怒りのレビュー・感想・評価
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3箇所もの話が必要なのか?
東京・千葉・沖縄3箇所それぞれが単独で充分作品を成立させられる重ためのテーマにもかかわらず、観ている側としては犯人探しにも気を取られるため、どの話も中途半端な印象になってしまった気がします。
純粋に信じた者が一番傷つくという結末も、ひたすら救いがないです。
まぁ、原作もそうなのだから仕方がないのかもしれませんが。
話の中では、東京の話が良かったです。
「疑ってるんじゃなくて、信じてるんでしょ」
この言葉には救いがあります。
あと、演技はどの役も素晴らしかったと思います。殆どが単発で主役をこなせる俳優さんだらけだったので当然と言えば当然ですが、新人だという辰哉役も素晴らしかったと思います。ただ、泉役は、諦めと幼さと好奇心がない混ぜになっているはずの前半、平和な家庭育ちの純粋にピュアな高校生みたいに見えて、ずっと違和感がありました。彼女のラストのシーンも他の方も同様にコメントされているようですが、興醒めでした。
タイトルなし(ネタバレ)
先入観...
猜疑心...
疑いだしたら
キリがないのは否めないよね〜
もし
自分のまわりにそれらしき
人物がいて
良からぬ噂を聞いてしまったら
やっぱり
無かった事には出来ないよね
正しく無かったとしても
相手を傷つけたとても
真実を知りたいと思うのが
正直な行動なんだろなぁ〜
ラストはスッキリじゃないにしても
まだ
希望があったから
良しとしよう‼︎
タイトルなし(ネタバレ)
配役と俳優の演技がとても良かったと思います。
特に宮崎あおいちゃんが合っていて良かった。
愛子の歌舞伎町に家出をするという行動から、危なっかしい演技が上手い二階堂ふみちゃんが適役なんじゃないかと思いつつ鑑賞しました。
でも実際に鑑賞したら、愛子は想像してたような自己愛が強そうで精神的に不安定な家出娘とは真逆な
、少し知的に問題のある限りなく純粋な人なんだと思いました。
そんな打算的なところがない彼女だからこそ葛藤が痛々かった。
透明感のある宮崎あおいさんにぴったりな役だと思いました。
あとは全体的にとても良かった。それぞれの物語が良かったからこそ、軸が3つだから盛り上がる部分が分散している印象があってちょっとテンポが良くないと感じるところがありました。
怒りがこみ上げる
大仰な音楽
泣きわめく俳優
きれいな沖縄の海に、ボートが違和感満載に走る。
フイルムおかしい?
あんな不幸や暴力のオンパレードの中でしか、人の信頼関係が描けないなんて、嫌な話だ。
本当に、怒りがこみ上げる
森山未來さん、すごい俳優なのに、音楽も大好きな人なのに
悲しくなる
体に雷が落ちたかのような衝撃
久しぶりにえげつない邦画だったと思います。
映像のグロさや演出というよりも、中身が桁外れに素晴らしかった。
桁外れなだけに、こちらが理解できるかどうかだと思います。この「怒り」、誰にでも当てはまり、どのようにも解釈できる、でも形容し難い、そんな人間のドス黒い部分を描ききっていると感じました。
この豪華なキャスト陣の演技合戦は秀逸でした。特に沖縄編に出演していた広瀬すずさんと佐久本宝さんはあれだけの俳優陣に負けず劣らずの存在感と演技がありました。
是非とも見て欲しい傑作ですので、まだの方は是非お早めに。
衝撃
キャストが豪華で、本当に素晴らしいです。
演技に違和感を全く感じずに鑑賞できるのは本当に良いです。
ストーリーと音楽がマッチしていてなんども鳥肌が立ちました。
ストーリーとキャストに関してですが、一番犯人ではなさそうな人が犯人でした。
宮崎あおいさんは、すこし変わった女の子の役でしたが、声などがむやみに明るい感じで、とても演技が上手かったです。
松山ケンイチさんは、怪しそうな雰囲気を出しながらも宮崎あおいと話しているときは楽しそうにしています。さすがでした。
すこしだけ気になるのが、松山ケンイチが自分が殺人犯だと告白したというのがなんだったのか、ということ。
渡辺謙さんもとてもよかったのですが、主演の理由がよくわかりません。
妻夫木さんと綾野剛さんですが、ゲイという難しい役をよくやりきったとおもいます。
妻夫木さんは一目見るだけでゲイに見えました。すごい役作りです。ラストに泣いているシーンも理性を超えたという表現が適当なくらい、演技には思えない。すごい演技力です。
綾野剛さんは日本で一番悪い奴らも観たのですが、全く雰囲気が違いました。口調も違いますし、役者はすごいと実感させられました。
ひとつだけ、綾野剛はゲイっぽくなくて、妻夫木さんが強引にやってるだけのような感じがしました。
広瀬すずさんと森山未來さんですが、森山未來さんはもう見るからにサバイバルマンみたいな感じでした笑
広瀬すずさんは米兵にレイプされてしまってからあまりでてこないですが、その演技は上手かったです。
また、唯一の新人俳優である佐久間くんは結構演技もうまかったですし、最後の緊迫したようなシーンは良かったです。
高畑充希などの大物をあんなチョイ役で使ってしまうこの映画は、本当に豪華で見ごたえがあります。
この映画で本当に演技が上手いと思ったのは、妻夫木さんと宮崎さんですね。
最後に、題名「怒り」の意味、それがわかりました。
壮絶なストーリーです。
演技合戦
ストーリー的には破綻してるよね。
思わせぶりに伏線らしきものをチラチラさせる割にさほど説得力が無い。
犯人の血文字を使ってまでの犯行の動機に説得力がないし、まして潜伏後になぜあのような行動をしてたのか繋がらない。
それに、綾野・妻夫木パートは関係なくない?
これらは映画でなく原作の責任かもしれないけど。
そのかわりに出演者の演技合戦は相当な高レベル。
中でも宮崎あおいの実在感は凄かった…
今回は妻夫木聡の軽いッぽい演技も説得力があったと思います。
「怒り」を完全に消化できず、重さがバランス悪く残る。
うーーーん、重かった(笑)
重いのはわりと大丈夫だけど、なんだろうな、
完成度の悪さでしょうね、きっと。
重いわりに感動が少ない。
評価は高いけど、恐らくこれは
小説の方が良かったでしょうね。
この映画のテーマは
「 疑心暗鬼 」
人はどうやって人を信じるのか、信じられるのか。
不安を掛け合わせて生まれる、疑心暗鬼を生ずる。
人間の不安定な心。
だけど信じたことによって狂う、人生の歯車もある。
はかりきれない人間の、心と心の、すれ違い。
ある指名手配中の殺人犯を追いながら
三部に分かれてストーリーが展開していくの。
これは、ひとつずつ。
見たかったなぁ丁寧に。
だから重いわりに、ほとんど中途半端で
消化をすることが出来なかったんだよ。
しかし妻夫木くんは演技が上手いね、ほんと。
Sぷりのドキドキゾクゾクが伝わってきました。
綾野剛くんのMぷりは、だんだん見慣れてきた。
2人のゲイのシーンは、見事に思い切っている。
そして個人的には一番切なかったストーリーです。
そして宮﨑あおいちゃんも、素晴らしかった。
少し役作りのためにふっくらしたかな?
その方が可愛い。
レビューにこの役は
宮﨑あおいには荷が重すぎたのでは?
という意見もあったけど、
そんなことは全然なかったと思う。
で、松山ケンイチくん。
こないだ役作りで太りまくってたのに
これまたスッキリして「ノルウェイの森」の頃の
初々しい彼を思い出すぐらいカッコ良かった。
役者さんって凄いですね。
で、個人的には
絶賛をされていた広瀬すずちゃんが
唯一キャスティングミスだったのではないかと…
思ったり(;'∀')するのは…私だけ???
確かに頑張っていたとは思うけど
泉という女の子の役は
もう少し儚げであってほしかった。
守ってあげたい儚さをイメージさせながら
そこから想像ができないくらいの破壊に近い
「怒り」を表出、表現ができる演技が見たかった。
そんな女の子をキャスティングにすると
もっとストーリーが活きてきたのになぁ。
〇〇事件に合う前と、合ってしまった後は
想像を絶するほど、それまでの人生が狂うはずなのに。
その演技に大した差がないように見えてしまった。
広瀬すずちゃんの演技力の乏しさが目立ったと思う。
でも沖縄の声とも言えるシーンは辛かった。
現状を生々しく理解を寄せるシーンでしたね。
一押しは、ほぼ無名である
若手の佐久本宝くんですね。
ヌボーットした新鮮な演技から、
ジワジワと怒りを表出していく。
あの場面には森山未來を食っていく
彼の役への陶酔が心から伝わってきました。
苦手なシーンが二箇所ありました。
〇妻夫木聡&綾野剛
恋愛は自由だと思うので、同性愛に対して差別はないのですが、ベッドシーンが妙にリアルで「あんまり見たくないな‥‥」と感じてしまいました。
私が女性だからという事と、あんなに生々しいシーンを見たのが生まれて初めてだったからかもしれませんが、どうしても生理的に受け付けなかったです。
〇広瀬すず
米兵に無理矢理‥‥のシーンがとにかく苦手というか、見てられなかったです。胸が締め付けられ、何とも言えない感情になりました。こんなシーンがあるなんて知らなかったので、知っていたら見なかったかもしれません。
ただ上記2件、私が不快感や苦手感を感じたということは、それだけ役者陣の演技が皆さん素晴らしかったという事だと思います。
秀作です。見なくてはダメでしょう。
いい映画でした。
ある殺人事件の犯人に関わった人たちと、その犯人ではないかと恋人を疑った2組の人達の話し。自分の恋人が殺人犯ではないか?と疑った者たち2人は疑ったことへの悔恨の念にさいなまれる。信じていた人が殺人犯でおまけに恋い焦がれた女の子がレイプされるのを静観された少年は殺人犯を殺してしまう。
3組 の人達は最後まで同じ場面では出て来ないが、上手に映画の中で溶け込んでいるのがすごい。
怒り、どうしようもない怒り。まぬがれない怒り、怒りからくる衝動。殺人。やってしまって後から感じる怒り。悔恨。
目まぐるしく動く人間の感情をよく描いた映画、俳優がよく演じているのが凄い映画です。
妻夫木と綾野のゲイシーンは良くやったなって感じ、凄い。
宮崎あおい、演技がホントにに上手い。
謙さん、、、安定、格が違う
広瀬すず、、、大女優の予感あり、、、太らないでね!
いい映画みました。李監督次回に期待大!
人を信じるということそしてその対価
沖縄の美しい海
さびれた漁港
日本の中心東京
三つの物語はそれぞれ別々なのに
一つの殺人事件を廻り絡まっていく・・・
単純に殺人事件の犯人は誰なのか、
愛した人が殺人犯だったら
というテーマとはまた違ったところで
沖縄が抱える米軍、軍人による少女レイプ事件
カミングアウト出来ない同性愛者の家族
娘の幸せを願う父の後ろ姿など
深く考えさせられる話でした。
話が進むにつれ引き込まれ誰が犯人でもあって欲しくない
何故、あんな事件を起こしたのか。
そんな気持ちを見事に裏切ってくれました。
最後に語られるそれぞれの真実
自分が余命幾許もない中それを隠し優馬に寄り添う直人。
透明で色の白い儚げな彼の姿
墓が一緒じゃなくても隣ならいいよな・・そう言った
直人
お弁当が傾くのを直そうとする後ろ姿が愛しくて切ない。
自分に対する自尊感情が低く見える愛子。
そんな愛子を心配する父。愛子自身も自分でこんな
自分が幸せになれるはずがないと心のどこかで思っているのだ。
愛子が警察に電話した後で犯人とは無関係だったと知った時の
人を信じられなかった自責からの号泣が切ない。
泉の事を遠回しに告白する辰也。「お前の味方にだったらいつだってなるからな」
そう田中に言われてどれだけ心が救われたろう。
一番守りたかった泉を守ることが出来なかった。
そんな苦しみを田中に打ち明け信じた。
そんな田中に裏切られ罵られて鋏を手にした
辰也が切ない。
ラスト、海へと走る泉
田中の壁の心無い書き込みをみて
辰也の名前を口ずさむ
全てをしる泉
海の中で大声で叫ぶ
その声の意味は、悲しみ?苦しみ?怒り?
いつか、それぞれのキャスト達に光がさす
未来が来て欲しい。
一つだけ、やっぱり最初の殺人事件を起こした
田中の動機がはっきりとは解らなかったこと
彼の持つ怒りは何だったのか
そこがよくわかりませんでした。
信じていた人に裏切られる気持ち
どこまで人を信じればいいのか
そこから生まれ出す疑心暗鬼と葛藤、そして後悔
怒りは連鎖する、
連鎖する怒りを断ち切っていきたい
そう思った作品でした。
怒り
最後は心の震えが止まらなくなるくらいの名作です。
沖縄が抱える現実問題。ゲイがひとりで生きることの切なさと家族
との関係、社会保障のない若者の社会への反感や孤独などが入り乱れて、普段は目に見えない、いや見ようとしない現実社会に潜む怒りと悲しみ。
この怒りは誰もが持っている「怒り」ではないだろうか?
結局「怒り」は悲しみしか生み出さない。
渡辺謙の背中のシーン、宮崎あおいの「お父ちゃん」っていう
声は何故か都会の真ん中で暮らす人々の心に響く。
それぞれの役者がそれぞれの演技で3つのドラマを1つの映画に
仕立て上げた感じです。
ラストは、直人の遺骨を同じ墓に入れるシーンがあっても良かった
のではないかと思いました。
ここまで重い題材でPG12?ミスキャスト0の傑作
原作とほぼ同じなのは千葉編。愛子のキャラこそ原作と一番違うが一番目を惹いたのは宮崎あおい。ベテラン俳優はほぼ渡辺謙1人だけというのも珍しいかも。
劇場で聞く大音量の米軍機飛行音を聞くと沖縄の現状に胸が痛くなる。
原作を読んだ上で
原作を読んだ上で鑑賞しました。
小説の時点で凄く感動したので、どうなるかなと思いきや、さすが悪人のタッグ。
映画も感動しました!
しかし、やはり描かれてない部分だったり、最後の展開で田中の告白があったりと、そこが無いからこそ面白いと思ってたので、「原作ファンとして」残念
しかし、映画としては上手く4つの話を繋げけてて観やすく、とてもいい映画でした。
今年の1番でしょう。
「信じる」って簡単じゃない
信じきることの難しさ、信じたものが虚像かもしれない怖さを感じました。
印象的だったのは、山神が辰哉に放った言葉。
「お前は俺の何を見て俺を信じたの」
この言葉を反芻し、自分は何を見て人を信じているんだろうと、映画館からの帰り道自問自答していました。
「信じる」ということについて深く考えさせられた映画でした。
心がえぐられた
この映画の中に複数存在するテーマ、親子・同性愛・はみ出し者同士の恋愛など、それぞれの葛藤を静かにさらけ出されて、観ていて心がえぐられた。
綾野剛の、スクリーンに存在しているだけで庇護欲をかきたてられるような健気な表情が魅力的だった。
松山ケンイチは、死んだ魚のような目をしている中で一時見せる意思の強い目にはっとさせられた。
広瀬すずの暴行シーンは衝撃的だった。
緊迫した空気と絶望感がひしひし伝わって、ここまで全力で演じるのかと女優魂を感じた。
その後、母親とベッドで眠っているシーンの愛くるしさと穢れのジレンマに心が引き攣る感覚があった。
宮﨑あおいはとても好きな女優だが、どうしてもすっぴんが気になってしまった。
大スクリーンに映し出されるシワやシミ。
どうみても30代だけれど、この役の設定年齢は何歳なのだろう?と考えてしまった。
広瀬すずとの対比でことさら加齢が目立った。
すっぴんという「設定」でコンシーラーや薄いファンデーションを塗ることすら許されなかったのだろうか。
ストーリー以外のことに観客の気をそらすほどのすっぴんはいかがなものかと思ってしまう。
また、どうしても宮﨑あおいが「バカ」にみえない。「バカを演じている」ようにしか見えなかった。
こういう人種の人が腹式呼吸でしっかり発声しているイメージがない。
話し方がふにゃっとしていても、宮﨑あおいの芯があるよく通る声に違和感があったのかもしれない。
一番気になったのは、広瀬すずの相手役の無名の役者。なぜこの役者を選んだのだろうか。
後半にかけて感情を前面に出すシーンの演技はまだ観れるが、「普段」の演技が正直いかがなものかと思う。
居酒屋で酔っ払うシーンは、観ていて特に「なぜこの役者をキャスティングしたのだろう」という疑問ばかり浮かんで現実に引き戻された。
怒り
見終わって思うのはどこにもぶつけられない・ぶつけても消化されることはない「怒り」が東京、千葉、沖縄のキャラクターに共通するものなのかなと。
東京編の良さは綾野剛さんが全て持っている気がします。
囁くような声と薄い体と白い肌で普通の人より一層存在が儚い感じが演出されていて、ふらっと消えてしまったかと思ったら死んでるなんて思わないでしょ。犯罪者かも、って疑ってたんだからより衝撃が大きかった。
2人は出会いこそ気まぐれだったのかもしれないけど、
この作品の3つのお話の中では一番やさしいお話しで、
妻夫木さん演じる優馬の自分の疑ってしまった気持ちに対する怒りがとても悲しい。
墓地での「一緒の墓入るか」って言葉と、その後の回想で2人窓際で外を眺めながら幸せそうに直人が「一緒は無理でも隣ならいいな」って呟くように言ったときは泣いた。
なんで病気だった事を言わなかったのかを考えると、
綾野さんが演じた役の直人視点から考えて治らない病気なのに言ってもしょうがないとか、愛したから悲しませたくなかったとか、考えるだけで悲しい。
「疑ってるんじゃなくてさ、信じたいんでしょ。」ってセリフが後になって涙腺にくる。
沖縄編は広瀬すずさんがすごく印象に残ってる。
モデルをやっている雑誌もCMも見ているし、生で見たこともあるけど演技については少しのドラマでしか知らなかったから、こんなにすごかったっけとドキドキするような演技でびっくり。
辰哉がお酒をこぼしてしまうシーンは予定外でアドリブで続けたハプニングカットがそのまま使われているらしくそれにもびっくり。
演技のリアリティがありすぎて目をそむけたくなるようなシーンもあったけど広瀬すずの演技力に目を背けられませんでした。でもしんどい。
森山未來さんが演じた田中は無造作に伸ばした髪や髭が少し不気味でどこにでもいるような雰囲気をまとっていた。
でも無人島にいることや、「誰もにも言わないで(ここにいることを)」というセリフ、泉に「田中さん」と繁華街で呼ばれたとき反応が遅れたことと驚いていたことから考えると一番怪しいですよね。
殺害の犯人として周りから疑われることもなかったし、
周りに信用されて信頼されていたからか、田中の「なんで信用できるの」っていうセリフでガーンとなりました。
優しい言葉をかけたり自分に刃をあてていたり、逆立ちになったり、気がくるっているおかしい人なんだってのが不気味でした。辰哉が怒りを表して田中を殺したけど多分その怒りはどうしようもないもので、田中を殺したからと言ってなくなるわけでもなくて、泉に関してもきっとそうで警察に通報しても、誰かに話してもどうにもならない怒り。
千葉編は渡辺謙さん演じるおとうちゃんの宮崎あおい演じるアイコへの愛情が痛いほど伝わってきた。第一に心配する気持ちが大きくて、アイコ自身のことや、素性の知れない田代と娘のアイコが距離を縮めつつある事。お父ちゃんの悩んでいるのがひしひしと感じ取れた。
お父ちゃんが田代に言った「あいつすこしおかしいんだよ(うろ覚え)」セリフはアイコの知能の事をいっているのかな?感じているものが当たっていれば、小さい子供から目を離せない的な。
でも、それをわかってアイコといると「落ち着く」、
「なんでも話してしまう」と言った田代とアイコの間には2人にしかわからないような空気感があったんだなと。
千葉編に関しての「怒り」はアイコじゃなくて渡辺謙演じるお父ちゃんが感じたもの。疑ってしまったばかりにアイコを惑わせてしまった自分への怒り。
宮崎あおいのすっぴんであどけない雰囲気に、泣き狂った演技が印象強い。
終わり方としては3編とも何ともいえない感情が迫って来る。つらいとか悲しいとかしんどいとか。
私は綾野剛さんと妻夫木さんの東京編を楽しみに見に行った映画だったのですが、想像以上にすごいものを見せられてしまった感が半端ない。LINEliveで渡辺謙さんが言っていたように東京編が一番純愛だったんですが、整理しながらここに書いていると悲しくて泣きそう。行為後のよだれとか、コンビニでお弁当と一緒に男と使うための避妊具買ってる綾野剛が最高だったのをメモしておきます。
疑問を投げかけるとしたら、電話で話していた空き巣の件と夫婦殺害の動機ですかね。動機なんてものはない。ってのもありだと思っています。
各俳優陣の演技にリアリティがありすぎてスクリーンに飲み込まれているような感覚を持ったシーンも何度かあった、ミステリーというより人間ドラマだった、人を愛すること、信じることが何を生むのか、信じるために何をするのか、考えさせられる作品でした。
見えない心、聴こえない怒り 【修正】
まずは一言、重い。
3人の誰が残虐な犯人か?というサスペンスではあるが、
本質は『人を信じる』ということの困難さを描いた作品。
人間不信に陥りそうなほど暗く重苦しい内容だが、
最後には僅かな希望を感じさせる、そんな映画だった。
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メイン・サブ問わず誰も彼もが良い演技を見せる本作。
全員について書くと長大になるので数人だけ抜き出す。
まずは泉を演じた広瀬すず。惨(むご)い場面にも
果敢に挑み、キャスト中でも最大級の純粋な怒りを
叩き付ける。序盤の快活さが一転して絶望的な表情
に変貌する様は見ていて本当に胸が苦しかった。
あまりに無防備な心の持ち主である愛子を演じた
宮崎あおいも、自分を信用しきれない父への静かな怒りを
感じさせる、掲示板前でのあの深く暗い眼が恐ろしい。
娘を守りたいあまりに娘を信じきれない渡辺謙も流石の重厚感。
犯人・森山未来はもはや悪人ではなく邪悪ですらある。
自身の境遇への怒りに満ちた彼にとって、
他者の不幸は胸のすく絶好の物笑いの種でしかなく、
人の優しさは自分への優越感と嘲りの表れでしかない。
だが彼は、内に抱えた怒りを長年誰にも伝えることが出来ず
壊れてしまった人間なのかもしれない。他者への怒りと
蔑みと嘲りで充満したあの部屋が、そのまま彼の心の内だ。
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だが我々はあの男の部屋の中に入る術を持たない。
あの心の内を直接覗き込む手段を持たない。
あまりにも当たり前で、あまりにも不幸な事実として、
人の心は目に見えない。
この物語で起こる悲惨な出来事の根幹はすべてそこだ。
相手をどれだけ慕っていようが愛していようが、
他者の本心や過去の全てを知ることはできない。
そして、見えないものを信じられるかどうか
判断することは、誰にとっても恐ろしく難しい。
だから、信じきれずに裏切ってしまう。
あるいは、信じていたのに裏切られてしまう。
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自分の身に降りかかった事に対する怒り。
あるいは、信じていた人に裏切られた怒り。
他方、信じてくれた人を裏切ってしまった後悔。
人の体の肉は柔らかいが、心は分厚く硬い。
直人と優馬のように、どれだけ強く
抱き合っても決してひとつにはなれないし、
泉や愛子が言う通り、泣いても叫んでも、
怒りは他人の心には伝わり切らない。
けれどもだ、泣くことも叫ぶこともしなければ、
その怒りは千分の一、万分の一すらも伝わらない。
怒りを表に出すことは、時に尋常ではない勇気を
要するが、己を守る為にも、誰かに守って
もらう為にも、それはきっと必要なことなのだ。
逆に、慕っている人を裏切ったという
後悔に苛まれた者はどうすれば良いのか。
エンドロールで流れる本作の主題歌のタイトルは
“許し”だった。“怒り”に対しての“許し”。
「今度こそ守るから」という愛子の言葉に
オーバーラップする、泉の怒りの表情。
どんなに悲惨な出来事が起こっても、
どんなに酷い事をしでかしてしまっても、
我々は時を巻き戻すことが出来ない。
我々に出来るのは許しを乞うことだけだ。
今度こそ裏切らないから。
今度こそ信じてみせるから。
今度こそ絶対に守るから。
そう約束し、ひたすら許しを乞うことしかできない。
歯痒いけれど、それで相手が心に負った傷をほんの僅かでも
癒せるならと信じ、必死に許しを乞うことしかできない。
最後、
薄汚い言葉を必死に削り消そうと
してくれた人の名を呟く泉。
打ち寄せる波に掻き消されそうになりながらも、
微かに、だが確かに聴こえる彼女の絶叫。そして、
帰路の列車で穏やかな表情を浮かべる愛子と田代。
どん底に重い物語ではあるけれど、それでも
この物語では、最後に薄らとした光が見える。
それはきっと、前に進み続けることでしか目に入らない光だ。
直人の最後の台詞。あれはある種の諦めでもあるし、
『それでもどこかで人は繋がっていられる』
という希望でもあったのかもしれない。
「一緒は無理でも、隣ならいいよな」
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泉の母についてもっと詳しく描いてほしかったとか、
やはりあの犯人像がややカリカチュアされて感じるとか、
妻夫木&綾野パートが他パートと比べてやや弱いとか、
細かな不満点はある。
だがそれでも、暗く力強く人を惹き付ける映画。
素晴らしい出来だと思います。4.5判定で。
<2016.09.17鑑賞>
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