「本作で楽しめたポイントは何かというと、第一に、主人公を演じるヴィデ...」女神は二度微笑む HammondJ3さんの映画レビュー(感想・評価)
本作で楽しめたポイントは何かというと、第一に、主人公を演じるヴィデ...
本作で楽しめたポイントは何かというと、第一に、主人公を演じるヴィディヤ・バーラン(主人公と同名)の魅力でしょう。数々の映画賞を受けているだけあって、その美貌と芯のある演技力で物語を引っ張ってくれています。特に表情が豊かで、チャーミングな笑顔をしつつ、怒るときには凛としていて、正に映画の求心力になっています。
そして本作のもう一人の主人公と言ってもいいのが、舞台となるコルタカの雑踏です。ヴィディヤもロンドンから来たため、コルタカは未訪の地ということで、観客もバックパックひとつで一人旅に来たような感覚を得られます。謎解き中心にストーリーが進むため、観光地ばかりクローズアップするのでなく、地図なしで狭い路地へと進んでいくので、それだけでも少しスリリングな気分になります。
あともう1つポイントは、殺し屋役を演じるシャーシュワト・チャテルジー。脇役なのにキャラクターが立ちすぎています。地下鉄のシーンは本当に怖ろしいです、この人。はっきり言ってキモいです!!(褒め言葉)
映画の流れは、、主人公が手がかりを掴んで真相に近づいていくテンポの良さや、追ったり追われたりという立場の転換もスムーズで、最後まで飽きずに見れました。ただ、カット割が過剰に細かくて正直見にくかったです。
インド映画というと、やたらめったら仰々しくてド派手で感傷的すぎるところが苦手だったのですが、確かに今作、「歌わない、踊らない」を謳ってはいますが、それでもメロウなBGSがいきなり流れたり、主人公の回想シーンが入ってきたりと、なじめないところがありました。もう少しストイックに淡々と進むほうが好みです。
あくまで個人の好き嫌いによるもので、インド映画のここが好きなんだという人の気持ちも分かるので、作品自体の出来とは切り離して考えてはいるつもりですが。こういうものだ、と割り切ると楽しめるのかなと、インド映画を観る度に自分に言い聞かせています。
あとうるさいことですが、オープニングでやたらプロダクションのクレジットが続いていて、さらに劇中で動物が死にますがもちろん嘘です、加えてタバコの吸い過ぎには注意を、みたいな注意まで出てきて、インドで映画作る際の事情の面倒くささが伺えます。
とにもかくにもストーリーは少し難があるなぁ、と思いつつも上記にあげたポイントのおかげで結構楽しめました。興味がある方はぜひ劇場へ。