「構造的には正しいが、心情的に納得できないラスト」心が叫びたがってるんだ。(2015) kanazumi10さんの映画レビュー(感想・評価)
構造的には正しいが、心情的に納得できないラスト
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ラストが納得できない。
物語の構造は整然としていて、
順がトラウマ(タマゴ)と妄想(丘の上のお城と王子様=坂上)を乗り越えていく話、としてまとまる。
王子様とお城にまつわる順の物語はあくまで虚構であり、タマゴの呪いも実際に起きたファンタジー的な要素ではない。
そういう物語を用意しないと耐えられない彼女の心が生み出した妄想である。
なので、その彼女の筋書きにそって彼女を助けて励ましてくれる坂上は、あたかも王子様のようであるけれど、それも幻想であり虚構。
タマゴ = 坂上 = 王子様であることは、声優が同じ事でも示唆されていて、面白い。
また、タマゴに入っていくヒビが彼女のトラウマを破るカラのようにポジティブに表現されていたのに、失恋を機に一転して、ぐしゃぐしゃに割れてネガティブな見え方にすり替わるのには感心した。
以上から、
順の恋愛は虚構の上に成り立っているため、どうやっても成就しない事が構造的に途中で分かった。
だからこそ、その失恋をどう受けて順の気持ちをどのように進めるかが映画の主眼だと思って観ていた。
そのため、ラストシーンで田崎が順に告白しに向かうのは構造的に正しい。
坂上と結ばれるよりよほど正しい物語だ。と思う。
思うけど、田崎が順に惹かれた描写があまりにも足りない。そこに納得できない。
そういうエピソードが1,2シーンあれば、いう事なかった。
全体的には、とても優しい物語で、綺麗な気持ちになれるとても素晴らしい映画だと思う。
今後もこんな映画が巷に溢れればよいと思う。
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