劇場公開日 2019年7月12日

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「好きじゃない。トイ・ストーリーでする必要はなかった話」トイ・ストーリー4 Poinsettiaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0好きじゃない。トイ・ストーリーでする必要はなかった話

2020年3月17日
iPhoneアプリから投稿

【おもちゃの存在意義は持ち主ありき】という
““おもちゃとしての本質””までをぶっ壊しにこられたのがショックで仕方ない。

これまでの
『子供のために存在するのがおもちゃである』をひっくり返し
『存在意義とアイデンティティを持ち主に依存せず自分で掴む』結末にもってくるなら

もはやそれは『おもちゃの話』である必要はないと思った。

最近の映画はやたら現実的な問題を投影しすぎてるものが多くてなんだかなあと思っていたのだけど
最たるものだと感じた。

駄作とまでは言わない。
存在意義とアイデンティティの確立に焦点を置くなら最高のENDと出来だと思う。

だけど、子供に遊んでもらえることにこそ幸せがあり
【たった一日だけでも遊んでもらえるならそれを選ぶ】
それがこれまで描かれてきたトイ・ストーリーの『おもちゃ』だったんじゃないのか。

2ではまさにそれを描いていた。

3では持ち主アンディの愛情が溢れていたが、いつか来る終わりの運命をおもちゃは『逃れられない』し
それでもただただ遊んでもらうことだけを望んでいる。
それがおもちゃの話であり、トイ・ストーリーなんだと信じていた。

‪持ち主に忘れ去られたり必要とされなくなったらおもちゃに存在意義なんてないんだ。‬
‪それがおもちゃなんだ。
‪おもちゃに自我があってもそれは変わらなくて
‪最終的に報われない、抗えない持ち主への渇求と本能と運命‬。
‪それがおもちゃとしてのアイデンティティだったはずなのに。

‪だからこそ、そんな中でも生まれる幸せや友情や夢が最高に切なくてロマンティックだったのに。
私の知ってるトイ・ストーリーはこれだったはずなのに。
だからこそおもちゃを大切にしようとも思えるし
物を大事にしようと思えるそんな話になっていた気もする。

ひたすら持ち主に遊んでもらいたい欲求だけがおもちゃとしてのアイデンティティで
少なくとも【おもちゃ】なら私はそれで十分だった。

その事実だけで十分、最高に切なくて、最高のトイ・ストーリーを紡いでこれていたんだ。

それなのに
今作は個人の存在意義とアイデンティティを確立させる話を描いてきた。
それは本当にトイ・ストーリーのおもちゃでやる必要があったのか???

“おもちゃの話”、トイストーリーの良さは本当にそこにあるのか?

【おもちゃは子供に遊んでもらうためだけに存在する】
だからこそ大切にしようと思えるし、共に過ごした時を思い出しては締め付けられる感傷が生まれるし
それがトイ・ストーリーの醍醐味なのに
おもちゃに存在意義や自由や選択をあたえたら

それはもう人間と変わらない。
ただのヒューマン・ストーリーであって
トイ・ストーリー(おもちゃの物語)ではないと思った

今までも十分人間味が溢れていた話ではあったんだけど
【おもちゃとしてのアイデンティティ】だけは
変えて欲しくなかった。

おもちゃをなんだと思ってるのか。
持ち主がなくても自由に生きられる選択肢をおもちゃに与えてそれが本当の『トイ・ストーリー』なのか。
トイ・ストーリーをなんだと思ってるのか。
残念で仕方ない。

Poinsettia