「良作だが問題点も浮き彫りに」HERO 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
良作だが問題点も浮き彫りに
意外や意外。予想外の良作エンターテイメントに仕上がっていた。
オープニングからペタンクまで。キムタク×松たか子を知る人間=知らない人間(「この人が噂の!」)的な流れ&「それマズイだろ〜」の思惑等、流れる様に展開されて飽きさせ無い。
その後本格的に捜査に乗り出すのだが。元来このドラマは職種は違えども、性格が違う凸凹コンビの2人が、喧嘩をしながらも犯人を追い詰める【有る意味】刑事ドラマ的な作りを装いながら、実は似た者コンビ(夫婦)が口角泡を飛ばし、喧嘩しながらも少しづつ問題を解決して行く、“夫婦善哉“タイプのドラマかな?と思う。
今回はドラマ版での【元相棒】が復帰した事で、2人の相棒が発生する。
現在の相棒=夫婦役は勿論北川景子なのだが、元々このドラマのファンからすると、やはりキムタク×松たか子のドラマ…とゆう意識がいまだに根強いのではなかろうか?
この何となく感じるモヤモヤ感が続いて行くのだが、やはり現在の相棒は北川景子。
彼女は松たか子に対して嫉妬をあらわにしたりはしない。いやそれどころか見事なステップアップを遂げた松たか子に“憧れ“を抱き、助言等を受ける。
映画の途中で北川景子はキムタクから『お前はお前なんだから!』との助言を受ける。
つまり、このコンビでは現状2人が張り合いながら事件を解決に導く等の場面は生まれ難い。どうしてもキムタク×北川景子では恋愛ドラマとしての側面もまた生まれ難い。
これこそが、現状このドラマ最大の弱さに繋がっていると言えるのではないだろうか?
とにもかくにもキムタクですね。
まあこの人ほど演技云々・どうのこうのと言うのが野暮な人も居ない。映画の始まりから終わりまで、何処を切り取ってもキムタクの金太郎飴状態。
ここまで演技の引き出しが無い人もまた珍しい。
まさに稀有な存在と言って良い。
最も銃弾に倒れるセガールに期待する人は居ないのと同様に、泣いたり・喚いたりするキムタクを見たいファンはひょっとして居ないのかも?…。。
と言うか多分その様な演技を、もしもやったとしたら、失笑をかう気もしないでは無いのだが…。
但し映画自体はそんな事を観客に感じさせる暇を与え無いでサクサクと進んで行く。
本作品は、社会常識としては寧ろ暴走に近いキムタクの行動を助ける見事なチームワークに有る。
それぞれの個性を生かした行動:台詞等の脚本はなかなかの物がありました。
それどころか登場人物が多くなって来ると、すかさず黒板を使ってこれまでの経緯を懇切丁寧に説明してくれる周到さ。捜査の進展に伴った各キャラクター達の描き込み&編集のテンポが本作最大の魅力と言って良い。
エンドクレジットでは、これまでのドラマ版:前作の映画版での写真が映っていたがどうなるのだろう?
一応今回で一旦終了なのだろうか?
内容的には事件は解決した様に見えて、実は何にも解決していなかったりするのですが。
松たか子の選んだ選択も含めたそんなモヤモヤは続く。
もしも第3弾が有るとしたらエンディングで入れた写真の意味は何?ってなってしまいますけどね。
(2015年7月25日/イオンシネマ越谷レイクタウン/スクリーン2)