怒りのレビュー・感想・評価
全218件中、201~218件目を表示
「怒り」を完全に消化できず、重さがバランス悪く残る。
うーーーん、重かった(笑)
重いのはわりと大丈夫だけど、なんだろうな、
完成度の悪さでしょうね、きっと。
重いわりに感動が少ない。
評価は高いけど、恐らくこれは
小説の方が良かったでしょうね。
この映画のテーマは
「 疑心暗鬼 」
人はどうやって人を信じるのか、信じられるのか。
不安を掛け合わせて生まれる、疑心暗鬼を生ずる。
人間の不安定な心。
だけど信じたことによって狂う、人生の歯車もある。
はかりきれない人間の、心と心の、すれ違い。
ある指名手配中の殺人犯を追いながら
三部に分かれてストーリーが展開していくの。
これは、ひとつずつ。
見たかったなぁ丁寧に。
だから重いわりに、ほとんど中途半端で
消化をすることが出来なかったんだよ。
しかし妻夫木くんは演技が上手いね、ほんと。
Sぷりのドキドキゾクゾクが伝わってきました。
綾野剛くんのMぷりは、だんだん見慣れてきた。
2人のゲイのシーンは、見事に思い切っている。
そして個人的には一番切なかったストーリーです。
そして宮﨑あおいちゃんも、素晴らしかった。
少し役作りのためにふっくらしたかな?
その方が可愛い。
レビューにこの役は
宮﨑あおいには荷が重すぎたのでは?
という意見もあったけど、
そんなことは全然なかったと思う。
で、松山ケンイチくん。
こないだ役作りで太りまくってたのに
これまたスッキリして「ノルウェイの森」の頃の
初々しい彼を思い出すぐらいカッコ良かった。
役者さんって凄いですね。
で、個人的には
絶賛をされていた広瀬すずちゃんが
唯一キャスティングミスだったのではないかと…
思ったり(;'∀')するのは…私だけ???
確かに頑張っていたとは思うけど
泉という女の子の役は
もう少し儚げであってほしかった。
守ってあげたい儚さをイメージさせながら
そこから想像ができないくらいの破壊に近い
「怒り」を表出、表現ができる演技が見たかった。
そんな女の子をキャスティングにすると
もっとストーリーが活きてきたのになぁ。
〇〇事件に合う前と、合ってしまった後は
想像を絶するほど、それまでの人生が狂うはずなのに。
その演技に大した差がないように見えてしまった。
広瀬すずちゃんの演技力の乏しさが目立ったと思う。
でも沖縄の声とも言えるシーンは辛かった。
現状を生々しく理解を寄せるシーンでしたね。
一押しは、ほぼ無名である
若手の佐久本宝くんですね。
ヌボーットした新鮮な演技から、
ジワジワと怒りを表出していく。
あの場面には森山未來を食っていく
彼の役への陶酔が心から伝わってきました。
苦手なシーンが二箇所ありました。
〇妻夫木聡&綾野剛
恋愛は自由だと思うので、同性愛に対して差別はないのですが、ベッドシーンが妙にリアルで「あんまり見たくないな‥‥」と感じてしまいました。
私が女性だからという事と、あんなに生々しいシーンを見たのが生まれて初めてだったからかもしれませんが、どうしても生理的に受け付けなかったです。
〇広瀬すず
米兵に無理矢理‥‥のシーンがとにかく苦手というか、見てられなかったです。胸が締め付けられ、何とも言えない感情になりました。こんなシーンがあるなんて知らなかったので、知っていたら見なかったかもしれません。
ただ上記2件、私が不快感や苦手感を感じたということは、それだけ役者陣の演技が皆さん素晴らしかったという事だと思います。
秀作です。見なくてはダメでしょう。
いい映画でした。
ある殺人事件の犯人に関わった人たちと、その犯人ではないかと恋人を疑った2組の人達の話し。自分の恋人が殺人犯ではないか?と疑った者たち2人は疑ったことへの悔恨の念にさいなまれる。信じていた人が殺人犯でおまけに恋い焦がれた女の子がレイプされるのを静観された少年は殺人犯を殺してしまう。
3組 の人達は最後まで同じ場面では出て来ないが、上手に映画の中で溶け込んでいるのがすごい。
怒り、どうしようもない怒り。まぬがれない怒り、怒りからくる衝動。殺人。やってしまって後から感じる怒り。悔恨。
目まぐるしく動く人間の感情をよく描いた映画、俳優がよく演じているのが凄い映画です。
妻夫木と綾野のゲイシーンは良くやったなって感じ、凄い。
宮崎あおい、演技がホントにに上手い。
謙さん、、、安定、格が違う
広瀬すず、、、大女優の予感あり、、、太らないでね!
いい映画みました。李監督次回に期待大!
人を信じるということそしてその対価
沖縄の美しい海
さびれた漁港
日本の中心東京
三つの物語はそれぞれ別々なのに
一つの殺人事件を廻り絡まっていく・・・
単純に殺人事件の犯人は誰なのか、
愛した人が殺人犯だったら
というテーマとはまた違ったところで
沖縄が抱える米軍、軍人による少女レイプ事件
カミングアウト出来ない同性愛者の家族
娘の幸せを願う父の後ろ姿など
深く考えさせられる話でした。
話が進むにつれ引き込まれ誰が犯人でもあって欲しくない
何故、あんな事件を起こしたのか。
そんな気持ちを見事に裏切ってくれました。
最後に語られるそれぞれの真実
自分が余命幾許もない中それを隠し優馬に寄り添う直人。
透明で色の白い儚げな彼の姿
墓が一緒じゃなくても隣ならいいよな・・そう言った
直人
お弁当が傾くのを直そうとする後ろ姿が愛しくて切ない。
自分に対する自尊感情が低く見える愛子。
そんな愛子を心配する父。愛子自身も自分でこんな
自分が幸せになれるはずがないと心のどこかで思っているのだ。
愛子が警察に電話した後で犯人とは無関係だったと知った時の
人を信じられなかった自責からの号泣が切ない。
泉の事を遠回しに告白する辰也。「お前の味方にだったらいつだってなるからな」
そう田中に言われてどれだけ心が救われたろう。
一番守りたかった泉を守ることが出来なかった。
そんな苦しみを田中に打ち明け信じた。
そんな田中に裏切られ罵られて鋏を手にした
辰也が切ない。
ラスト、海へと走る泉
田中の壁の心無い書き込みをみて
辰也の名前を口ずさむ
全てをしる泉
海の中で大声で叫ぶ
その声の意味は、悲しみ?苦しみ?怒り?
いつか、それぞれのキャスト達に光がさす
未来が来て欲しい。
一つだけ、やっぱり最初の殺人事件を起こした
田中の動機がはっきりとは解らなかったこと
彼の持つ怒りは何だったのか
そこがよくわかりませんでした。
信じていた人に裏切られる気持ち
どこまで人を信じればいいのか
そこから生まれ出す疑心暗鬼と葛藤、そして後悔
怒りは連鎖する、
連鎖する怒りを断ち切っていきたい
そう思った作品でした。
怒り
最後は心の震えが止まらなくなるくらいの名作です。
沖縄が抱える現実問題。ゲイがひとりで生きることの切なさと家族
との関係、社会保障のない若者の社会への反感や孤独などが入り乱れて、普段は目に見えない、いや見ようとしない現実社会に潜む怒りと悲しみ。
この怒りは誰もが持っている「怒り」ではないだろうか?
結局「怒り」は悲しみしか生み出さない。
渡辺謙の背中のシーン、宮崎あおいの「お父ちゃん」っていう
声は何故か都会の真ん中で暮らす人々の心に響く。
それぞれの役者がそれぞれの演技で3つのドラマを1つの映画に
仕立て上げた感じです。
ラストは、直人の遺骨を同じ墓に入れるシーンがあっても良かった
のではないかと思いました。
ここまで重い題材でPG12?ミスキャスト0の傑作
原作とほぼ同じなのは千葉編。愛子のキャラこそ原作と一番違うが一番目を惹いたのは宮崎あおい。ベテラン俳優はほぼ渡辺謙1人だけというのも珍しいかも。
劇場で聞く大音量の米軍機飛行音を聞くと沖縄の現状に胸が痛くなる。
原作を読んだ上で
原作を読んだ上で鑑賞しました。
小説の時点で凄く感動したので、どうなるかなと思いきや、さすが悪人のタッグ。
映画も感動しました!
しかし、やはり描かれてない部分だったり、最後の展開で田中の告白があったりと、そこが無いからこそ面白いと思ってたので、「原作ファンとして」残念
しかし、映画としては上手く4つの話を繋げけてて観やすく、とてもいい映画でした。
今年の1番でしょう。
「信じる」って簡単じゃない
信じきることの難しさ、信じたものが虚像かもしれない怖さを感じました。
印象的だったのは、山神が辰哉に放った言葉。
「お前は俺の何を見て俺を信じたの」
この言葉を反芻し、自分は何を見て人を信じているんだろうと、映画館からの帰り道自問自答していました。
「信じる」ということについて深く考えさせられた映画でした。
心がえぐられた
この映画の中に複数存在するテーマ、親子・同性愛・はみ出し者同士の恋愛など、それぞれの葛藤を静かにさらけ出されて、観ていて心がえぐられた。
綾野剛の、スクリーンに存在しているだけで庇護欲をかきたてられるような健気な表情が魅力的だった。
松山ケンイチは、死んだ魚のような目をしている中で一時見せる意思の強い目にはっとさせられた。
広瀬すずの暴行シーンは衝撃的だった。
緊迫した空気と絶望感がひしひし伝わって、ここまで全力で演じるのかと女優魂を感じた。
その後、母親とベッドで眠っているシーンの愛くるしさと穢れのジレンマに心が引き攣る感覚があった。
宮﨑あおいはとても好きな女優だが、どうしてもすっぴんが気になってしまった。
大スクリーンに映し出されるシワやシミ。
どうみても30代だけれど、この役の設定年齢は何歳なのだろう?と考えてしまった。
広瀬すずとの対比でことさら加齢が目立った。
すっぴんという「設定」でコンシーラーや薄いファンデーションを塗ることすら許されなかったのだろうか。
ストーリー以外のことに観客の気をそらすほどのすっぴんはいかがなものかと思ってしまう。
また、どうしても宮﨑あおいが「バカ」にみえない。「バカを演じている」ようにしか見えなかった。
こういう人種の人が腹式呼吸でしっかり発声しているイメージがない。
話し方がふにゃっとしていても、宮﨑あおいの芯があるよく通る声に違和感があったのかもしれない。
一番気になったのは、広瀬すずの相手役の無名の役者。なぜこの役者を選んだのだろうか。
後半にかけて感情を前面に出すシーンの演技はまだ観れるが、「普段」の演技が正直いかがなものかと思う。
居酒屋で酔っ払うシーンは、観ていて特に「なぜこの役者をキャスティングしたのだろう」という疑問ばかり浮かんで現実に引き戻された。
怒り
見終わって思うのはどこにもぶつけられない・ぶつけても消化されることはない「怒り」が東京、千葉、沖縄のキャラクターに共通するものなのかなと。
東京編の良さは綾野剛さんが全て持っている気がします。
囁くような声と薄い体と白い肌で普通の人より一層存在が儚い感じが演出されていて、ふらっと消えてしまったかと思ったら死んでるなんて思わないでしょ。犯罪者かも、って疑ってたんだからより衝撃が大きかった。
2人は出会いこそ気まぐれだったのかもしれないけど、
この作品の3つのお話の中では一番やさしいお話しで、
妻夫木さん演じる優馬の自分の疑ってしまった気持ちに対する怒りがとても悲しい。
墓地での「一緒の墓入るか」って言葉と、その後の回想で2人窓際で外を眺めながら幸せそうに直人が「一緒は無理でも隣ならいいな」って呟くように言ったときは泣いた。
なんで病気だった事を言わなかったのかを考えると、
綾野さんが演じた役の直人視点から考えて治らない病気なのに言ってもしょうがないとか、愛したから悲しませたくなかったとか、考えるだけで悲しい。
「疑ってるんじゃなくてさ、信じたいんでしょ。」ってセリフが後になって涙腺にくる。
沖縄編は広瀬すずさんがすごく印象に残ってる。
モデルをやっている雑誌もCMも見ているし、生で見たこともあるけど演技については少しのドラマでしか知らなかったから、こんなにすごかったっけとドキドキするような演技でびっくり。
辰哉がお酒をこぼしてしまうシーンは予定外でアドリブで続けたハプニングカットがそのまま使われているらしくそれにもびっくり。
演技のリアリティがありすぎて目をそむけたくなるようなシーンもあったけど広瀬すずの演技力に目を背けられませんでした。でもしんどい。
森山未來さんが演じた田中は無造作に伸ばした髪や髭が少し不気味でどこにでもいるような雰囲気をまとっていた。
でも無人島にいることや、「誰もにも言わないで(ここにいることを)」というセリフ、泉に「田中さん」と繁華街で呼ばれたとき反応が遅れたことと驚いていたことから考えると一番怪しいですよね。
殺害の犯人として周りから疑われることもなかったし、
周りに信用されて信頼されていたからか、田中の「なんで信用できるの」っていうセリフでガーンとなりました。
優しい言葉をかけたり自分に刃をあてていたり、逆立ちになったり、気がくるっているおかしい人なんだってのが不気味でした。辰哉が怒りを表して田中を殺したけど多分その怒りはどうしようもないもので、田中を殺したからと言ってなくなるわけでもなくて、泉に関してもきっとそうで警察に通報しても、誰かに話してもどうにもならない怒り。
千葉編は渡辺謙さん演じるおとうちゃんの宮崎あおい演じるアイコへの愛情が痛いほど伝わってきた。第一に心配する気持ちが大きくて、アイコ自身のことや、素性の知れない田代と娘のアイコが距離を縮めつつある事。お父ちゃんの悩んでいるのがひしひしと感じ取れた。
お父ちゃんが田代に言った「あいつすこしおかしいんだよ(うろ覚え)」セリフはアイコの知能の事をいっているのかな?感じているものが当たっていれば、小さい子供から目を離せない的な。
でも、それをわかってアイコといると「落ち着く」、
「なんでも話してしまう」と言った田代とアイコの間には2人にしかわからないような空気感があったんだなと。
千葉編に関しての「怒り」はアイコじゃなくて渡辺謙演じるお父ちゃんが感じたもの。疑ってしまったばかりにアイコを惑わせてしまった自分への怒り。
宮崎あおいのすっぴんであどけない雰囲気に、泣き狂った演技が印象強い。
終わり方としては3編とも何ともいえない感情が迫って来る。つらいとか悲しいとかしんどいとか。
私は綾野剛さんと妻夫木さんの東京編を楽しみに見に行った映画だったのですが、想像以上にすごいものを見せられてしまった感が半端ない。LINEliveで渡辺謙さんが言っていたように東京編が一番純愛だったんですが、整理しながらここに書いていると悲しくて泣きそう。行為後のよだれとか、コンビニでお弁当と一緒に男と使うための避妊具買ってる綾野剛が最高だったのをメモしておきます。
疑問を投げかけるとしたら、電話で話していた空き巣の件と夫婦殺害の動機ですかね。動機なんてものはない。ってのもありだと思っています。
各俳優陣の演技にリアリティがありすぎてスクリーンに飲み込まれているような感覚を持ったシーンも何度かあった、ミステリーというより人間ドラマだった、人を愛すること、信じることが何を生むのか、信じるために何をするのか、考えさせられる作品でした。
見えない心、聴こえない怒り 【修正】
まずは一言、重い。
3人の誰が残虐な犯人か?というサスペンスではあるが、
本質は『人を信じる』ということの困難さを描いた作品。
人間不信に陥りそうなほど暗く重苦しい内容だが、
最後には僅かな希望を感じさせる、そんな映画だった。
.
.
.
メイン・サブ問わず誰も彼もが良い演技を見せる本作。
全員について書くと長大になるので数人だけ抜き出す。
まずは泉を演じた広瀬すず。惨(むご)い場面にも
果敢に挑み、キャスト中でも最大級の純粋な怒りを
叩き付ける。序盤の快活さが一転して絶望的な表情
に変貌する様は見ていて本当に胸が苦しかった。
あまりに無防備な心の持ち主である愛子を演じた
宮崎あおいも、自分を信用しきれない父への静かな怒りを
感じさせる、掲示板前でのあの深く暗い眼が恐ろしい。
娘を守りたいあまりに娘を信じきれない渡辺謙も流石の重厚感。
犯人・森山未来はもはや悪人ではなく邪悪ですらある。
自身の境遇への怒りに満ちた彼にとって、
他者の不幸は胸のすく絶好の物笑いの種でしかなく、
人の優しさは自分への優越感と嘲りの表れでしかない。
だが彼は、内に抱えた怒りを長年誰にも伝えることが出来ず
壊れてしまった人間なのかもしれない。他者への怒りと
蔑みと嘲りで充満したあの部屋が、そのまま彼の心の内だ。
.
.
.
だが我々はあの男の部屋の中に入る術を持たない。
あの心の内を直接覗き込む手段を持たない。
あまりにも当たり前で、あまりにも不幸な事実として、
人の心は目に見えない。
この物語で起こる悲惨な出来事の根幹はすべてそこだ。
相手をどれだけ慕っていようが愛していようが、
他者の本心や過去の全てを知ることはできない。
そして、見えないものを信じられるかどうか
判断することは、誰にとっても恐ろしく難しい。
だから、信じきれずに裏切ってしまう。
あるいは、信じていたのに裏切られてしまう。
.
.
.
自分の身に降りかかった事に対する怒り。
あるいは、信じていた人に裏切られた怒り。
他方、信じてくれた人を裏切ってしまった後悔。
人の体の肉は柔らかいが、心は分厚く硬い。
直人と優馬のように、どれだけ強く
抱き合っても決してひとつにはなれないし、
泉や愛子が言う通り、泣いても叫んでも、
怒りは他人の心には伝わり切らない。
けれどもだ、泣くことも叫ぶこともしなければ、
その怒りは千分の一、万分の一すらも伝わらない。
怒りを表に出すことは、時に尋常ではない勇気を
要するが、己を守る為にも、誰かに守って
もらう為にも、それはきっと必要なことなのだ。
逆に、慕っている人を裏切ったという
後悔に苛まれた者はどうすれば良いのか。
エンドロールで流れる本作の主題歌のタイトルは
“許し”だった。“怒り”に対しての“許し”。
「今度こそ守るから」という愛子の言葉に
オーバーラップする、泉の怒りの表情。
どんなに悲惨な出来事が起こっても、
どんなに酷い事をしでかしてしまっても、
我々は時を巻き戻すことが出来ない。
我々に出来るのは許しを乞うことだけだ。
今度こそ裏切らないから。
今度こそ信じてみせるから。
今度こそ絶対に守るから。
そう約束し、ひたすら許しを乞うことしかできない。
歯痒いけれど、それで相手が心に負った傷をほんの僅かでも
癒せるならと信じ、必死に許しを乞うことしかできない。
最後、
薄汚い言葉を必死に削り消そうと
してくれた人の名を呟く泉。
打ち寄せる波に掻き消されそうになりながらも、
微かに、だが確かに聴こえる彼女の絶叫。そして、
帰路の列車で穏やかな表情を浮かべる愛子と田代。
どん底に重い物語ではあるけれど、それでも
この物語では、最後に薄らとした光が見える。
それはきっと、前に進み続けることでしか目に入らない光だ。
直人の最後の台詞。あれはある種の諦めでもあるし、
『それでもどこかで人は繋がっていられる』
という希望でもあったのかもしれない。
「一緒は無理でも、隣ならいいよな」
.
.
.
泉の母についてもっと詳しく描いてほしかったとか、
やはりあの犯人像がややカリカチュアされて感じるとか、
妻夫木&綾野パートが他パートと比べてやや弱いとか、
細かな不満点はある。
だがそれでも、暗く力強く人を惹き付ける映画。
素晴らしい出来だと思います。4.5判定で。
<2016.09.17鑑賞>
胸が痛い…
とある殺人事件の容疑者と思われる3人の男が、日本の各地に現れる。
素性の知れない彼らに出会い、心惹かれていく人々。
この人は殺人者なのか? 疑いと、それでも信じたいという思いの狭間で苦悩する。
森山未來、広瀬すずの沖縄編が、一番胸に刺さった。
朗らかな役柄の多い広瀬すずだけれども、今回は米兵にレイプされるという、とてつもない傷を負わされる少女、泉を演じる。
自分が酔っ払ったばかりに、憎からず思っている泉を被害者にしてしまった少年、辰哉。
その辰哉の苦悩を共に分かち合う田中。
素性は知れないものの、2人の兄貴分として大人の振る舞いをする田中だけれども、しかし…
この沖縄編は、3人がそれぞれ質の異なる怒りを抱えている。
田中の抱える怒りは、明らかに異質。
同情するのはかなり難しい。
泉の抱える怒りは、あまりにも悲しい。
彼女がレイプされたことは、ただただ不運としか言いようがない。
彼女には何の落ち度もないからだ。
辰哉はひたすらに自分を責める。
自分が酔って、前後不覚になったせいで、泉を被害者にしてしまった。
彼は生涯自分を責め続けるだろう。
誰からも赦しを与えられることもなく。
泉がレイプされるシーンは、本当に辛かった。
あんなにも辛い涙を映画館で流したことはなかった。
作り物だと分かっていても、あまりにも理不尽で残酷な暴力を目の当たりにして、平常心ではいられなかった。
東京編、千葉編も良かった。
宮崎あおい=愛子は、まっとうに生きられない自分と、そんな自分が過ごすであろう人生を受け入れつつ、それでもなお、松山ケンイチ=哲也と出会い、「こんな自分でも幸せになりたい」と願う。
娘の愛子を愛しつつも、「こんな娘が幸せになれるわけがない」と諦めも感じている父、洋平=渡辺謙。
ゲイの優馬=妻夫木聡は、ゲイが集う場所で直人=綾野剛と出会い、自分の家に住まわせる。
最初のうちは、おそらくはセックスフレンドとして。
しかし、穏やかで心優しい直人に、深い愛情を抱いていくようになる。
だからこそ、とあるカフェで見かけた見ず知らずの女性と談笑する直人の姿に、強烈な嫉妬と絶望を感じたのだろう。
3人それぞれが別々のきっかけにより、深い関わりを持っていたはずの人の前から姿を消す。
この3人の中に、殺人犯がいるのだろうか?
見終わって、深い溜息が出た。
人を信じるとは、なんと難しいことなのだろう。
人を疑うとは、なんとたやすいことなのか。
自分は、いったい何を信じているのだろうか。
何に怒りを感じているのだろうか。
その怒りの矛先は、どこに向かっているのだろうか。
信じることができない自分自身なのか、信頼を裏切った大切な人なのだろうか。
とても丁寧に作られた、しかし猛烈な熱量を感じる映画だった。
だからこそ、何度も繰り返し観ようという気が起きない。
今でも、腹にズシリと何かが残っている感じがする。
自分のことは、自分自身が一番分かっていないように思える。
知り合った人の数だけ、「本当の自分」が分身のように生まれている。
そんな風に思ったりもする。
僕は誰を信じているだろうか。
誰が僕を信じてくれているのだろうか。
改めて、大切な人といろいろ語りたくなった。
自分自身への怒り
人が人生すら左右されてしまうほど怒りを感じるのはきっと自分自身を許せない時だと思う この映画は 信じれなかった人 と信じてしまった人 が消えない怒りと苦しみに向き合う映画だった そして犯人も 一杯のお茶を差し出されてしまった そんな自分を許せないゆえの怒りが事件の動機だった とにかくまずこの 怒り というタイトルが秀逸だと思う
登場人物が向き合う 怒り の1つ1つがズシーンと心にのしかかって来て見てて辛い あんまり役者が泣きわめいたり叫んだりする演出は好きではないけどこの映画はこっちまで叫びたくなるぐらい見てて来るものがあった 大体の日本映画の場合大体観客側が泣きたくなる前に登場人物が泣き始めてしまうのでこっちは少しシラけるという 演出力不足ゆえの問題があるけどこの映画は上手かった 特にこの映画の広瀬すずの、今ブレイク中の若手女優がやる役とは思えない 米兵にレイプされるというあまりにも辛すぎるシーンは見てるだけでも涙が出てきた 本当に許せないし 怒りが湧いてくる
他にも渡辺謙や宮崎あおいはもちろん妻夫木聡と綾野剛のいわゆる体当たりな演技とか役者陣の力が凄く大きいと思う 人気と実力を兼ね備えた日本最高峰の役者陣の映画だった
ラスト 宮崎あおいは少し前向きな気持ちになれてたと言えなくもないけど あの希望の裏で渡辺謙が抱える 娘を信じられなかった という傷と自分への怒りは多分一生消えないし 広瀬すずが抱えた怒りと悲しみは想像を絶する辛さだった
とにかく見ててこんなに凹む映画は中々ない
でも 見てよかったとも思う
綾野剛が弁当の傾きを直しながら歩くシーンは ものすごく共感した 何か良い解決策はないものか
重かった…がこれぞ映画。
終始宮崎あおいちゃんの演技に見惚れつつ(やっぱり凄いんだなぁと思いながら)松ケン刹那〜って思って涙し最後は良かったー、ってなったけど、他の2つの方は犯人は森山未來じゃなくて綾野剛だと思ってたので(だってホクロがあったじゃん)少し理解不足(^^;;
重くて辛い話だったけど俳優陣の演技が素晴らしかったのでアカデミー賞いくかなー!と思ったり。
しかし、怒りというエネルギーは恐ろしい。←これでまとめていいのか?よく分かっていない(^^;;
広瀬すず頑張ってたな~
「怒り」鑑賞。
〈あらすじ〉
八王子夫婦殺害事件の1年後、東京、千葉、沖縄という3つの場所に、それぞれ男が現れたことがきっかけで巻き起こるサスペンスドラマ。
◎良かった所
・俳優が豪華。渡辺謙、宮崎あおい、森山未來、広瀬すず、妻夫木聡、綾野剛、三浦貴大、松山ケンイチ、ピエール瀧など。。そして、迫真の演技が素晴らしい。渡辺謙の演技、妻夫木聡と綾野剛のゲイプレイ、宮崎あおいが大号泣シーンは圧巻。
・内容は意外にもタイムリーな内容で、沖縄の普天間基地の問題や米兵の婦女暴行事件が絡んでました。びっくりしたのが、泉役を演じる広瀬すず。米兵に犯されるシーンには驚きましたね。。広瀬すずは泣き叫んでましたから。いやぁ~ここのシーンはホント頑張ってたな~って思いました。。
・妻夫木聡と綾野剛のゲイプレイがスゲー生々しい。(笑)
・誰が八王子夫婦を殺害したのか、全員を疑ってしまう。誰を信じたらいいのか、全然展開が読めなくて、最初から最後までハラハラしました。
・ネタバレですが、真犯人の森山未來の狂った(?)演技が素晴らしい。動機の理由も酷かったな~最低すぎる。(^^;
◎気になった所
・泉とタツヤ、田中(山神)と居酒屋から出た後、どうしてタツヤは急にいなくなったのか理由がわからない。
しかも米兵に犯されてる泉を怖くて助けられなかったしね。。
・群像劇なのにそんなに繋がりがない。
・犯人はタツヤに殺されたので、夫婦を殺害した動機が結局分からなかった。
~まとめ~
・観る前は、そんなに、期待はしていなかったのですが、思ったほど非常にシリアスで、タイムリーな内容で、少しだけ複雑な感じはありましたが、なかなか面白かったです。(^^)v
女優『広瀬すず』の覚悟見届けて
本日9月17日いよいよ公開日です。
私は先日、ジャパンプレミアムにて一足先に観せていただきました。
すでに3日も経っているのに見終わった衝撃と動揺が続いています。
主演の渡辺 健さんが舞台挨拶で『監督、俳優陣達が、のたうちまわって作った作品です』
また現在超メガヒット中の「君の名は。」の映画プロデューサー川村元気氏(この映画も企画)も『心がえぐられるよな映画』というようにまさに観た人の心を揺さぶる映画でした。
観る側も覚悟が必要な映画だと思いました。
人を「信じる」ってどういう事なのか。
人を「裏切る」ってどういう事?
自分の周りのすべての人との関わり合い。どう向き合うのか?
恋人、友人、家族。
この映画を観てなぜ衝撃を受けたか、今でも動揺している理由は森山未來、広瀬すず、佐久本宝(新人)が演じた沖縄の物語によります。
東京編、千葉編とも私としては心に納める事ができる内容でした。
が、沖縄編は今でも心が締め付けられます。苦しいです。でもこの沖縄編のシーンがあってこそこの映画が成り立つような気がします。
恐らく人の人生には何回か、どうする事も出来ない大きな壁にぶつかりもう立ち上がれないほどの絶望感を抱くシーンがあるはずです。(できれば遭遇したくないけど)
恐らく李監督の事ですから一切の妥協は許さない撮影現場であったはずです。
彼女がこのシーンを撮影した時はまだ17歳でした。
女優だからってそこまで自分を追い込まなければならないのか?こちらの方が苦しくなります。
『覚悟』のある女優だとある若手俳優が言ってました。
撮影後何時間もその場で泣き続けたとも聞いてます。その後の映画(4月は君の嘘)宣伝で最近バラエティ番組に多く出演してますが何事も無かったような屈託のない愛くるしい笑顔をお茶の間に届けてくれてます。余計に苦しくなります。
どうしようもない現実に自分の心が引き裂かれる。それでも前を向いて生きていかなくてはなりません。
ラスト近くのボートのエンジンをかけて沖縄の青い広大な海に一人で乗り込んで行くシーンがとても好きです。
全218件中、201~218件目を表示