「平和な時代の悲劇。本当の〝自由”を守る戦いを描く、異色の〝戦争映画”。」図書館戦争 THE LAST MISSION 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
平和な時代の悲劇。本当の〝自由”を守る戦いを描く、異色の〝戦争映画”。
【賛否両論チェック】
賛:自分達の存在意義に悩み苦しみながらも、本当の〝自由”を守るために戦い続ける主人公達が、切なくも勇ましくて、感動を誘う。前作よりもスケールアップされた、緊迫感のあるアクションシーンも圧巻。
否:ちょいちょい入る恋愛絡みのシーンが、どうしても違和感がある。予備知識もあった方がイイ。
この物語の世界は、一見私達の世界と変わらないものに見えます。図書隊と良化隊との戦いも、「発砲は図書館の敷地内に限る」と定められていたり、交戦の開始時間と終了時間が予め通達されていたり等、『戦争ごっこ』と揶揄する向きもあると思います。しかしその裏側では、一般市民の無関心をいいことに、着実に人々の〝自由”が蝕まれている、考えてみると恐ろしい世界です。そんな中で、本当の意味での〝自由”を必至で守り抜こうと戦い続ける図書隊員達の姿が、非常に切なく描かれていきます。劇中でも、笠原が
「自分達の存在は無意味なのか?」
と自問自答するシーンや、手塚が
「自由を命懸けで守る。馬鹿馬鹿しいと思いませんか?」
と問いかけるシーン、そして石坂浩二さん演じる仁科司令が、
「この世界は、まだ守るに値する。この身を懸けてでも。」
と訴えるシーンなんかが、とても印象に残ります。
アクションシーンも、前作以上に壮絶なものになっていますので、自由を守る緊迫感が、ひしひしと伝わってきます。さすがは岡田准一と思ってしまう、圧巻の格闘シーンも必見です(笑)。
唯一の難点といえば、やはり要所要所で出てくる、恋愛絡みのシーンでしょうか(笑)。勿論そういった要素も、見どころの1つといえば1つではありますが、緊迫した世界観の中では、どうしても違和感は否めません。
とはいえ、大人から子供まで楽しめる作品であることは確かです。今の私達の〝自由”な日常に思いを馳せながら、是非ご覧になってみて下さい。
余談ですが、本作でも図書隊の根拠となっている「図書館の自由に関する宣言」。実はこれ、本当にあるものなんですね。調べてみると、「図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。」といった、まさに図書隊そのもののような、勇ましい文章が書かれています。興味のある方は、是非調べてみてはいかがでしょうか。