「コメディは最高、ストーリーは中途半端」トイ・ストーリー4 コジさんの映画レビュー(感想・評価)
コメディは最高、ストーリーは中途半端
1,2,3と存分に笑わせてもらって、4も期待通りの超爆笑コメディで流石でした。子供も大人も心の底から笑えるコメディで、あれ以上のものはないと思います。
しかし、その反面、ストーリーは中途半端であまり納得のいかない内容でした。
まず、最後が悲しい終わり方をするストーリー(下降型ストーリー)は作品として全然ありだと思います。加えて、トイストーリー1,2,3と子供の頃から追ってきて成長した大人には完全なハッピーエンドよりかはマイナスな内容も含んだ現実味もある下降型ストーリーがちょうど良く、製作陣もそれを狙っていたのは間違いないと思います。
しかし、それまでの最後の展開やそれまでの過程が圧倒的に弱いため、しっかりと悲しめなかったです。
1,2,3の最後と比べてみましょう。1の最後はロケット花火で車に追いつくという手に汗握るアクション、2の最後は海外に飛び立つ寸前の飛行機からの脱出、3の最後は焼却炉に捨てられてしまい緊迫した脱出。どれも家で遊ぶおもちゃには到底あり得ないアクションと舞台で素晴らしい盛り上がりです。その反面4は、骨董屋というありそうな舞台でどこかこじんまりとした印象でした。遊園地とかも隣にあったにも関わらず舞台のほとんどは車、骨董屋で占められておりもっと最後は大きくピンチを感じる展開になってないためストーリーとしてあまり楽しめませんでした。
また、それまでの過程を見つめ直してもストーリーとしての出来は微妙と言わざるを得ません。
ウッディ自身の葛藤、ウッディとフォーキー・ギャビーギャビー・ポーを通しての葛藤、これらの少々重たい展開は別に問題ないと思いますし、1,2,3同様におもちゃを通しての独特な問題や対立はトイストーリーならではだと思います。
しかし、最後の別れのシーンに行くまでにあたって、1,2,3などで共にしてきたバズやジェーシー、ポテトヘッド夫妻やレックスなどとの対立が全くと言っていいほどなかったです。ウッディは最初から最後まで悩んでいたのは確かだとしても、長い間共にしてきた仲間たちが随分あっさりとウッディの決断を受け入れるのは、1,2,3と追ってきた現在の大人にとっては不満が生じてしまうのは避けられないと思います。新キャラクターを出すのは新作・続編ならストーリー展開上必須なので問題ないと思いますが、今まで共にしてきた仲間との別れがラストに来るのならば、それまでに今までの仲間と対立が描かれないと見終わった後に変な感じが残ってしまいます。
これらの分析から、ストーリーとしては微妙で中途半端な終わり方になってしまったのかなと思います。
仮に前作を追ってきた元子供の大人が顧客ターゲットでなく、子供が顧客ターゲットであってもコメディで充分笑わせてもストーリーがしっかり終わってないと不満感は少なからず残ってしまうのは確実です。比較的に大人ほど知識や経験の少ない子供でも不完全なストーリーは感づくのは事実ですので。
5もやるならもちろん見に行きますが、これで終わりでも問題ないです。5はどういうストーリー展開とテーマで攻めるのか見ものです。
(最後にたらればだと、最初のクローゼットシーンか、もしくは、フォーキーが窓から飛び出したシーンかで、ウッディが持ち主の元を去ろうかどうか葛藤して誤って去ることを決意してしまうという展開に持ち込んで、新しい仲間と出会い色々と考えさせられたり、過去の仲間が去ることを止めようとしたりするストーリー展開ならばもっと作品として楽しめたんじゃないかと思います。ちょっと2と展開が似てますけど大きな問題ではないかと思います。)