ディオールと私のレビュー・感想・評価
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ディオールのコレクションの裏側を覗くことができて嬉しい
フレデリック・チェン 監督による2014年製作(90分/G)のドキュメンタリーのフランス映画。原題:Dior et Moi、配給:アルシネテラン、オープンセサミ
劇場公開日:2015年3月14日
2012年、ディオールのアーティスティックディレクターに新たに就任したベルギー出身のラフ・シモンズ(1968年生まれ)。天才デザイナーと呼ばれる彼の指揮下、最初のコレクションに異例の短期間(8ヶ月)で挑む職人メンバー達の姿を描いていた。
ファッション界の知識が全くなく、職人さんたちがドレス等を作る作業がミシンさえ使わずに全くの手作業の様で、かなり驚かされた。また、最先端モード開拓に貢献しているを彼女(一部彼)らが決してファッショナブルでなく、年齢層もかなり高めの方が多いことも意外であった。勿論、ラフ・シモンズ自身が身につけているものは、シンプルでお洒落でカッコ良く思えた。
デザインに絵画の模様を取り込むというたラフ・シモンズのアイデアは随分と奇異に思えたが、出来上がったものを見ると凄くオシャレな色使いで最高と思えた。また、発表会場を花で埋めるという構想もありきたりと思ったが、実際を見るとやはりそのゴージャスな美しさに感動させられた。
ラフ・シモンズがコレクションの前にめちゃ緊張している姿が描写されていて、共感を覚えた。トップレベルのデザイナーもやはり凄く緊張するんだと。その後、ラフ・シモンズは2016年カルバン・クライン、2020年にはプラダのクリエイティブ・ディレクターに就任。とても変化の大きな業界の様だ。
監督フレデリック・チェン、製作フレデリック・チェン、撮影ジル・ピカール フレデリック・チェン、編集フリオ・C・ペレス4世、 フレデリック・チェン、音楽ハヤン・キム
音楽監督マイケル・ガルベ
出演
ラフ・シモンズ
プロフェッショナル…
クリスチャン・ディオールのデザイナーに抜擢されたラフ・シモンズの初めてのショーに至るまでのドキュメンタリー。これだけ多くの人が関わって、オートクチュールは作られていくんだと感心した。アトリエのベテラン職人スタッフ達へ妥協を許さない指示を出すラフ。短時間且つ難題に応えていくスタッフ達。間に入り、気遣いを見せるピーター。それは良い物を作ろうという信念、情熱があるから。衣服だけでなく、ショーの場所選び、広報の仕方、予算が掛かることのCEOへの説得、モデルへの指示など全てがリアリティあり、次第に緊張感が増す。ショーが始まる前にラフが泣き出すことで、彼へのプレッシャーが相当なものだったことが分かる。そして、ショーの成功を収め、ランウェイを歩く姿は自身と安堵に満ち溢れ、ピーターやチームと抱き合う姿に感動した。
ラフ・シモンズさん
パリコレの舞台裏に密着したドキュメント、今夜はイブだから華やかな映画が良いと思ってなんとなく鑑賞。
クリスチャン・ディオールは昔、ネクタイを1本位買ったことがあるがそもそも女性ブランドなのでそれほど興味があった訳ではありません。馬子にも衣装といいますが、高級ブランドを身につけたがるのはコンプレックスの裏返しかもしれませんね、だからと言う訳ではないのですが贅沢なオートクチュールの世界というと貴族文化の継承、貧乏人からすれば鼻持ちならない香りもします。ただ、ディオールさんの女性らしさの具現化の試みは着飾った女性がいることが平和のシンボルといった思想に基づいているので共感できます。
タイトルの「ディオールと私」の私はディオールのアトリエを継ぐことになった新進デザイナーのラフ・シモンズさん、監督・製作のフレデリック・チェンさんと同様に華やかなパリコレの世界にメンズスーツのデザイナーが跳びこむ意外性に惹かれます。抜擢したのはヴィトンやディオールの会長を務めるベルナール・アルノー氏でしょう、古典的裁縫技術と若者文化を融合させたジル・サンダースでの仕事ぶりに惚れ込んだのでしょう、ブランドビジネスに長けた人だったのでやることが野心的ですね。
さて畑違いの世界に飛び込んだシモンズさんは、期待に応えることが出来るのでしょうか・・、というのが作品のテーマの様ですが、抽象絵画から受けた着想を基に奇抜なプリント布を創らせたり、ショーの会場を無数の生花で飾り付けたりと芸術的な才能の持ち主であることは納得できました。その後カルバン・クライン、PRADAなどのクリエイティブディレクターを歴任しているそうです。
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