1978年に製作された本作品は、これまでにTVでも何度も放映されているのですが、何故かキチンと見た事がなく、実はちゃんと観るのは今回が初めてでした。
日本公開は確か高校一年生頃だったと思いますが、かなり渋めのキャストで、当時はあまり気にもしていませんでした。
「MASH ('70)」、「ロング・グッドバイ ('73)」のエリオット・グールドが陰謀を暴こうとする記者なんですが、無愛想でくたびれたあの感じが良い。上司のデビッド・ドイル(当時はチャーリーズ・エンジェルの上司でもありました!)にいつもガミガミ言われてて、会社をクビにされても、それでも単身、事件を暴こうとする。彼を助ける献身的な女性がなんとあのカレン・ブラックです。ゲスト出演なんで登場シーンは極僅かなんですが、愛車まで貸してあげて。正面から二人を捉えた走る車のシーンは見ものです。
火星を目指す筈だった3人の宇宙飛行士(ジェームズ・ブローリン、O・J・シンプソン、サム・ウォーターストン)が、とんでもない政府の陰謀に巻込まれて、火星では無く、西部の砂漠で命を落としていくと言う皮肉な設定がよい。ブローリンの妻(ブレンダ・バッカロ)と子供たちを始め、全世界の人々は、皆、火星からの映像だと信じ込んでいるのに。
首謀者のハル・ホルブルックがこれまたピタリと嵌った適役だ。
超渋いクセ者役者が集う異様なリアル感と全編に漲る緊張感で、一気に引き込まれてしまいました。
NASAがアポロで人類を初めて月面に送り込んだ、20世紀を象徴するあの歴史的な月面着陸シーンに関する真偽報道が近年になって盛んですが、本作が今から28年も前に既に真っ向から本テーマに取組んでいるのには驚きを隠せません!但し、映画では月では無く、火星に舞台設定が変えられておりますが。製作当初、NASAが前面的にバックアップしていたらしいのですが、映画のテーマが政府による陰謀であることが判明するや否や、即座に撤退したそうです。
今と違ってCGの無い時代。スクリーンプロセスを使う程度で、後は迫力ある実機(宇宙船、小型ジェット機、軍用ヘリコプター、複葉機)を使ったスカイチェイスにカーチェイス、そして良く練られたシナリオによるサスペンスフルなドラマに釘付けです。オンボロ複葉機のパイロットが、これもゲスト出演の刑事コジャックことテリー・サバラスで、グールドと翼にしがみ付いた唯一の生き残りであるブローリンを乗せて、獲物を追い求め抹殺しようとする2匹の昆虫にしか見えない(真っ黒いヒューズ)を相手にした空中戦がクライマックスだ。
味のある役者たちの共演とCGの無しのノンストップアクションは良いなあ。公開当時は何とも思っていなかったのが、今観ると1970年代のこの手の映画も、よく出来てるなあと思わず感心してしまう。どれもこれもCG一色に溺れた最近の劇画のようなダメ映画に飽き飽きしているのが、理由なんですが。
最後にジェリー・ゴールドスミスによるメインタイトル曲は、いつ聞いてもパワフルで、まさに1970年代の最後を締め括るような、名スコアです。