「良くまとまっているが」怒り Ryuyaさんの映画レビュー(感想・評価)
良くまとまっているが
終わって一番に口から出たのは
140分、長い。
三本の映画をひとつのテーマで結びつけているため、ある程度長くても仕方ないが、それにしても体感時間は実際よりももっと長い。
熱量がすごいと言ってしまえばそうかもしれないが。
同じような手法だと、高校生のある一晩の出来事を同時に進行させるアメリカングラフティや、ラブアクチュアリーなどのオムニバス形式の作品が対比で挙げられる。
しかし、この映画はそれらとは明らかに異なる。
というのも、以上に挙げた作品のカタルシスは、一見関係なさそうな人たちが、どこか一点で交差するというその快感にあるが、この作品で三つのできごとを結びつける推進力とでも言うべきものは、誰が犯人なのか?という点。
ただし、三つの世界が交わるのはただその一点で、場面の切り替わりも映画的な手法、例えば足音がして振り替えったら場面が変わる、とかそういう技巧もない。ただ、三つの世界が同じくらいのペースで時間が進むだけ。
テーマは確かに今らしいもので固めている。
性問題、沖縄の基地問題などなど、いかにも知識人が好きそうなものがございとばかりに重厚だ。
ただ、どれも問題提起どまりで、役者の演技に頼った絵作りばかり。
怒りというアイコンも、雑多な感情を無理矢理ひとつのワードで片つけようとしている感じがして共感できない。
そういう諸々の点でこの作品を好きにはなれないし、そもそも三つの話をひとつにまとめたのは間違いだと言う気もする。
以上。
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