「誰でもいいんじゃない、君じゃなきゃダメなんだ」彼は秘密の女ともだち りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
誰でもいいんじゃない、君じゃなきゃダメなんだ
これ、どういえばいいのか、ちょっと戸惑うのだけれど、ファム・ファタール(宿命の女)に絡めとられた男女ふたりのハナシなんだろう。
絡めとられた、というのが不適切なら、魅入られた、とでもいうべきか。
もしくは、男女ふたりの方が、ファム・ファタールを視つづけているというところか。
ダヴィッドは、ローラが死んだ後、自分の女性に気づいていき、女装までするが、好きなのはローラ。
クレールはクレールで、ローラが好きなのだ。
ダヴィッドもクレールも、ローラの身代わりで互いで互いを愛していく。
愛を深めるうちに、互いが互いの肉体を求め合うようになるのであるが、ローラの身代わりとして相手を愛しているので、どうにもこうにももどかしく、アンビバレンスな状態に陥ってしまう。
しかし、ダヴィッドの事故をきっかけに互いが互いでなければならない、ローラの身代わりでない、ということに気づく。
そんな映画だと解釈した。
同性愛だからといって、自分を受け容れてくれるなら誰でもいい、というわけではない。
あなたに、きみに、受け容れてほしいのだ。
誰でもいいんじゃない、君じゃなきゃダメなんだ。
クレールとダヴィッド(女性に生まれ変わってヴィルジニア)は、観た目は奇妙だけれど、愛情はどこもヘンじゃない。
まぁ、そんな映画です。
演技陣ではロマン・デュリスがとにかく上手い。
フランソワ・オゾンが好みとするタイプではないはずなので、一度組んでみたかったのでしょうね。
当初は、女装した大柄な男性にしかみえないのが、徐々に女性にみえてくるのですから。
ただし、ファム・ファタール、ローラ役の女優さんには、いまひとつ魅力を感じませんでした。
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