「合否より大きな目標への挑戦は糧になる。」映画 ビリギャル Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
合否より大きな目標への挑戦は糧になる。
『合否よりも、大きな目標に挑戦した経験は糧になる』とは、最後に講師が書いた手紙の一節だが、エスカレーター高校の先生方のほうが正しい。女子高生にタバコは身体に悪影響が出る。母親も甘い人だったのかも知れないが、なぜ遊び人に主人公はなっていたのか。中学から大学までエスカレーター学校だったそうだが、そんな事も影響したのか、学習塾に行って別の大学を目指した。
そこの塾の講師との出会いが主人公を変えるらしいのだが、遊び惚けていてギャル服装になっていたので偏差値が30だった。学力はともかく、性格がガキそのもので、エスカレーター学校はそれでも女子大にまで行ってしまうのだというが、真面目な人に失礼な変な例だとは思う。勉強のできるできないではなくて、性格の問題である。この塾は個別指導で、その人なりの指導方法をしたらしい。ただその講師は精神面も上手に誘導していったらしい。ほめるのもうまい。5点でも一つ正解だと持ち上げる。ただこの娘は息子ばかり期待する父親への反撥や友達が小学生からできなかったことなどから突っ張ってしまった面もあるかも知れない。高校2年生頃に小学校の勉強からやり直していった。この家庭は甲子園を目指す父と弟へのライバル心もあったかも知れない。偏差値30の時点でギャルで学校で先生に慶応大学に行くと啖呵をきったのは頼もしい。小学生や中学生も一緒に塾で個別学習をしているが、講師とギャルの話は漫才みたいになり、周囲から笑いがどっと起きる。こうした根本的な性格の強さも合格に後押ししたのかも知れない。むしろ、父親は勉強面では娘には放任だった。それは悪いことではなかったのかも知れない。父娘の複雑な関係は
語られている。だがそんなにひどい父娘関係ではなかったはずだ。他愛もないことでも、強く考えてしまうのが見えてしまうのだろう。講師は子供たちの趣味のゲームや漫画なども、話し合えるように勉強していたというエピソードもある。みかけはギャルでも気持ちは硬派らしい様子もうかがえる。
講師は主人公に慶応大学合格は無理だと言う学校の先生に、『ダメな生徒はいない。ダメな指導者がいるだけだ』と反論する。『しょせんは商売優先の塾講師が、話にならないので失礼する』と
席を学校教師は立つ。それを隠れて聞いていた主人公ともう一人が絶対受かるぞと決意を高める。
歴史は漫画で覚えた。ただ、週一の塾では間に合わないから週六コースで塾の代金が高くなり、母親は貯金を切り崩してもやる事にする。これはシビアな場面だ。これはルールだ。主人公に講師がその厚い束のお金をみせると涙目になる。母親は娘の塾代のために夜間の宅配分の仕分けのアルバイトを始めた。ギャル仲間の3人が、夜中のカラオケなど一緒に遊んでいたのをやめるから慶応大学に合格してくれとスーパー銭湯に浸りながら伝える。主人公は泣く。仲間は言う『受験が終わったらまた遊ぼうよ』。小論文試験のために『蟹工船』を読んで、講師に社会の矛盾に怒るギャル。『現代用語の基礎知識』と文藝春秋の論点と漢字ドリルを渡される。テレビのニュースにも関心を持ち始める。そして俗にいう『赤本』過去問をみるが、『お手上げ過ぎてやばいわ』とショックを受ける。それを卵とクララとハイジの例えで講師が励ます。合格を信じてくれている講師。主人公は勉強に戻る。勉強のために例の仲間たちに長い髪を切ってもらい、ジャージを着る。ギャルからわざとダサい外見に変えて勉強をする。学校の先生は勉強しすぎて授業中に寝ているという主人公をけしからんと母親を呼び出す。この矛盾は深いかも知れない。実際はそれほど学校の先生もきつくはなかったとは思うが。その他ここに書ききれないギャグがちりばめられている。そうしたユーモアも強さを作る。模試で全部Eランクで不合格だと落ち込むが、そのころ偏差値は英語で30から60に上げていた。ただ慶応だとEランクになってしまう。同期に弟も野球の能力に失望して、父親に反抗してしまう。姉貴のギャルは弟に頑張りなさいというが、弟に本気で慶応に行けるとおもっとるのかと言い返されてしまう。『辛い、さみしい、悲しい、友達に会いたい』などをノートに記す。歴史はとにかく学習漫画をもっと読み返せという。慶応でなくてもいいじゃないかと主人公はいうが、
講師は『目標を下げたらどんどん低いところに流れていくよ』というと、『もともと低いところを流れていたんだ』、口論となり塾を出ていく主人公。アルバイト先の母親に会いに行き、泣きながら謝る主人公。母親は『辛いならやめていいのよ。もう十分に頑張ったもの』と言う。決して甘いだけの母親ではなかった。小学校低学年でいじめられた主人公を転校させた母親。昔母親がつらい事があったときに、主人公の笑顔で助けられた思いでを話して聞かせる。ここら辺はずっと泣かせる物語になっている。『お母さんはどうしてお父さんと一緒になったの』、『あれでけっこういいところがあるのよ』。実は父親は慶応の野球部からプロ野球選手になりたかったのだ。そしてここは実話じゃないだろうが、講師と父親が居酒屋で飲んでいるときに一緒になる。まだ悩んでいる主人公。弟が
野球からの挫折から野球部をやめてしまい、弟を父親が張り倒す。ここで母親が激情する。この親子たちの大喧嘩のシーンは難しくて私には書けない。ここは泣かずにはいられないシーンだ。姉と弟も闘いがあった。家族の重みだ。そして主人公は慶応大学を母親と見に出かける。本当に人生を賭けている受験があるんだなと思わせられるが、なかなか挑戦できないと私は思ってしまう。母親をニックネームで呼ぶのは今風か。そしてやっぱり慶応大学に行きたいんだと主人公は諦めない。野球を辞めたくなった弟に模試結果を渡す。次の模試結果は慶応合格確率が50%になっていた。弟に、『あんたもまだまだ間に合うよ』と言う。日本史が偏差値58を学習漫画で、英語は偏差値70を超えていた。高校2年生の塾に行きはじめは小学校の復習から始めなければならなかったのだが。そして受験期に入った。別の大学の受験日は大雪。(舞台は名古屋)父親がスタッドレスタイヤにした野球送迎用のバスで車で送ってくれる。父親が『お前がうちの希望だ』というと、娘は『今更何言ってんだ糞爺』と反発するが、父親は怒り返さずに、受験会場までバスで連れて行き、娘は『いいとこあんじゃん』と捨て台詞をして受験に向かった。なぜかサイモンとガーファンクル風の曲が流れている。弟は『親父の夢かなえられずにごめんなでも楽しかった』と言って親子でバスのメンテナンスをする。まず、別の学校に合格した。講師に塾の最後の日に主人公は感謝の手紙を渡す。そのころ主人公の醸し出す雰囲気はギャル風という感じではなくなっていた。お守りにするからと辞書に講師のサインをもらう。『私はずっと大人が嫌いでした。外見だけで決めつける大人を。だけど自分には目標も将来の希望もない。それもわかっていました。そんなときに真剣に向き合ってくれる塾の先生と出会いました。先生と出会って目標と頑張る喜こびを知った。私の人生が変わった。ありがとうございました。』合否がインターネットで出てくるのは50歳の私には新鮮だった。文学部は腹痛を起こしてしまったのもあり不合格。だがまだ総合政策学部も受けていた。だが文学部のほうが得意な試験システムだと思われていた。受験がすべて終わり、3人のギャル仲間が遊びに連れていってくれた。久しぶりのカラオケ。別の学校は受かってはいたが、慶応大学に受かっていなかった場合の精神的フォローも講師は考えていた。インターネットでの総合政策学部の合否がクリック一つでわかる手前に主人公は目をつむってから開けた。