「オモチャに自我を与えた総決算。」トイ・ストーリー4 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
オモチャに自我を与えた総決算。
好きな人が多いのは承知しているが、自分は『トイ・ストーリー3』が苦手だった。理由はいくつかあるのだけれど、あの大団円をハッピーエンドと思えなかったことが大きい。オモチャの決して明るくない将来像についてはこれまでも触れてきたのに、新しい持ち主が見つかってめでたしめでたしというのは、問題の先送りにしか思えなかったのだ。
だから本作が「ウッディが自分の将来について模索する話」になるのは必然だったと思う。「オモチャは子供と遊ぶのが幸せ」が本シリーズの鉄則だが、今回は勝手が違う。持ち主ボニーは、本作ではほとんどウッディに関心を示さない。でもしょうがない、幼稚園児だもの。好みも興味も変わる。さらにそんな事情より重要なのは、「ウッディに自我がある以上、オモチャという枠を超える日がやってくる」ということだ。
本シリーズには「自我と命のない物に自我と命を与える」というフランケンシュタイン的側面があって、生まれた以上、いつか自分自身や人生と向き合うくらいにウッディが(人間的に)成長するのは見えていた。ウッディが残っても旅立っても、どちらも感動的な物語は成立していたと思う。しかしウッディは選択した。作り手が生み出したキャラクターが、ついに自分の人生を生き始めた。ウッディに開かれた可能性を心から応援したいと思う。
ウッディのこれからの人生って何?ウッディは子供の愛されるオモチャとして生まれた。だったら、アンディの元に帰り、アンディの子供に受け渡すストーリーを作ってほしかったと思います。