ブルー・リベンジのレビュー・感想・評価
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【男が哀しき復讐を誓った訳。そして新たに分かった真実。全編に亙る尋常でない緊迫感が印象的な作品。】
■ボロボロの青いセダンにひっそりと暮らすホームレスのドワイト(メイコン・ブレア)。
ある日、車内で寝ていたところ、婦人警官に、両親を殺害した犯人、ウェイドが司法取引に応じ、刑期満了を前に釈放されることを知らされる。
あまりのショックに我を失ったドワイトは、釈放された犯人の下に向かう。
◆感想
・ハッキリとは描かれないが、ドワイトは両親を殺された事でホームレスになったようである。何故なら姉のサムは極普通の生活をしているからである。
・ドワイトは、決してバイオレンスが得意ではない。へっぴり腰で、復讐を行って行くと事が、他の復讐劇と違う所だろう。
・ドワイトが、ウェイドを殺した後に、姉が住む家を襲いに来た男達。彼はテディと言う男をトランクに入れ、高校の旧友だったベンの元を訪れ、ライフルを借りる。
・ドワイトがテディをトランクから出した時に彼が行った事。
”本当の犯人は親父のビッグ・ウェイドだ。お前の父親が俺のお袋と出来ていて、親父がブチ切れたのだ。親父は癌だったので、司法取引が出来るウェイドが刑務所に入ったんだ。ビッグ・ウェイドは安らかに死んだよ。”
ー この言葉を聞けば、普通はドワイトの復讐の意味は無くなるのだが、彼は復讐を辞めない。彼自身が母を殺された事と、姉の命を考えての事だろうと解釈する。-
<ラストシーンは凄惨である。クリーランド家に忍び込んだドワイトは帰って来た女性2人と息子の姿を見る。
ドワイトは”俺は二人殺した。これで、同じだな。”と言い銃を乱射するが、息子が撃った弾丸が彼の腹を直撃する。この息子こそ、ドワイトの弟に当たるのである。故にドワイトは弟を撃たないのである。
息子以外は皆息絶える。何とも、シニカルなラストである。>
滑稽で虚しく優しい気弱な復讐劇
主人公ドワイトは青いオンボロ車を寝床にしているホームレスだ。両親が殺害されたことが原因かわからないが、とても無気力に見える。
復讐を開始するドワイトだが、彼はよくある復讐者のように怒り猛りギラギラしたりはしない。無気力を通り越して放心しているようですらある。しかも元軍人だったり元警察官だったりもしない、恐らく銃を撃ったことすらない普通の男だ。
スキルもお金もない彼の復讐準備は滑稽を極める。はっきり言ってマヌケだ。いや、マヌケに見える。それは他の映画の復讐者のようなスマートさがカケラもないからで、穏やかで気弱な、ヒーローでもアンチヒーローでもない普通の男のリアルを感じずにはいられない。
作品のジャンルはバイオレンスアクションということになるだろうが、雰囲気はとても穏やかだ。
ハートフルなヒューマンドラマようなのようですらある。
音楽も控えめで、荒々しかったり高揚させるようなものはない。
しかも、猛らない主人公。
この総てが合わさったときに、悲しみと虚しさの先に優しさや思いやりがみえてきて、なんとも言えない不思議な感覚に襲われるのだ。
冒頭30分で何も感じない人はもう視聴をやめていい。最後まで観てもどうせ何も感じない。
超絶面白いというわけではないが、カンヌで賞をとるのも納得の、オンリーワン感がある作品だった。
静謐なる破滅
両親を殺害されて家庭が崩壊し、長年ホームレスとして車上生活を送ってきた男のもとに犯人出所の知らせが。
男は自分の人生を奪った犯人に復讐を果たす。しかし、殺された犯人の家族から命を狙われることに。復讐の連鎖が止まらずやがて破滅へと向かうストーリー。
よくあるネタといえばそれまでだが、本作はアプローチが独特で、暴力描写も鮮烈で結構見ごたえがあった。無名の役者しか起用してない低予算映画だが、監督の演出力は確かなもの。配信でたまたま見つけた掘り出し物だった。
ちなみに主人公の役者さん、髭面の時の方が若くて男前に見えた。髭を剃るとたるんだ顎など、かなり老けて見える。オーラのない地味な役者さんだけどそのおかげで逆にリアリティがあった。悪役の家族も白人至上主義者みたいで良かった。最初から最後まで心地よい緊張感が漂う作品。
正義は勝…って欲しい
Rotten Tomatoes の評価が高いということで、期待した。
最初からセリフ少なめ。
頭ボサボサ髭ボーボーの色白小太り男がゴミを漁り、浜辺で拾った空き缶やペットボトルで小銭を稼ぎ、穴だらけでボロボロの車(ブルーのポンティアック?)で寝泊まりする。
ホームレスかと思いきやただのホームレスではなさそう。
まだガラケーの時代だが、もちろんそれもなく、読書をして過ごす。
突然現れる警官。
ようやく話がゆっくり動き出す。
あれだけボロいのにエンジンは滑らかという(笑)
小太り男はなぜか次々とうまいこと忍び込んだり、隠れて留守宅に入って服を盗んだり、髭を剃ったり。
1人目の復讐が済んだ後、鍵を落としたことで歯車が若干狂っていったか。
復讐劇だが、両親をどんな風に殺されたかはわからないし、あそこまで恨む心情がいまいちわからない。
もう少しわかるようにして説明も欲しかったかも。
しかし!銃にも慣れていないおとなしい男が、汚い言葉で喚き立てる女や娘(殺人犯の家族)と対峙した時、男を応援する自分がいたのである。
高校の(多分)Year Bookを見て昔の友人を訪ねたり、アルバムを眺めたりするシーンが切ない。
もつべきものは友ですね
孤独ゆえに無敵かと思えば実は守りたい存在がいて、
やりぬく決意を固めたかと思えば土壇場で逡巡して。
こういう曖昧さって映画をつまらなくする短所かと思っていたけど
本作ではなんだか妙なリアルさというか、主人公の実在感につながっていたように思う。
”ひとりで淡々と”しているわけではない復讐劇。
その顛末も含めて、外国の話なのになんだか身近で起きたことのような錯覚をおぼえてしまった。
小心者が行なう復讐
小心者が行なう復讐、殺人という趣でオリジナリティあるしおもしろいと思った。
非常に弱々しい実行力だが、なぜかやめるという選択肢はない。計画性があるようでなくただ憑かれたように復讐を進める。この他に生きる目的を失ってしまっているような状態、これは誰しも短期的には経験があるのではないか。たとえば失恋、受験失敗、親しい人との死別、仕事上の挫折、なんでもいいが心神喪失みたいな状態。これは極端だとして、なぜか共感し理解できてしまうのはそんな人間の心理の部分を丹念に描いているから。
細かい描写にこだわっているのも伝わるし、ストーリーは散々だがちゃんと人を描いていて嫌いではない映画。
何もかもがブルー
両親を殺された男の復讐劇。
チョット眠くなっちゃいましたが、この主人公が どうしてホームレスになってしまったのか…考えると悲しい。
恐らく、復讐する為にコツコツと貯めていたお金。この時を待っていたかの様に、犯人が釈放されたことを知り 即行動に出るが、
自分がしたことを姉に告白し、危害が及ばぬ様に手を打つ主人公は、家族を愛しているんだなと思った。
ただ、釈放された男も 父親をかばっての行動だということと、主人公の父親にも否があった…というのが、ただの復讐劇で終わらなかった所かなと。
主人公のお姉さん役の人、どっかで観たなー???と思ったら「13の理由」のお母さんだ!
作品のリアルさ
もちろん物語も面白かった。
主人公が10年経っても克服できない犯人への怒りが彼の言動や行動ですごく伝わる。引き込まれる復習劇。
それもさることながら実際こんな人が殺しをやろうとするとこんな感じなんだろうなと思うくらいにリアルな作品。
とことんブルーな物語
両親を殺された男の復讐劇というだけでもブルーだが、さらに「ぬれぎぬだと思うよ」という一言からさらにブルーの連鎖へ……
新規性は特にないけれど、観ててブルーになるけれど、家族を大事にしなきゃいけないことを再確認させてくれました。
復讐は復讐を産む
ジャケットだけ見るとちょっとおかしなホームレスが自暴自棄になって仇うちをするってイメージから見る気は無かったけどグリーンルームはさておきこのかんと、今作は評判がとてもよいようで鑑賞してみた。
テーマは復讐なんだけど、復讐するにはこの内気な主人公の弱いこと弱いこと、そこが逆にドキドキ感を生む。
ヒゲをそると精神的に幼い顔立ち、みるからに考えることも拙いので大丈夫かな?この復讐は成功するの?なんてそれが興味の持続に成功してる。
姉や友人との関係性も深くはないようだが友人のキャラはナイス!一回だけのお助けチャンス
いつのまにか復讐から姉を巻き込みたくないと、目的が擦り変わる
全体的にタイトル通りブルーな展開。地味だが佳作だと思う
その男、青き復讐者につき
両親を殺されたホームレス青年の復讐劇。
もっとアクション寄りかと思ったら、淡々と静か。
主人公も復讐に燃えると言うより悲しみ漂い、孤独。
バイオレンス描写は乾いたタッチながら、非常に痛々しい。
主人公が乗る車が青いセダン車だったり、映像が青を強調した色彩設定だったり。
この“ブルー”や作風が何処となく北野作品を彷彿。
復讐と言うと(勝手なイメージで)赤を思い浮かべるが、青を強調した事でより主人公の悲しく孤独な内面を訴える。
シンプルではあるが、ある意味壮絶な物語でもある。
だけど個人的にはちと、最後まで入り混めなかったなぁ…。
やめられない 止まらない!
『グリーン・ルーム』のジェレミー・ソルニエ監督作品で名作との事だったので、早速レンタル。
原題は『Blue ruin』(青の破滅)。リベンジよりもこちらの方がしっくりとくるタイトルの映画だった。何がどうブルーなんだろ、と思っていたけど青を基調とした画面に加え、精神的にもブルーになるというか。
メイコン・ブレア演じる主人公ドワイトが、よくある復讐劇にみられる無我夢中で燃えるタイプでもなければ、戦術等には長けておらずとも緻密に計画し冷静に事を成し遂げるタイプでもなく。全てを奪われ熱意すら持たずにただ復讐しか道がないという面持ちで出所した犯人のもとに向かう姿にノスタルジーを感じた。単なるホームレスだったし喧嘩慣れもしていないので最初の殺しにも手こずり、思い切り負傷するもんだから上手くいってると言えるのかこれ、という緊張感が後を絶たない。この映画はそこが好みだ。
自らが破滅を辿る事を承知の上で始めた筈が途中で事件の真実が異なっていたことを知り、家族が殺害された理由も知る事になる。復讐という細い1本の糸を弱弱しく握りながら歩みを進めていたドワイトが、悩み抜き後悔するでもなく、姉家族に被害が及ぶのを防ぐためにも淡々と「もう止められない、終わらせたい」という思いだけで最後の行動に移るところが最高にブルー。
復讐は無意味であり、否応無しに連鎖を引き起こす。始めてしまえば途中で真実がひっくり返ろうとも止める事など出来ない。虚しさに溢れた復讐劇だが、いつでも返り討ちに合いそうな主人公がどことなく愛おしく、両家が実は持っている家族愛がきちんと描かれている良い脚本だった。
北野武の映画『ソナチネ』を思わせる復讐劇
色彩が凝られており、特に前半部分は、寡黙な主人公と周辺環境に調和が保たれている。青色は随所目に付くので、その現れ方や主人公との関係の変化を観るのも面白いかもしれない。
ご近所さんとの殺し合い!?
乾いた映像と静かに進む物語に印象的なヴァイオレンス描写と全体的にシンプルで余計な演出は入れないオチもユーモアがありバランスも良い。
ペキンパーの「わらの犬」を思わせる家の中での銃撃戦に主人公も基本的には気弱で復讐心も似合わないような優しい男。
どちらが正義でも悪でも被害者でも加害者でも守る者の為にヤラれたらヤリ返す行動にキリがない。
緊張感が静かに終わりまで保たれていて全ての理由である親に振り回されていた彼の最後が例え姉の為であっても空しい。
切ったり刺さったりの応急処置が痛々しくてゾッとするし派手に見せない分、リアルに感じる。
同級生のチョットした助っ人感にキャラも最高。
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