「ももクロ知らない人こそ楽しめる映画!」幕が上がる Michaelさんの映画レビュー(感想・評価)
ももクロ知らない人こそ楽しめる映画!
まずはじめに、自分はももクロファンでこの映画を楽しみにしていました。
同時に映画が好きということもあって、以前ドラマで見た彼女たちの演技から相当な不安を抱いていました。
作品冒頭は原作がオリザさんだからか演劇くさい言い回しや、彼女たちの平凡な演技に、まあ仕方ないよね…と思っていました。しかし、ストーリーの進行に合わせて彼女たちの演技がみるみる成長していくのが分かりました。特に黒木華さんが入ってからのさおり役の百田さんの演技は鬼気迫るものがあり、今活躍している女優さんたちとも堂々と張り合えると感じました。もちろん、黒木華さんの演技はすばらしく、アカデミー賞がどういう風に審査されるのかは知りませんが、今年の「小さいおうち」での最優秀助演女優賞受賞を考えると、来年の受賞はほぼ間違いないと思います。
作品の内容も青春映画ど真ん中という感じで、見終わった後多くの人があの頃を思い出して、今の自分を見つめ直したことだと思います。
しかし、どんな映画でも気になる部分というのはあるもので…お前何様だよ、と言われる覚悟で書かせていただきます。
まず、本広さんの映画ではよく感じるのですが、感動的なシーンで泣かせようとしている感を出しすぎなところです。桐島の脚本も手掛けた喜安さんならではの微妙な心理描写がうまく出しきれてないように感じました。
次に、ももクロが歌う曲を挿入歌でぶっ込みすぎていて、しかも音量がでかいので、ちょっとぶち切り感を感じるところです。それと、夢想シーンは演出があまりにも過剰でした。
最後にこれが一番大きいのですが、ももクロファン、また本広映画を知っている人なら分かる小ネタを入れ過ぎということです。感覚で言うと、隠し味入れ過ぎて元々の料理の味がよく分からなくなるみたいな…すいません、わかりにくいですね笑
王道で勝負しているだけに、小ネタが出てくるたび現実に引き戻されてしまい、作品に入り込みきれない部分がありました。そういう意味でももクロを知らない人の方が最大限楽しめる映画になっていると思います。
散々言ってしまいましたが、本広さんでなければももクロを起用しなかったでしょうし、映画好きの自分としてもさおり役は本当に百田さんで良かったと思います。中西さん役の有安さん、がるる役の高城さんも良い配役だったと思います。映画のストーリーやコメディー要素に関しては本当にさすがという感じで、良くも悪くも本広さんらしさが出ていたと思います。
観に行って後悔の無い映画だということは自信を持って言えます。
おそらくあと一回は観に行くと思います。