「「人を信じること」を巡るしんどい群像劇」怒り ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)
「人を信じること」を巡るしんどい群像劇
しんどかった…こんなにもヘビーな作品だとは…今年は邦画「攻め」の年だと勝手に思っとるんやけどついに東宝がオールスターキャストで攻めてきた。正直ミステリーとしてはフェアじゃない気もするけど「人を信じること」を巡る群像劇として受け止めた。"Leap of faith"だな
特に沖縄パートがしんどくてなあ…米兵による暴行事件が今年もあったことは記憶に新しいけどまあそういうシーンがあって…図らずもタイムリーな作品になった印象。広瀬すずは本当に頑張ったと思う。森山未來とタツヤ君役の佐久本宝が対峙(というべきか?)する際の緊張感も素晴らしくしんどかった
東京パートは切ない東京ラブストーリーだった。妻夫木聡と綾野剛が2人ともチンコが見えないように寝るシーンには欺瞞を感じた(冗談です)
千葉パートは渡辺謙が普通のおじさんを演じきっていたからやっぱりケンワタナベは凄えよ!と思った。それはさておきこのパートに絶望の中の微かな希望が託されているのは間違いない。宮﨑あおいがこちらに向ける眼差しがそれを語っていた
技術的な面でいうと照明がとにかく素晴らしくて堂々たる作風を演出していた。あと犯人の顔を隠しまくっていた
TVスポットを見て思ったけど広瀬すずが吠えるのはやっぱりいただけん。やり切れない思いを表現するのに一番「らしい」のかもしれんけどそれじゃ今までの陳腐な邦画と変わらん。そこに至るまでが素晴らしいだけに惜しい。李相日監督は最後の最後でエモーションに振れ過ぎるのがクセなのかも
少女が海に向かって吠えたら萎えませんか?少なくとも俺はそう
『悪人』も『許されざる者』も幕引きが妙に湿っぽかった気がする(どちらもあんまり覚えてない)
『悪人』のラストって妻夫木のアップだったか。『怒り』もまあそんな感じ。多分やけど李相日は『戦場のメリークリスマス』に相当影響を受けたんじゃない?たけしのアップに教授の名曲が重なるあのラストに…『怒り』なんて完全にその系統でしょ。ホモ映画なのもある意味同じやし