「若気の至り」ラスト5イヤーズ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
若気の至り
ミュージカルの映画化であります。
二人芝居です。肝は多分歌だけで心の機微を表現しようとする試みだと思われます。
その点は成功していると思いました。
二人とも表現力のある歌い手さんですね。
音楽も楽しいです。
歌いやすい曲ではなく、スキルがないと歌いこなせない難しい曲ばかりです。
役者はやりがいがあるだろうなと思いました。
みんなでダンシング!的なシーンは少なく、それはちよっと寂しいかったです。
マスゲームのように入れ替わり立ち替わり踊りまくるシーンが好きなもので…
キャシーがオハイオで歌う歌の時に、黒いワンピースで芝生を駆ける所は、サウンドオブミュージックのパロディですよね。
女は別れの場面から思い出を遡り、
男は出会いからなぞり返す構成で、
交互にそれぞれの思いの丈を歌い上げます。
歌われる心情は、はっきり言えばお互いのエゴです。成功した夫の陰に隠れるだけでは満足できないわたし、機嫌の悪い妻から隣の巨乳に目移りしたのは愛していないと僕は生きていけないから。
勝手にやってろやと思いました。
出会った頃は彼女は最高、あなたをずっと待っていたのと歌っていたのにね。
まぁバカバカしくもありましたが、世の皆さんが歩んでいる恋と結婚のあるあるばかりですよね。相手のためになんて殊勝なこと最初は言っても、結局は自分の欲を抑えられるわけがないので、なぜわたしのぼくの思い通りにならないのかと嘆く。
なるかっちゅうねん。他人が絡む時点で思い通りになんて無理なんやから、思い通りを諦めて人と共に歩むか、思い通りに、を目指して孤独に自由に生きるか、どっちかはっきりしましょうね、と思いました。
孤独を選んでも思い通りになる訳ではないですけども。
そんな事を思いました。
まぁ彼らはまだ若いので、失敗も糧になりましょう。
キャシーにもイラッとしましたが、他の女をとっかえひっかえ夫婦のベッドに連れ込んではセンチメンタル気取ってたジェイミーにより憤慨いたしました。