怒りのレビュー・感想・評価
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しっとりとした上質なサスペンス
PV、冒頭の凄惨なシーンやタイトルからは想像もつかないものすごく丁寧なサスペンス。異なる3つの場面でじっくりじっくり疑心を育て、待っている結末はどれも心揺さぶられるもの。つまり、すっきりした気分で映画館を後にできないので、カタルシスを求める人にはお勧めできない。 場面が3つもあるのでなかなか感想を書きにくい…。どれがよかったなんて考えるわけにもいかない。なぜなら3つともすべて味わいが全く違うからだ。 犯人候補の不気味さはどの場面でも雰囲気に現れている。それでもドジなところや生真面目なところがあって、人間臭さがある。だから最後まで犯人が誰か確信を持てない。そして犯人でなかった人への憐れみやその周りの後悔の念が心に突き刺さる。 うーん、どれもオチですべての決着をつける展開なので、ネタバレ防止機能があったとしても内容については書きたくない。ただ、どの場面も面白いし、PVで出てきた叫びや泣きもすべてに感情移入できる。ただ泣いたり怒ったりしているわけではないのだ。それがタイトルの怒り。 PVを観て「まーた泣いたり叫んだりして盛り上げるタイプの邦画かー」なんて思っている人には観てほしい。
なるほど!
3つの地域の切り替えが上手いなぁと思いました。 妻夫木さんと綾野さんはリアルに見せるためにプライベートで同居していただけあって妙な色気の2人。 そんな始まり方で付き合い始めたのか!と始まり方にはビックリ!! 始まりも衝撃なら終わりも衝撃でした。 それぞれに抱える過去等をもっと知りたいと思うとともに、最後の最後までいろんな要素を匂わせておいて…そう来るか!という作品でした。
妻夫木と綾野最高
ただこの一言に尽きる この二人を見るだけで価値がある 千葉パートの父親の腫れ物に障るような扱いがすごくリアル。 テンポもいい。 妻夫木綾野の写真集とかスピンオフ作ろうよと言いたくなるほどこの二人のために見る価値がある作品。
これはミステリー?
ミステリー?ヒューマンドラマ?群像劇?色々な要素が詰まっているが上手くまとめている、ミスリードの方法は多少強引かなあと。場面切換時の繋ぎ方は異なる物語があたかも繋がってるいるよう、この手法は誰かの得意技?
傷を抱え生きていくことの難しさ
前半はさまざまな人たちが抱える人には言えないような苦悩や秘密を現在の日本が誇る名俳優たちが演じ見ている人を引きこんでいきます。 中盤に起きる広瀬すずが米兵たちに犯される場面ではあまりにも可哀想で一気に映画館内が張り詰めた空気になりました。 そして謎の男たちの素性が明らかになっていく後半ですが少し無理のある展開があるものの愛する人でも疑いだしたら全てが怪しく見えてしまう怖さと何かおかしいと思いながらも自分の弱さから他人を信じてしまう怖さをうまく表現できていると思います。 市橋逃亡劇や世田谷一家殺害事件など実際に起きた事件の要素が散りばめられ実録もののような側面もあり2時間を超える映画ですが興味深く見れます。
絶望と諦め以外に選択肢がないことの重さ
【2016.10.8追記】 泉ちゃんのこれからのことを前回レビュー以降も考え続けてしまいました。 失った人や時間や後悔を100パーセント取り戻す事は出来ないけれど、かたちを変えて快復していくことはできるのかもしれません。 槙親娘はこれからの共同生活のなかで、優馬くんはこれから出会う人との関係性のなかで、今度は信頼仕切ってみようとまえを向く術はある。辰哉くんも、刑に服する(罪を贖う)ことで、なすべきことがそれなりに見えてくる。 ところが泉ちゃんだけは、なにも出来ないし、選択も出来ない。もし、被害を公にして闘おうとしても、日米地位協定等国家レベルのシステムが大きく立ちはだかる。秘密を共有する辰哉くんとはおそらく『さよなら渓谷』よりも難しい関係で、支えてくれる存在にはなり得ない。あの日、逃げることの出来ない恐怖の中で受けた心と身体の傷は自分一人で抱え続けて行くしかない。 泉ちゃんにとって選択肢は『絶望すること』と『あきらめること』のみ。泉ちゃんの咆哮が、『深くて重い』理由のひとつかもしれないと思いました。そして、現実の世界にも、そのような状況(決して犯罪被害者だけではない)の人びとがたくさんいるということに、もっと想像力を働かさなくてはいけないのだということにも気付かされました。 【以下、前回レビュー】 世の中には理不尽で邪悪なこと、もの、人が存在する。多くの人々は、幸いにもそんなことに巻き込まれることなく日常生活が送れているが、もし、自分もしくは家族や近しい人が巻き込まれたら? そんな想像もしたくない、けれども誰にも、何時でも、起こり得るということを容赦なく突き付けてくる凄まじい映画。 これから始まる辰哉くんの裁判で、泉ちゃんがもし、あの事実を証言したら彼の罪は軽減される。けれど辰哉くんは、何もできなかった贖罪の気持ちからそれを拒むのはわかっている。証言するかしないかは泉ちゃんの決断次第。そもそも田中さんに声かけて遅い時間まで飲むことになったのは自分のせいだし、などとあれこれ考え葛藤すると、被害者だった泉ちゃんさえも負い目を感じて自分を責めることになるかも知れない。優馬くんも槙親娘も皆、自分に怒り(強烈な自己嫌悪)をぶつけるしか無い状況で慟哭する。 そんな中、唯一、怒りを外(他人)にぶつけた者だけが、邪悪な存在(加害者)となっている? 卑近な話で恐縮ですが、組織におけるパワハラ(いわば、身近にいそうな邪悪なひとの例です)の加害者も自分のことは差し置いて(内省することなく)弱い他人に攻撃するタイプが多いような気がします。 本作で描かれたように、取り返しが付かないことになって初めて、何か出来ることがあったかもしれない、と思うことは現実にはたくさんあるし、解決出来ないことの方が圧倒的に多い。自分が出来ることは、せめて、邪悪な側(たとえば、パワハラ上司の顔色を伺っているうちに、自分も弱い立場の人にとっては邪悪なイジメる側に安住してしまうようなこと)にならないようにすることだけかも、と思い知らされました。それと同時に、もし自分が自分でコントロール出来ないような怒りに駆られたら、簡単にヤマガミになり得るのだという恐ろしい現実も認識させられました。でも、そう思うことにこそ希望もあるのかもしれません。そう思わないと、なかなか立ち直れないほどの衝撃でした。 最後の泉ちゃんの咆哮は、ある意味、東京駅でのシンゴジラよりも深くて重く、少なくとも、これでひと段落ではないと思いました。 篤姫・あおいさんのインセプション・ワタナベさんを圧倒する渾身の演技、悪人・妻夫木さんがロクヨン・浩市さん以上にみせる慟哭、海街・すずちゃんの体当たりの、という月並みな表現を超える出し切り感のある演技‥‥これだけでも五つ星でした。
表すことのできない感情
まずとりあえず、キャストが豪華。 怒り というよりかはまた別の感情が湧いた それぞれのストーリーには別々の何らかの 怒り があったとしたいのかな? ラストにかけてのシーンがぽんぽんと早い。 涙が出たことは確かです。普通の人とは違うニンゲンたちに自分が同情してしまった 残酷とか災難の狭間にある表すことのできない感情が、怒りへと変わったのでしょう 観終わるとかなり重い気持ちで、スカッとしなかった映画を久々に見ました
キャストの本気度が凄い
息をつかせぬ展開で、意図せずとも最後まで集中させられました、、 とにかく俳優陣の演技がすごい。 妻夫木and綾野剛も良かったし。ある意味あの歳であの役ができる宮崎あおいが凄いし。渡辺謙の哀愁も深い。そして森山未来の憑依型の演技がとにかく凄い。。最後まじでこわい。 ただ、しめくくりの広瀬すずの叫ぶシーンは、、 ちょっと笑ってしまいました。笑 まあ、このキャストの中じゃしょうがないですが。。 東宝映画で久しぶりに、良かったです。 他の雑音がない、是非映画館でみたほうがいい内容ですが、ディープなので大丈夫な人だけオススメです。デート向きではない。
死ぬほどヤな気持ち
考えてみれば、人は誰しも人生の主人公なわけで、脇役さんはいませんよね。 みんな、キャラが濃い。普通、主演クラスを複数使うと、全体がぼやけてしまうものですが、最後まで濃いキャラ炸裂。「悪人」「凶悪」「マイ バックページ」を、足して2.5で割ったところに「苦役列車」をほんのりトッピングしたテイスト。悪酔いしそう。東京、千葉、沖縄を舞台にした本作ですが、それぞれ独立した3部作になるくらい、死ぬほどヤな気持ちが、ぎっしりです。 人から喜怒哀楽、抜いたら何が残るのかしらとも思うのですが、たくさん怒って、たくさん哀しんで、最後に掴むもの知ることが、人の生涯ですかね。あるいは、取り返しのつかない過去と、修復すべき未来の狭間で、もがくことが、生きる証なのでしょうか。死ぬほどヤな気持ちと、本気で向かい合ったところで、周りからみたら滑稽なものにしか、見えないようですし。 喧騒に包まれた街も、穢れなき海原も、人を癒すことはないようです。それでも、怒りと云うパンドラの箱の底に、何かあると思いたいものです。
タイトルから期待した激しい怒りは、ゼロ
犯人が誰か、観客にはまず先に明かすべきだったのでは? 真実を知っていた、または、知らない、そこを行ったり来たり、焦らされたまま見せられ続けた挙句、精神破綻者にすべて悪があるみたいな押し売りには呆れた。 空撮と坂本龍一教授先生の音楽の力で、壮大な感じにしてみたものの、人智を超えるような奇跡は起きないし、芝居の不統一な人物に焦点が当たってつい吹き出しそうになったし、笑わせようとするシーンがまったくセンスないし、役作りの苦労話を宣伝文句に語り続ける豪華役者陣以外の、その大根役者っぷり、「あるある」演出には、白けてしまい、この作品の構造自体、粗探ししてなんぼ、それゆえよけいに粗が目立った。 偶然にも殺人事件と同じタイミングでまぎらわしい不審者が三人も日本各地で発生し、しかも思わせぶりなまま引っ張られる展開、これで引っ張ったのなら、最後のカタストロフィーはもっと爆発的なもの、またはあまりにも矮小でくだらないもの、であってほしかった。
怒り
鑑賞後、何と感想を言えばいいのか分からなかった。ただただすごい。途中息が浅くなってどうしようもない気持ちに何度もなった。 怒りという感情は悔しいとか悲しいと同じ種類のものだと思っていたが、この作品の怒りは違った。悔しいや悲しいはある意味真っ直ぐだし理由がある。しかし怒りにはない。どうしようもなく折り合いがつかなくて行き場がない。そんな怒りと向き合い続けたこの作品は私にとって忘れられない作品になると思う。 俳優陣の演技力が素晴らしいし、音楽もとてもよい。特にタツヤ役の佐々本宝さんと犯人の元同僚を演じていた人はすごかった。とにもかくにも全てがすごかった!もう一度観たい気持ちはあるけど精神力と体力がもう持たない。迷っているなら絶対に観るべき作品です。
まさに信じるか信じないかは、あなた次第。何をどう信じどう行動するか...
まさに信じるか信じないかは、あなた次第。何をどう信じどう行動するかは自分が決めるんだ、そう言われている気がした。ラストシーンで森山未來がカメラを見て言ったセリフはまるで自分に言われているようで、リアルに感じいい意味でぞっとした。 皆さんも言っている通り、俳優さんたちの演技がすごい。シーンの切り替えもうまく繋がれていて、ごちゃごちゃしているように感じなかった。 ただ私は原作の本を読んでから映画を観たので、省いているところがかなりあって残念だった(仕方ないけど)。それになぜか「あれ?このセリフはあの場所で、あの人が言ってたのにな?」とかラストシーンの描写も異なるので、それが違和感となって残った。犯人にもああして最後喋らせることで、映画だからより分かりやすくしたのかな? 映画を観終えた後は、自分の大切な人のことが頭に浮かんだ。その人のことを信じる自分を、信じたい。信じることの意味や難しさを、改めて実感できた。
絶望に立たされた人間を救ってくれる優しい映画
一人ひとりの役者がその役をとことん全うして演じきっているのはもちろん凄かったが、 なにより感動したのは吉田修一の小説の中に感じる絶望に立たされた人間に対する悲しくも優しいまなざしのようなものを、李相日監督が残酷なものを描きつつも、見事に表現しきっている所。 世間から見放されたような、孤立した人間たちに対する愛情が感じられた。
信頼
見下し苛立ち疑いや裏切り信頼するって難しい。身勝手な怒りは本当に怖いと思ったし世相を反映してるなと。犯人探しというよりは信じ抜く心。東京編の妻夫木の演技が素晴らしかった!ゲイのファンが増えてしまうのではないかと少し心配 笑。ていうか役者さん全員素晴らしい!重いって聞いていたけど最後は少しだけ霧が晴れたようなそんな印象、悪人を観た時みたいに。
言葉にならない
見終わって時間が経っても何度も色んなシーンを思い出しては、考えさせられる映画でした。 目を背けたくなるようなシーンをみてスクリーンから夏のどうしようもない暑さと悪臭までもが漂ってくるような気になってしまい、嫌悪感、まさしくその言葉がズシンと心にこびりつきました。 しかし、これらのシーンがなければこれほどまでに印象的な映画にはならなかったんだと思います。 酷くショッキングな描写もありましたが、役者さん一人一人が登場人物の心情を表情だけで伝えることのできる演技をされていて、怒り、愛する人を信じるとはどういうことなのか、信じるとはなんだろうか、を繰り返し繰り返し考えさせられました。 邦画も捨てたもんじゃない、そう思わされました。
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