとりと泣き笑いがよかった。
重いかった…けど凄くよかった
ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。
現場には、『怒』の血文字が残されていた。
犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。
千葉 ―――――――
3か月前に突然家出をした愛子が東京で見つかった。
彼女は歌舞伎町の風俗店で働いていた。
愛子を連れて帰った父は、千葉の漁港で働く。
愛子は、2か月前から漁港で働きはじめた田代に出会う。
東京 ―――――――
優馬は、日中は仕事に忙殺され、夜はクラブで出会う男と一夜限りの関係を続けていた。
彼には末期がんを患う余命わずかな母がいた。
ある日、優馬は新宿で直人に出会った。
沖縄 ―――――――
また男と問題を起こした母と、夜逃げ同然でこの離島に移り住んできた高校生の泉。
ある日、無人島でバックパッカーの田中に遭遇した。
この正体がしれないこの3人…
本当に三者三様凄く内容が重く、重いけど目が離せないくらい見はまった。
特に泉演じる広瀬すずが米兵に乱暴される場面は見てられなかった
あと、妻夫木聡と綾野剛の絡みはすごかった
弱い立場で生きるということ
世の中の不条理さ。社会の息苦しさ。
登場人物全員が弱い立場の人間。
どんなに苦しもうが怒ろうが解決することができない状況にいる。
田中について
・田中の自己評価
⇒いい歳しているのに日雇い労働で自分に負い目を感じている。実はものすごく繊細で世間の反応に敏感な人間。
・田中の家の壁中の文章
⇒ただ単純に世間を見下しているわけじゃない。
書いてある内容について物凄い怒りを感じているが怒りを発散させる場所がない。
若者がツイッターに馬鹿にした口調で愚痴を書くのと同じ感覚で
文字に起こして馬鹿にすることで怒りを納めていたのだと思う。
・殺人動機
⇒派遣会社の人からゴミ扱いされ、自分はゴミ以下の人間なんだと傷心しているところに、優雅な専業主婦に同情され格差を思い知らされ、世の中の不平等さに怒りを感じ我を失って殺してしまう。夫は逃げる為に殺すしかなかった。
「怒」という文字は人を殺してしまった自分への怒りと殺人を犯してしまうほど理不尽な世の中に対しての怒り。
・最後のシーン
結局田中は実は心優しすぎる人間なのではないか
優しすぎて社会の不条理さがとっても良く見えてしまう。
離島に逃げたはずなのに、ここでも不条理なことが起きる。
自分がしてしまった事から自分でもも逃げれない。
「味方でいるから」は本心だと思う。
一生懸命ホクロをハサミで取ろうとしてたのも、自分がしてしまった事に対してパニックになって自分を痛めつけることで気持ちを落ち着かせようとした。
けど、たくやが来てしまった。
殺人をしてしまったし、泉がレイプされても助けられなくて、でもその気持ちをどうコントロールすればいいか分からなくて気狂いになった。
泉の「泣いたって怒ったって誰も分かってくれないでしょ」
本当にその通りだと思った。弱肉強食の世界。弱者はどんなに泣こうが騒ごうが誰も助けてくれない。
原作読むべき?
原作読まずに映画見ました。
最後まで、多分田中じゃないだろうと思ってたのに田中だった。
唯一田中だけ、終盤になるまで怪しいシーンが少なかったのが逆に怪しかったのかもしれないけど。
田中が犯人だと分かった上で、2回目、沖縄編だけを見てみたけど…
もしかしたら、田中の怒りは「世の中の理不尽な奴らへの怒り」?そして、普段見下してるはずの世間の人間に同情されたことでカッとなって殺した。危ない面は持ちつつも根は人間らしさがある。だから本気で生き返らせようとした。そして、自分を慕う泉やタツヤのことも本当に好きだった。「ウケる」とは、怒りの感情なのではないか。自分が指名手配犯なばかりにポリス!と叫ぶしかなくて、何もできない自分への怒りや理不尽なアメリカ兵への怒りが行き場をなくしての感情が、タツヤに見せたあの不気味な笑いに変わり…「ウケる」。ほんとはタツヤの事もムカついていた、でも自分だって同じだから、首を絞めた後で抱きしめて「俺はお前の味方」だ。泉が自殺しないか心配で見に行ってた。いろんな感情がわけわからなくなって噴火するタイプなんじゃないかと…。ただのサイコパスにはには見えなかった。
でも、わからない部分が多くて、原作を読まねばと思いました。。
始めと終りで「怒り(色)」を反転させた訳
(個人的な見解です)
この映画は、何かを諦めない方々に向けたエールだと、最後の最後に気付かされました。
犯人探しのサスペンスかと思いきや、愛しい人をいかに信用できるか、というヒューマンドラマがメインの映画になっています。
映画の中の田中は、他人を見下すことで自分を保っている最低の弱人間でした。チラシに書きなぐられていたように、世間の怒りを部屋(自分)に溜め込んでしまう性格です。
里佳子の哀れみ(優しさ)を見下されたものと思い、溜まっていたものが一気に溢れ衝動的な犯行に及んでしまいました。
溢れ出て発散した「怒り(赤)」を、その場に残し。
田中が世間の怒りから離れ、穏やかに暮らして1年が経ち、泉と辰哉と出会います。
他人を見下し、人を全く信用していなかった田中は、人を信用し全く疑わない二人を愛しく感じるようになりました。
三人でご飯の後、田中は二人のことが心配になって戻ってくると、例の事件が起きます。
ここで田中は迷いました。殺人犯の自分が助けにいって警察から事情を聞かれると自分の素性がバレてしまう。何より自分の証言の信憑性もあったものじゃない。米兵ならなおさら法律の蚊帳の外。何も出来ずにただただ膝を震わせていた。ようやく出た行動が「ポリス!ポリス!」だった。
辰哉も田中も何もできずにいた。田中は「(これからどうしていけばいいか)考えていこう」と言って、出した答えが民宿の騒動。
田中は逃げた。辰哉だけが居場所を知っていた。
田中は自分が殺人犯であるが故に救えなかったことを悔いて、殺人犯の特徴と報道されているほくろを取ろうともがいていた。
辰哉が来る。
何事も信じて疑わない辰哉は、田中の発言に怒り田中を刺した。
それまで何もできなかった辰哉の、
誰にも、何処にもぶつけられない「怒り(白)」を、今度は田中が受け取った。
始めの「怒り(赤)」は田中が発散したことを、
終りの「怒り(白)」は田中が収束させたことを意味しているのだとすると、田中が青空のもと最後に見た(であろう)青い澄み渡った海は、田中の心そのものだったはず。
現代に蔓延るキャッチーなワード(殺人事件、LGBT、知的障害者、非正規雇用など)を散りばめ、すべての怒りをまとめて表現しているのは他でもない、山神という存在だったのではないでしょうか。
最後のシーン、泉が白無垢の服と凛とした眼差しで、「怒り」の前に立ちはだかり、海に向かって駆け出し、海で叫ぶシーンで、何も変わらないと諦めていた自分から、何かを変えようと前進する(もがく)ことの決意を表現することでエンディングとしています。
(所感)
スタートからただのサイコパス映画かと思って見ていましたが、強烈な映写とは裏腹に、人の心を細かく描くという、独特な世界観に、エンドロールも静かに口を開けているのみでした。
映画の中で「理解しようとしない人に説明しても理解してもらえないですからね」とありますが、あなたは田中のこと、理解しようとしましたか?
怒りというか悲しみ
最初はなんだなんだ、この3つのバラバラのストーリーがどう結びついてくんだ?と思いつつ見ていくと豪華な俳優陣たちにどんどん引き込まれる。
最初にグッと気になったのが妻夫木聡と綾野剛のゲイカップル!
おぉ〜そう来るかぁ〜きゃ〜みたいなシーンの連続。
でも、だんだん綾野剛がこなれてきて、2人がいるシーンが美しくもなってきた。
次に気になったのが何やら怪しさ満点の松ケンと尻軽そうな宮崎あおい。
ちょっと展開早くないか?と思いつつ、2人が抱える負の雰囲気がシンクロしたのか
1番気にも止めてなかったのが森山未來。
なんなの?なんでいるの?という風には見てたけど、誰だ、誰が犯人なんだと思ってたけど、まさかの田中だったとは。
なんか、田中という山神の動機がわからず、真意もわからず、観た後に他の人の感想など見たけど、まあ結局のところ感情的なタダの輩。という感じで。
俺なんかのこと信じてんの?ウケる。って感じで泉とタツヤを相手してたんだなと。
あんな奴のために手を汚さなくて良かったのに。でも、泉のためになんかしないとダメだったんだろうな。
唯一?応援してたゲイカップルはまさかの悲しい展開で。
やはり人と違うからか、人を簡単には信じられないのか。
人を信じる、信用できる、って難しいと改めて考えさせられた。
豪華俳優陣の演技が輝く名作
八王子で起こったとされる殺人事件を背景に、全く別の場所、無関係の3つのストーリーが同じ時系列で進んでいく。
千葉では渡辺謙と宮崎あおいが、東京では妻夫木聡が、沖縄では広瀬すずが。それぞれが素性のわからない男性と出会う。
警視庁からの情報提供により、テレビのニュースや情報特捜番組、指名手配の写真などを通して殺人事件の犯人とされる人物の素性が徐々に開示されていく。
もしかしたら、今、自分の隣にいる男は、殺人犯なのかもしれない。そう言った疑念が湧いてはなくなり、湧いてはなくなりを繰り返す。
人を信じきれるか。
はたまた疑うべきなのか。
真実が見えず、信頼と疑念の狭間をそれぞれの人物がそれぞれの環境で思い悩む。おそらく、映画を見ている人も悩む。
ハラハラが最後まで止まらない作品。
なかなか見応えがあった。
広瀬すずの演技が心に残った。
今までは『ちはやふる』や『四月は君の嘘』など、青春ど真ん中のポップな作風への出演が多かっただけに、ダークな面が強い本作への出演はかなり勇気が必要だったのではないか。
いち視聴者なので、偉いことは何も言えないが、とてもよかった。
作品としては、根本的に「人を殺してはいけない」ということを感じる。根本的に怒りに身を任せて人を殺してしまうということがなければ、こういうことは起こらなかったなと。
最終的には、視聴者がどう捉えたかに委ねられるだけに、こういった事件が起きないことを願ってやまない。
ストーリーとしては見応えがあったけど、精神的な柱がが足りないように感じた。
スゴイ
なんか、壮絶なものを見た。そんな感じ
色々とショッキングでインパクトの強い描写が多く、苦手な人はダメかも?
各々のパートにどこか殺人事件とは関係ないとは言い切れないけどそことは違う緊張感のようなものが流れ、スクリーンから目を離せなくなるし、共感する部分があるかは微妙なんだけどどこか胸を締め付けられるような感覚を覚える。
ここからはあまり自信はない
テーマとしては「信じる」ということだろうか?
東京、千葉のパートは信じたいけど信じ切れなかったと言うところか
娘を信じきれていない父親であったり、信じ切れなかった男がいたりと
千葉のパートも同じく愛した男を信じ切れなかったゆえに…悲しい結末を迎えてしまったわけだよね
片やその男は彼を信頼していたわけで…
一方、真犯人のいる沖縄パートの登場人物がそれぞれ迎える道中は壮絶で1番苦しい
こちらは信じていたものに裏切られてしまうと言ったところだろうか(犯人がいたわけだし)
犯人はもう壮絶過ぎて理解仕切れない(というよりも衝撃で訳分からない)
共感する部分があったのかは微妙なところだが、とても衝撃的で印象の残る映画だった
2時間半、あっという間というわけではないが重厚な作品を見たなぁという満足感と疲れを感じさせる
それぞれのキャストの演技は大変素晴らしいです。もう文句なんて言えません。というか文句ない。
…正直、この作品を感じきれなかったので他の人の感想がみたい
タイトルロールの「怒り」に関しては他の人のレビューを見て、なるほどといった感じ
信じるということに関しては、自分の身の回りの人のことを少し考えてみた。家族、職場、友人、彼らを自分は信じているのだろうか。相手も自分を信じているのだろうか。彼らにも言えない事情があるのだろうか。などと考えてみたくなった。
ただラストのインパクトは「パレード」の方が好き。共感度合いも「悪人」の方が上。でも見るタイミングによってはこちらになるのかもしれない。個人のその時の心境や環境によっても多分変わる。だから映画は面白いんだよなぁ…
とそんなことも思ったり…
あなたは自分を信じられますか?
あなたは自分を信じられますか?
『怒り(2016)』
公開当初、時間が合わなかったのを、ようやっと観ました。
【むっちゃネタばれしてますよ!】
身元がはっきりしない男性3人
① 東京:大西直人(綾野剛)
② 千葉:田代哲也(松山ケンイチ)
③ 沖縄:田中信吾(森山未來)
それぞれの場所で、それぞれの物語が同時進行していく、群像劇です。
この3つの物語の軸になるのが、八王子で起こった凄惨な殺人事件。
TVで放送された犯人像(山神)が、この3人の男性に似通っていたことが、周りにいる人達の心を揺さぶる。
珍しいなぁと思ったのは、たいていの映画って
「信じることが難しい」→ラストは和解。ヒューマンドラマ系に多い。
「信じている」→疑うことが難しい。だいたいどんでん返し。ミステリー、ホラー系に多い。
けれど本作は、直感で信じるけれど、上記したような事件があり、疑い初め→疑いが確信に変わり→相手を突き放す→疑っていた自分が悪い!後悔!が、①②
なんです。
で、問題は③です。
③沖縄では、田中が島に1人で住んでおり、興味を持った10代の少女:泉(広瀬すず)&好意を持つ男子:辰哉と親しくなって、痛ましい事件に発展する。
泉が米兵にレイプされ、その場に居合わせた辰哉は何もすることができず物陰に身を隠す。
その時「ポリス!ポリス!」と言う声が聞こえ、米兵は逃げて行く。
この事件の後、深く傷ついた泉と、何もできなかった辰哉の罪悪感、その辰哉の「たった1人の味方になる」「泉ちゃんに何がしてあげられるだろう」という田中との関係が更に密になる。
が、しかし……。
(ネタバレ)
辰哉の旅館で働くようになった田中が、急に厨房で大暴れした後、もといた島に逃げ帰る。
豹変した田中を追って、島に向かう辰哉。
そこで辰哉が見たのは、壁に刻まれた『怒』の文字。その文字は、八王子の事件現場の壁に残された血文字と同じだった!そして「知り合いの女が米兵にレイプされた。ウケるw」 などの文字も。
また、泉と辰哉に親身に相談を受けていたが、内心では笑っていた。ポリス!と叫んだのは、別のおっさんで自分ではない。との告白も。
信頼を裏切られ、錯乱した辰哉は、田中の腹部を刺してしまう。
そして、八王子の事件も、田中がやったと証言する同僚が現れる。
①②は、ただ一生懸命に困難と闘いながら生きてる相手に、周りの人間が疑いの眼を向ける話です。
①直人の恋人:優馬(妻夫木聡)は、母一人子一人の家庭で育ち、同性愛者。直人曰く「胸を張って生きている」と言われるが、どこか他人を拒絶している。それは、自分が受け入れられない存在だと思い込んでいるから。
②哲也の同棲相手:愛子(宮崎あおい)は父一人子一人の家庭で育ち、父親(渡辺謙)曰く「他人とは違う」女の子。家出を繰り返し、東京で風俗で働いていたところを父親に救出される。哲也のことを信頼しつつ、でも、自分が今まで騙されてきたこと、風俗で働いていた負い目などあり、愛される価値のない存在だと思っている節がある。それは父親も同じ。
①と②の愛子も優馬も、自分に負い目があるんですよ。自信がない。
そこから生まれる疑いの心なんですよね。自分を信じられない、自尊心が低い。自尊心が低い人の特長って、他人の意見(情報)に左右されやすい。
けど③は違う。
泉には「母親みたいにはならない」辰哉は2~3日急に家を空け米軍反対運動を行う「父親の行動は無駄である」という、はっきりとした意思がある。まだ他人に不信感を持つ経験が、①②より少ない。
③で問われているのは、私達観客だと思いました。
「田中(山神)を信じられますか?」
私は、田中は辰哉の為に狂ってみせたんだと思いました。
わざと、刺させる為に。
行き場のない怒りの矛先を、自分に向けさせる為に。
そうなんです。本作で描かれるのは、八王子殺人事件の容疑者とされる田中の怒りではなく、他人に疑いの目を向けてしまう弱い自分。好きな女の子を守ってあげられなかった、弱い自分に対する「怒り」です。
八王子の殺人事件だって、別件で逮捕された元同僚という男の不確かな証言と、状況証拠だけですよね。
本作は 人を信じる難しさや、葛藤を描いた作品ではなく、"自分を信じることの大切さ"を描いた作品だと思います。
父親である渡辺謙さんの最後の言葉に救われ、また私も自分自身の中にある弱さを後悔し、そして反省し、号泣しました。
俳優さん達、みんな素晴らしかった!
人にお勧めされて。
宮崎あおいが元風俗嬢、広瀬すずがレイプをされるという話だけを人から聴きキャストと役柄のギャップが面白そうだなーと観てみました。
なんというキャストの豪華さ。
宮崎あおいのなんともいえない儚く脆く緩そうな女の子の演技が最高です。
松山ケンイチを迎えに行った後の顔は支えていくという意志の強さが現れた表情でした。
そして顔が見えない犯人の回想シーンはどう見ても綾野剛にしか見えなかった..
犯人のモンタージュは綾野剛にも見えるし松山ケンイチにも見えるしであのモンタージュはなかなかいい所を突いているなと。
それを踏まえての森山未來がまさかの犯人でドヒャーでした。
たつやくん役の方も最初地元民から選抜してきたのか?なんて思ってたけどとても素晴らしい俳優さんでした。
信じるか信じないかは
なかなかに重たい映画。
あと話の展開がちょっと遅い。90分ぐらいまでは、何が怒りなんだ。。。?って感じだった。
でもそれからよかった。
3つの環境で繰り広げられる、殺人犯に似ている男達との関わり。信じれなかったことに対する自分への怒り、信じてしまった自分に対する怒り。
どうしてあのとき。。。といった気持ちばかり残ってしまう。
救いがあったのは宮崎あおいぐらいか。
信じたやつがバカなのか、信じれなかったやつが悪いのか。じゃあどうすればいいのさ、って思ってしまう(笑)
信じれないときは本当にそうなのかと自分に問い掛けて、信じきっているときはそれでいいのかと自分へ問い掛けて。
う~ん、考えてもわからん。笑
難しい問いをくれる映画。邦画らしく、人の複雑な感情を描いていた。面白かった。
救いがない
以前から話題になっていたのが気になり自宅で鑑賞。
人を信じることの難しさを改めて考えさせられた。
愛する人を疑ってしまって、でもそれは誤りで、登場人物の誰もが悲しみに嘆き怒っていた。
自分が疑ってしまったせいで大切な人を失い、
自分が疑ってしまったせいで大切な人の最期に側にいてあげられなかった。
その一方で相手を信じた者は裏切られ絶望し、最終的に人を殺めてしまう少年まで…。
救いようがない……。
むしろ疑った人のほうが救いがあったように思う。
映画の感想としては不適切かもしれないけれど、胸糞悪く後味も悪く観終えると鬱になりそうな映画だった。
映画館に観に行っていたら帰り道相当しんどかっただろうな……。
何に対しての怒り?
殺人事件の犯人らしき人が三人でてくる。最後、真犯人が分かるが、ほかの二人と関連があるわけでない。結局、誰の何に対しての怒りを描きたいのか、分からなかった。過激な表現をしたかっただけなのでは?
みんな名演技・名役者
俳優達の演技に圧巻
特に広瀬すずちゃんはあの若さであの貫禄。末恐ろしい女優さんだと思った。
3人の謎の男。雰囲気は似てるかもだけど顔とか体格とかまあまあ違うのに、最後のシルエットほんとに誰かわからなくてびっくりしました。笑
結局犯人の殺害動機は世間に対する積もり積もった「怒り」だと感じたけど、元々の感性が狂ってるからあいつはただのサイコパス。
外面いいやつが1番信じられないし恐ろしいってことですね。ある意味ゾクゾクしました。
もう少し登場人物の心に余裕をもたせてほしい
得体の知れない男を信じて裏切られた人、
得体の知れない男を信じきれなくて後悔した人、
得体の知れない男を信じきれなかったけど結局まとまった人、
の対比で描かれている。
しかし、個人的には得体の知れない人を信じきることができないのは当然だと思うので、
信じるかどうかをターニングポイントにすること自体がナンセンスだと感じた。
それと登場人物全員が、何でもシリアスに考えすぎている。
心の余裕のない切羽詰まったキャラクターばかりなので、
彼らの心情描写にリアリティが感じられなかった。
広瀬すずはともかく、他の登場人物の悩みは
他人事だったり、一過性の話だったりで、
そんなに必死になるような話ではなかろう、と醒めた目で鑑賞していた。
怒りについての映画
俺は、犯人と会って話したことがあるという男。
派遣会社の担当の指示ミスだか連絡ミスだかが、事件を引き起こしたと語る。この人がほぼ無名の役者なんだろうけれども、犯人の心を代弁していて名演技であった。
新宿、南房総、沖縄。主役級の役者陣が三つの場所でほぼ重ならないドラマを演じる。刑事役の三浦貴大さんとピエール瀧さんがドラマの核にいて、作品にサスペンス性を与えている。「怒」と書かれた犯人の血文字がある意味全てを語っている。そして犠牲者は犯人の怨恨とは無関係の善良なる者たちなのだ。
見始めてからしばらくは、ずいぶんと複雑な大人のミステリーだなと思っていましたが、ラスト近くになってそれぞれのエピソードが締めくくられるにつれておさまるべきところにおさまった良い映画だと感じました。人間だれにでも覚えがあるはずのLGBTの問題、風俗に関わった女性の問題、独身者が親を看取ることの身近さ、沖縄での米兵の許せない行い、親の借金を肩代わりすることの不条理、施設で育った子どもたちの生きにくさ、人を救えなかったことの自己嫌悪、疑いをもたらす様々な情報への対処法など勉強になりました。
森山未來演じるタナカさんはある種極端な人物ではあるけれど、怒りをむける相手と方法を間違ってしまうことの愚かさを描いて秀逸な映画でした。「ウォーターボーイズ」「ミュージアム」「悪人」の妻夫木がサラリーマンで金持ちのゲイを演じる。たしかに大河主演級がぞろりと出演している。
何に対する怒りか
登場人物たちは、それぞれ何に対して怒っていたのか。整理してみたいと思いました。
宮崎あおい⇒彼を信じきることができなかった自分に対して。
妻夫木聡⇒彼を信じることができなかった自分に対して。
沖縄の高校生⇒「お前の味方だ」と言った森山に裏切られたと感じて。
森山未来⇒直接的には派遣会社の担当の冷笑だが、自分が生きる社会そのものに対して。麦茶一杯差し出されて凶行に及んだのは、単なるきっかけであって、理由では無いと思います。
広瀬すず⇒怒っても訴えてもどうにもならない世の中の不条理さに対して。
Mizさんのレビューを見て、なるほどと思いました。けれども引っかかったこともあります。それだけの頭を持った森山が、初めの一人を殺した後、なぜ生き返ると思って待ち続けたのかということです。つまり、理性を取り戻したのに、なぜ知性を取り戻さなかったのか。後の彼との整合性が見えません。
森山が、怒りをコントロールできない爆発型の人物だということは分かります。しかし、そういった人物というのは、はっと我に返ったときに、まともな精神状態に戻るものです。その際には理性と主に知性も。それなのに、生き返ると思って一時間待ち続ける。しかも帰ってきた二人目にまで刃を向けるとは怒りの継続時間が長すぎると思うのです。爆発型は、怨恨型に比べて、激しさは強いのですが、そこまで激しい怒りを持続しないはずです。
民宿での森山は、爆発型の方をよく表しています。客の荷物を投げているところを優しく咎められていくうちに気が落ち着いてきて「ごめん」と収まる。それでも夜に爆発して壊しまくるが、はっと我に返って、二階に自分の荷物を取りに行き、二階から逃げる。怒りの終わりに知性と理性が戻ってくるんですね。
最後の場面、Mizさんの解釈では森山が少年に自分を殺させた。怒りを引き出させたとありますが、確かにそうだなと思います。ですから、人物像における怒り表現のつじつまがあわない点は、制作側のものかなと感じてしまいます。
細かい点をごちゃごちゃと書きましたが、とても考えさせられる名作でした。
全218件中、41~60件目を表示