「米宇宙開発の壮大な茶番劇が巻き起こす一大サスペンス」カプリコン・1 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
米宇宙開発の壮大な茶番劇が巻き起こす一大サスペンス
Blu-rayで観賞。
何度観ても面白い。
キャストは概ねテレビ系の俳優たちだと思う。
アポロ計画の月面着陸は捏造だったという都市伝説がある。
月に降り立つ映像の製作をキューブリックに依頼したとかしないとか、という話まである。
まぁ、それはデタラメなのだが、本作の着想元になっているのかもしれない。
一番可哀想なのは、最初に違和感を持った航空宇宙局の技師だ。彼は口封じの最初の犠牲者となったのだろう。
次に哀れなのは、逃亡途中で絶壁をよじ登った宇宙飛行士(サム・ウォーターストン)。登りきった頂上で彼を待っていたもの…その絶望感たるや、想像を絶する。
主人公はキャプテン(ジェームズ・ブローリン)と記者(エリオット・グールド)の二人。
キャプテンは冷静沈着で頭脳明晰な正義漢。人望もあって、正にリーダーにふさわしい人物。
記者は一流とは言い難い、半端者。この男が疑念を抱いて真実追求に突進するから、面白い。
不具合が発覚したにも拘らず計画を進行させ、捏造を余儀なくされた有人火星探査計画。
この捏造計画はかなり用意周到に進められたにちがいない。そのリソースを不具合解消に注げなかったのか。
最初から3人の宇宙飛行士は殺してしまう計画だったのだろう。恐ろしい!
記者は再三命を狙われる。その割には警察に駆け込んだりしない。政府が絡んでいると睨んだからか。
それにしても、車の細工事件は隠しようがないはず。社会インフラに損害が出ただろうから。なのに、「殺されそうになった」と訴えても上司は知らん顔。そんなバカな!
脱出劇の結末で遂にキャプテンと記者が初遭遇するという、サスペンスにおけるカタルシスが存分に味わえるクライマックス。
農薬散布屋のおっさんキャラ(テリー・サバラス)がまた、たまらない。
だが、キャプテンの帰宅後いったいどうなったのか、誰しも気になるところ。
しかし、サスペンスアクションは「後かたずけ」を描いてしまうと興冷めするので、割愛でよしとしましょう。
捕らえられ(恐らく殺され)たもう一人の宇宙飛行士は、あのO.J.シンプソン。
この映画で初めて「ヨセミテ国立公園」を知った無知な学生だったことを思い出す。
これは当時 本当にNASAが アポロの月面着陸を仕組んだのでは?とちょっと思ってしまった(笑)。ラスト あの後どうなる?と思わせて終わるのが良かった。ですが、その先も観たかったです(笑)私もヨセミテはこの映画で知りました(笑)