トイレのピエタのレビュー・感想・評価
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人生の才能
音楽界の才能の持ち主、野田洋次郎が主演の映画であり映画の中では絵の才能を持った主役を演じている。
題名の伏線は中盤から終盤にかけてされるが、この映画のメッセージはどこにあるのかを考えさせられた。
展開に大きな落差はないが、才能を持った凡人の人生について、自分と比較して観ることもできるだろう。
主人公が最後に選んだ自分の人生の終わり方に正解は無いのだが、杉咲花演じる役の反応を観て万人に納得される事などありえないことであり、そしてそれも1つの答えというだけであり、理解される必要すら無いということを私は考えた。このレビューも私の1つの感じ方なだけであるため、共感は求めない。しかし、長いコメントをここまで読んでもらった人に一つだけ伝えたい、私はライブに足を運ぶほどの野田洋次郎の大ファンである。RADWIMPS最高。ワールドツアー行きたかった。。みんなこれからも聴いてね。。ありがとうございました。
『余命10年』の音楽を担当した野田洋次郎が余命3カ月
杉咲花がプールで泳ぐシーンが最高だった。背の高い男の人とキスするときはどうやってすればいいの?という答えも二回目のプールのシーンで描かれていた(責任は取れないけど)。孤独な2人が泳ぐ青いプール。金魚が大きくなったのも意味があるんだろう。
若すぎる死に向き合うことには戸惑いしかない。老人になってしまえば、延命治療かホスピスかという選択肢があるのだろうけど、絵を描き足りない、まだまだ生きる目的をも掴めないままだと悔いが残りすぎ!人のために何かを残すことも出来ないほどの精神状態だったのだ。病院で仲良くなった少年。宮沢りえが母親として亡き息子の絵を描いてほしいと申し出たのに出来ませんと応える姿にもイライラさせられた・・・本人はもっと辛いはず。
タイトルの意味を想像しながら鑑賞しましたが、なるほどと膝を打つほどの終盤の展開。聖母マリアの顔が杉咲花になっていたことに驚いた。そして包まれているのは死に際の主人公のみならず、観る人全てを包み込んでくれたかのよう。
主人公の両親の存在がちょっと弱かったし、真衣(杉咲花)の辛い介護のシーンももっと多く描かれてないと死にたい理由が弱くなる。感情移入といった点や周囲の人々の感情の流れがもっと上手く描かれていたら最高の作品になったハズ。何しろ3Dピエタ画なのだから・・・
私の人生を変えてくれた映画
手塚治虫の最後の手記から着想されたということで賛否両論だったが、ひとつの映画として見ると本当に良い映画だと思った。
私はこの映画の主題を「生きる目標を見失った主人公が最後の人生をかけて目標を再発見する成長物語」だと思った。
プールの中に金魚を放つシーンがあったが、綺麗な画の為に作られたような気がした。しかし結果的には幻想的な画に仕上がったので良かったのではないかと思った。
杉咲花の演技がとても役に合っている。破天荒で繊細。
野田洋次郎の演技があまり感情を顕にしないからこそ対照的で、目標を再発見した時の目の輝き、またそれを補えるカットが多かったので監督が良かった。
この映画を通してやりたいことを粗末にしてはいけない、人生をかけて何かを創り自分の生きた証を残したいと思った。未熟で荒くてもいいから自分の人生を生きようと思った。ありがとう。
今、生きている
余命僅かの青年が一人の少女と出会って…と、如何にもなセンチメンタルでお涙頂戴の少女漫画原作のような設定だが、原案は何とあの手塚治虫!
手塚治虫が病床で書いた日記に着想を得て、大胆翻案映画化。
確かに見てみると単なるお涙頂戴モノではなく、手塚治虫も生命の物語を手掛け、それともドキュメンタリー出身の監督の作風か、死生観を感じる内容に仕上がっていた。
画の才能ありながらも、それを絶ち、窓拭きのバイトで生計を立てる青年・園田。
夢も無く、何事にも無気力で、映画が始まった時、彼は“死んでいる”ようなもの。
そんな彼に本当に死の宣告。
癌で余命3ヶ月。
ショックは隠し切れない。そして、怖い。
苦しい抗がん剤と副作用。
自暴自棄にもなり、勝手に病院を逃げ出す。
自分はこのまま、死んでいくだけなのか…。
しかし、死を前にして人は何かを見つけ、見出だす事も。
病室で隣のベッドの中年サラリーマン。
小さい身体で病と闘う少年。
園田は見るからに不器用で人付き合いが苦手そうだが、不思議と交流を持ち、懐かれる。同じ苦しみや境遇の者同士故、通じるものがあるのかもしれない。
一際強烈な出会いだったのが、女子高生の真衣。
ひょんな事から“妹役”を頼んだ事がきっかけ。
とにかく喜怒哀楽、激しい感情の持ち主。余命宣告を受けた園田に「死んじゃえば?」と言ったかと思えば、何故か不思議とつるむようになったり、制服姿のままプールに飛び込み金魚と共に泳ぎ、そしてまた園田に辛辣でありながら的を射た言葉を浴びせる。
不思議ちゃんのようでもあり、自我が強くてちとイラッとさせたり、そして哀しい面も。
青春ラブストーリーとされているが、男女愛というより人間愛の感じがした。
翻弄されながらも強く惹かれ、関わり合った人たちに影響を受けていく…。
しかしそれでも、再び画を描こうとはしない…。
今じゃすっかり日本中を虜にした楽曲で有名だが、RADWIMPSの野田洋次郎がいきなり主演で演技に初挑戦。ながら、難しい役所を自然体でなかなか好演している。
リリー・フランキーも好助演、野田ファンの宮沢りえや大竹しのぶのゲスト出演も豪華だが、やはり存在感を放つのが杉咲花。
脚本を読んで絶対演じたい!…と勝ち取ったほどの熱演。本作の後から売れっ子になる彼女だが、絶叫演技のこの時から。
出会いがあるのなら、別れも。
病人同士の別れと言ったら…。
ベタな問い掛けかもしれないが、自分は何の為に生きているのか。生きてきたのか。
そして彼は再び、筆を取る。
タイトルの意味がここに。それは、圧倒されるほどで、荘厳でもあった。
園田にとって生きるとは、画を描く事。
あなたなら…?
死を前にして、生を見出だす。
今、生きている。
ラストの園田の台詞に打たれた。
素晴らしい
去年、観たかったので、やっと観れた!
そして素晴らしかった。
原案が手塚治虫だとは!知らなかった!!
もぉ素晴らしいの一言に尽きます。
主人公の青年は若いけど大人になりきれてない感じ。人生に執着心は無さそう。
これまでの挫折感を抱えて窓を拭きながら延命に興味も無さそうな感じ。
だけど小児病棟の僕に塗り絵をプレゼントしたり環境に意味を見出していく。
あの女子高生のくだりは苦手だったけど、リリーフランキーのエロさや哀愁、両親との仲を取り戻して絵を描いていけるようになる姿にうるうるしてしまいました。
個人的には実家で窓を拭いてる主人公に、父親が絵を売ってくれとお金を渡す。
そのシーンが素晴らしかった。
応援してたんだがな、素直に言えなくてと父親が息子に伝える。
今でも、目頭が熱くなる思いです。
観てよかった。有難う。
やはり死は怖い
ルック◯
シナリオ◯
アクター◯
デプス◯
ラスト◯
オススメ◯
最後に描いた絵は凄かったなー!
美術っていいね!死ぬ直前まで描いて、そして死ぬ。悲しいけど、かっこいい。そんな何かを残して私も死にたい。(ピカソとかもそうなのか?)
いい話、泣ける。
死は怖い。死がせまる時、私は何をするだろうか。
最後に死んだ時は「退院しました」というシーンから泣けてきた。 杉咲花さんまだ若いのに演技うまいな
なかなか実力派だと思う。今後も期待。
なんとも言えないこの感じ。
RADWIMPSのファンで野田洋次郎が主演という事でみさせていただきました。
まず、
ずっとトイレのピエタという題名に疑問を持っていました。
不思議だな。って思っていたのですが、話が進むうちにその謎は解けていき感無量になりました。
佐藤健が本当に少しだけ出ているのが驚きでした。出演者の所には書いてなかったのでまさかのまさかでした。
リリーフランキーがとてもいい味を出しているな。と思えました。
最後にドアノブにカメラをかけたり、、、
生きてる。うん。
という最後の言葉にはやられました。涙がとません。
エンディングの曲も歌詞がとてもよく素敵でした。
生きて活かす。
野田洋次郎という人を今作で初めて知ったのだったが、
昔勤めていた会社のお兄ちゃんに顔がソックリで驚いた
(もちろん別人)。劇場の予告では何度も観ていたんだけど、
なかなか時間が合わず、終了ギリギリで観ることができた。
手塚治虫の病床日記に着想を得たオリジナルストーリーと
いうことだが、確かに余命宣告などされたら誰でも戸惑う。
これからの闘病が余命という名のもと、例えば夢や将来や
これから訪れるべき人生が「死」だなんて想像すらできない。
主人公は窓拭きアルバイトの現場で突然倒れる。検査を
受けた病院で居合わせた女子高生に声をかけ一緒に結果を
聞くと、末期の胃がんで余命三カ月と告げられる。呆然…
美大を出て画家になる夢を失って、今やアルバイト生活。
当時付き合っていた彼女は、偶然窓拭きをしていたビルで
個展準備の真っ最中だった。悪いことってのは重なるもの。
しかし観ていてこの主人公の身勝手さとクールを気取った
無関心な態度には、あー嫌だこんな男は。と最初は思った。
彼を叱咤激励(というかほぼ脅し^^;)する女子高生・真衣は
死期の迫った男の気持ちを無視して責め寄ってくるのだが、
元気有り余る彼女も実は辛い現実を抱えているという実態。
その後仲良くなる病室の子供やその母親、病人役のリリー、
と脇役も超豪華で見所は沢山あるのだが、ツッコミ箇所も
多彩で、抗がん剤で苦しんでいても髪型は全く変わらない。
髪が抜け落ちるなどというリアルがない代わりに、観客の
創造力を掻き立てる様な描写が多い。生きることの強烈な
メッセージが静かな中に色を増して最後のピエタへ向かう。
やはりここだ。と思うほど迸るピエタの描画に圧倒されるが、
「今オレ、活きてます!」と告げる主人公の顔が印象的だった。
(今のプールって金魚大丈夫なの?昔ならすぐ死んじゃうのに)
「原案:手塚治虫」でなければ・・・
全ては今作の企画を「原案:手塚治虫」としてしまったが為に、穏やかには観られなかった。
病名を「胃癌」としたり、絵描きであったり、神格化したりと、どうしても「手塚治虫」と見なしてしまうように描いた主人公に、あんなにも自己中心的で極個人的な最期を与えるのは、勤勉でサービス精神旺盛で目立ちたがり屋の「手塚治虫」を「神様」とする現代漫画界への冒涜では、とさえ思ってしまう。 あんなに自分勝手な「神様」なんていらない!
今作が手塚治虫とはなんの関係もないモラトリアム映画だったならば、まだ観られた・・かも。
トイレのピエタ
初めて劇場で一人映画した。一つ席を空けて隣の女性が開始30分も経たない頃からずっと泣いてたけど私は泣きポイントが分からず、比較的感情的な方だと思ってたのに泣けない自分は冷酷なのか何なのかと…。でもよーじろー演じる宏の言葉一つひとつ、動作の一つひとつが映画の終わり宏の人生の終わりに向かってとても重みを帯びていくのを感じた。画家を諦め世界を諦めていた主人公が不運にも癌になり、世界を恨み運命を恨み…そんな中で初めてプライベートなスペースをズカズカ犯して、心の琴線に直接素手で触れてくる真衣や田中さんという人間と出会う。嫌がる宏だったが彼女らのお陰で徐々に事実を受け止め人生に向き合っていく。宏が命を削って描くトイレのピエタ。とても深かった。田中さんのカメラに残っていた宏の生の軌跡。最期の言葉。真衣の横顔が映って画面が真っ暗になりエンドロール。歌に入った瞬間、自分でも何でだか分からないけど涙が溢れてきました。久々にしゃくりあげる程に号泣。それは「もっと生きたかっただろう」とか「苦しかっただろう」とかからではなく、よーじろーとこの映画が溶け合った繊細な綺麗さに心が身体が震えたからです。終わった後は主題歌"ピクニック"を聴きながら余韻に浸って帰宅。誰かと映画について語り合いたくなる気持ちもあるけど、胸にずっと秘めておきたくもある、そんな映画でした。
はじめてしがみついた この世界の袖
振り払われようとて 握りかえしたよ
僕らは奇跡にも 及ばない光
それならいっそ僕ら それならいっそ僕ら
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