「人を信じることの難しさ」怒り ゆさんさんの映画レビュー(感想・評価)
人を信じることの難しさ
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人を信じることの難しさ、をすごくよく描いていると思う。直人のホクロだったり田代の左利きだったり、モンタージュは2人に寄せてあるように思えた。だから観ている方も2人を疑ってしまう。深読みできる人はそんなことないかもしれないが。
沖縄の民宿のおばさんは、モンタージュと田中を見比べても「まさかね」という感じで一瞥していた。人を信じていれば、そんな小さな疑いは笑い飛ばすことができる。
どこかで人を信頼してないと、少しの疑惑が大きな疑いになる。
もしかしたら殺人犯なのかもしれない、なんて疑いをかけてしまう。
でもそれが間違いだったら?
相手を信じないということは、
優馬が直人の最期を見届けられなかったように、
愛子の前から田代が去ってしまったように、
大事なものを失ってしまう。
(愛子と愛子父がもう一度田代を信じたことで、田代は戻ってきたが。)
辰哉は田中を信じていたが、それを裏切られたことで彼を殺すという行為に至った。
信じないということも、裏切るということも、同じように大切なものを失ってしまう。
山神の殺人の動機は短絡的であるが、世の中から裏切られたように感じて起こした行動のように思う。殺人犯の心情まで理解はできないが。
信じるというのは難しい。
裏切られたら嫌だと思うからだ。
でも信じられてない方は、もっと悲しい。
簡単に人を信じられない世の中ではあるけど、せめて愛する人は信じたいと思うような、そんな映画だった。
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