怒りのレビュー・感想・評価
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やっぱ凄かった
すごいキャスティング
人間らしく
凄かった
錯綜する3つの物語は小説より効果的
【作品構成が分厚く、深くて、とても面白い作品。エンタメ性は薄いが、見応えがズッシリと心に響く作品。広瀬さん頑張ったなあ、と思った作品でもある。】
重厚なドラマが3本、音楽もよかった。
3つの話
小湊の漁港職員の娘と恋をする港でバイトをする男、沖縄の無人島で高校生カップルの前に現れたバックパッカー、都内で知り合ったゲイハカップルのネコ、という八王子の一家惨殺事件の逃亡犯とそれに似ている計3人の3人男達の話。
犯人探しのサスペンスではない。
終盤まで犯人探しは始まらず犯人と疑われることもないけれど、男達の不穏な様子と犯人がわからないという状況で起こる出来事がハラハラドキドキを募らせる。
答え合わせの犯人探しが始まっても、それはそれで又ハラハラドキドキ。
3つの話が交差することはなくそれぞれ違うテイストのラストが待っており、哀しさ、切なさ、暖かさ、憤り、モヤモヤの入りまじった何とも言えない作品だった。
もったいない
凄い作品を観た‼️
何と言おうか
怒りの方向性?
映画「怒り」の感想
再び、必見の作品。
監督・李相日×原作・吉田修一。
「悪人」で簡単に割り切れない人間の善悪に深く迫ったコンビが再び、人間の複雑な内面を深く描き出す。
またしても、力作!
李相日は今日本映画界で重厚な人間ドラマを描ける数少ない貴重な監督だ。
今作も年末の映画賞でノミネート常連となるだろう。
映画が描くもの、訴えるもの、伝えるものは観る側も受け止め切れないほど重い。
が、緊張感を維持したまま、各々が抱く感情、その人間ドラマの行く末から一時も目が離せない。
きっと映画賞選出者は誰を推すか相当頭を悩ますだろう。
主演クラスの実力派全員が、名演。
キャストクレジットでは渡辺謙がトップになっているが、若い7人が全員主役だ。
お飾りの役柄ではない宮崎あおいは近年ベストパフォーマンス、とあるシーンに果敢に挑んだ広瀬すずは女優として大きく一皮向けた。
大胆に絡み合った綾野剛と妻夫木聡。
重要な役所の森山未來、松山ケンイチ、綾野剛。
この3人の内一人がクライマックス、観る側に激しい嫌悪を抱かせるほどの本性を表し、その凄みは必見。
そして、唯一の新人、佐久本宝が印象を残す。
坂本龍一の音楽は格調高く、陰と陽の光差す映像は美しく。
また、沖縄が抱える問題もさりげなく。
ある殺人事件の容疑者に似ている3人の男。
彼らを愛した男たち、女たち。
それを受け入れるしか出来ない周囲の人々…。
千葉、東京、沖縄…3つのエピソードに繋がりは全く無い。
それ故殺人事件が物語の発端ではあるが、伏線張られ巧みに交錯する本格ミステリーの醍醐味も無い。
3つのエピソードの内一つが事件に関わるもので、後の二つははっきり言って間接的にも事件に関連無いが、無関係のエピソードが幾層にも重なり合って、人の業にこそ重みを置く。
“怒り”。
誰かに対してとか、不条理な社会へぶつけられたものではない。
いずれも向けられたのは自分に対して。
信じているのに、疑ってしまう…。
愛してるのに、信じる事が出来ない…。
自分ではどうする事も出来ない…。
このやるせない、苦しい、叫び出したい、怒り。
あなたに罪は無い、罪があるとすれば私。
どうかあなたに許しを乞いたい…。
怒りのその先にある救いに、静かに深く胸打たれた。
全くの余談になるが、
初レビュー作品は「悪人」。
同スタッフ、同テーマを兼ねて、同じレビュータイトルを付けさせて頂いた。
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