特捜部Q 檻の中の女のレビュー・感想・評価
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謎は動機
「ドラゴン・タトゥーの女」が面白かったので同じ脚本家というキャッチに釣られて鑑賞。
こちらは性的な異常さはないものの暗く陰湿な犯罪ものであることは風土的なお約束なのでしょう。特命係ならぬ特捜部と称しているが担当はたった二人、仕事も未解決事件の捜査資料の整理係、そんなつまらん仕事はまっぴら御免と独自に再捜査を始める二人。主人公の相棒がイスラム系というのも珍しい、以前は倉庫係だと言っていたがところがどうしてなかなかの切れ者で頼れる存在。上司が憎まれ役というのもこの手の物語ではお約束なのでしょう。
変っているのは進行中の捜査に事件当時の再現ドラマが適宜挿入される手法、普通は推理内容をセリフで説明するのだが主人公を寡黙で無愛想に設定したのでてっとり早く映像にしたのでしょうか、慣れない内は別の話かと戸惑った。(次作では”○○年前”のスーパーが入った)
ミステリーなのに観客には割と早く犯人が明かされる、むしろ動機が最大の謎ということでしょう、後は観てのお楽しみ。
ただただやるせない。
視聴者視点では、誘拐されたミレーデが実は監禁されていることがすぐわかる。誰がどうしてこんな酷いことを…と犯人へのヘイトを高めていったのだが、動機や犯人の境遇を考えると、犯人へ同乗してしまった。
ミレーデへの復讐にはいろいろな方法があったが、その中で「監禁」という方法を選んだのは、殺すだけでは飽き足らないというだけでなく、きっと自己の時にミレーデに心を奪われたってこともあったんだろう。犯人のミレーデへの憎しみとそれでも消えない好意を感じた。ミレーデも事件前に犯人と一夜を共にしていたことを考えると、巡り合い方が異なればきっと二人とも幸せになれたのだと思ってやるせなかった。
それと事故を起こした直後のミレーデの天真爛漫っぷりはやばい。
北欧たったふたりだけの特捜部Q
ベストセラーの北欧ミステリーを、本国デンマークで映画化したシリーズ第1作目。
北欧ミステリーと言えばハリウッドでリメイクされた傑作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』もあり、こちらも面白そうだと思っていた。
捜査中に部下2人を殉職と重傷を負わせてしまった刑事カール。復職後、新設された“特捜部Q”へ異動に。
この“特捜部Q”の主な仕事は、未解決事件の書類整理。言わば、窓際部署への左遷。“陸の孤島”と呼ばれる日本の某刑事ドラマの○○係みたいな。
やる気ナシだったが、ある一件の事件が気になり出す…。
5年前、女性議員が失踪した事件。自殺と処理された。
唯一の助手アサドと共に事件を調べ直してみると、不審な点が幾つも。
解離性障害の弟。
その弟とフェリーに乗った数々の目撃証言。
謎のレインコートの人物。…
それらから、女性議員は生きてるんじゃないかという推理に辿り着く…。
実は本作、サブタイトルでネタバレしちゃってる。
“檻の中の女”。
ハイ、そう、女性議員は生きていて、5年間も監禁されている。
2人の捜査で次第にそれが明らかになっていく…と言うより、犯人探しのミステリーと女性議員が監禁されるまでと今の状況が交錯して展開。
監禁されてる恐怖感はあるものの、女性議員は生きてるのか否かの緊迫感には欠け、また、犯人はかなりのイカレ野郎だが、その動機はちと弱い。
全体的にかなり地味でもあったが、ミステリーとしての醍醐味はあり、なかなか上々。
この地味目の作風も、日本や欧米とは違うミステリー・ムードも悪くない。
捜査権限無いのに捜査しちゃうってのが、どうしても○○係を彷彿。
仏頂面のカールと人当たりのいいアサド。
まだ“○○”と呼ぶにはちぐはぐだが、2人の次なる捜査もこりゃ見なくては!
概ね原作通り。シリーズの他の作品も見たいな
2007年の発表後欧米で大人気となった北欧ミステリーの映画化。
実はたまたま図書館で原作を見かけて読んでいました。アメリカ、イギリスのミステリーとはちょっと違う雰囲気の作品。地理的にドイツに隣接していることもあり、緻密なドイツミステリーの雰囲気も感じる原作でした。そんな原作が、どの様に映像化されるのか・・・!
前半は、概ね原作通りですね。ですが終盤は流石に簡略化されていましたね。
原作では、二回最後の現場に赴くんですが、映画では最初に行った時に、一気に片付けると言う描写になっていました。だから、ミレーデが発見された時、カールが海軍の出動をいきなり要請するという描き方になったんですが、原作ではこれの説明もきちんとされているんですよね。原作では、そこまでの推理で、ミレーデが高圧下に晒されていて常圧に戻ると減圧症が発症することが推定さたので、潜水艦や潜水士などを要していることから減圧症対策設備を持つ海軍の協力を得ようという話があるんですよ。映画だと、その件がなくていきなり海軍を呼んでくださいという事になるので、わからないと思います。
あと、映画だと、ミレーデは減圧症の影響も無い上に、ウフェがミレーデに会うために病院に来るようになっていましたが、原作では、ちょっと悲観的な終わり方になっていて、ミレーデは一命は取り留めるものの、減圧症の影響もある様な描写になっていて、逆にミレーデがウフェと同じ療養所に居る描写になっていました。まぁ、本だと原作の描き方でもいいかもしれませんが、映画化に際しては少しでも明るい内容に変更したのかも。
それと、概ね原作通りと記しましたが、アサドの設定が若干変わっている気がします。そもそも彼は、警察職員かもしれませんが、警察官ではないので、警察手帳を持たないというのが原作上の設定でしたが、映画では警察手帳風のものをアサドももっていました。
面白いと思ったのが、地下室。本で読んで想像したのとは違う地下室でした。倉庫から、きちんとした部屋に変わっていましたね。なるほど、あんな感じの地下室なんだ。
原作は、いま5作目まで出ており、3作目の『特捜部Q Pからのメッセージ(原題:Flaskepost fra P.)』まで映画化されているようです。日本でも公開してほしいなぁ。
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