劇場公開日 2016年4月23日

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「楽しみが逆三角形」フィフス・ウェイブ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0楽しみが逆三角形

2022年12月17日
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ヤング・アダルト小説を原作とするSFアクション。「ハンガー・ゲーム」や「メイズ・ランナー」のヒットを受けて映像化が加速している様に思える。アザーズというエイリアンの侵略が描かれており、SFネタでは鉄板中の鉄板だが、売れっ子女優、クロエ・グレース・モレッツ主演というイチオシ要素で期待値はMAXの状態に。
ある日突然それがやって来て、瞬く間に人類の文明が危機的状況を迎えるまでの展開は非常にスリリングで良い。 第1波が電磁パルスによる攻撃であり、通信網全てをダウンさせてしまう。第2波が自然災害による攻撃で、地震と津波であらゆる物を奪っていった。そして第3波が新型ウイルスによるバイオテロ。ここまで約30分未満の出来事である。被災地の描き方が軽めだったりはしたが、混沌とした世界を訴える要素は十分であり、タイトルの「第5の波」がどんな物なのか期待してしまうが、第4からは退屈の波という観客に向けた攻撃が始まってしまう。良くも悪くもヤング・アダルト小説の映像化という物なのだろうが、本作の基本はクロエ演じる主人公がアザーズを交わしながら目的地を目指すという逃避行であり、ドンパチを交わすと言うよりかはドラマに徹している物語となっている。
軍隊が救助に来るという展開から何となく話の筋道が分かってきたが、ヤング・アダルト小説は何故ここまで話が似るのだろう。若い世代が手を結び、世界的な災害を切り抜けようとするというこの手の作品のお決まりのネタになっている。1~2作品程度ならば問題無く観れるだろうが、こうも続いて来るとやや飽きてきてしまう。まぁヤング・アダルト小説と言う位だからその世代が活躍しないと意味が無いのかも知れないが。だが、そもそも地震まで起こせる技術があるにも関わらず、どうしてそんな効率の悪い侵略方法を選んだのかアザーズの司令部に文句を言いたい。派手に登場しておいて地味にやっていくのは侵略者としていかがなものか。このせいで楽しみがだんだん薄れていき、逆三角形の形になってしまったのである。シリーズ展開を予想して製作されたが、評価や興行面の不信から未だに話が進んでいない。そうなると余計に本作の立ち位置が気の毒である。

Mina