「人と映画の温もりに触れる」Re:LIFE リライフ ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
人と映画の温もりに触れる
“予定調和な物語だ”と言われればその通りだ。だが、予定調和だからこそ良いと思わせる温もりがスクリーンから伝わってくる。
過去の栄光にすがる落ちぶれた映画脚本家が、仕方なく大学で教鞭を振るい、その中で新たな道を開いていく…。つまるところ、これは立ち直りの映画である。けれども、この作品には現状を打破しようともがく姿も描かれない。学園ものにありがちな先生ありがとう!的な演出も観客が赤面するほどの説教臭さもない。では、この映画には一体何があるのか?
平たく言えば、成長である。もがき苦しまなくても、這い上がる努力がなくても、今自分が置かれた場所で目の前のことを進めることで、新たな自分の側面に気付いていくその様は、予定調和と言えども何とも気持ちが良いのだ。良い意味で奮起しない教師役はヒュー・グラントだからこそしっかりハマる。これは人徳と言っても良いのではないだろうか?
登場する生徒たちもまた魅力的だ。やる気がある子もいれば、やる気がない子もいる。中にはただの映画オタクもいる。映画の脚本家を目指す生徒とプロの脚本家とのやりとりは映画への愛に溢れている。そんな生徒たちとの何気ない会話の数々に映画ファンは思わずニヤリとしてしまう。
人との繋がりの大切さ、映画に対する想いがスクリーンから滲み出る。目新しさはないけれど、久しぶりにアメリカの良心に触れた作品に出会えたことを嬉しく思う。
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