「.」フィフス・ウェイブ 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。突如現れた“アザーズ”と呼ばれる侵略者との攻防を描くディザスター・サバイバル。『第9地区('09)』を彷彿させる画からテンポ良く進行するが徐々に失速し、続篇を匂わす締まりの悪いラストで終了。序盤の迫力はどこ吹く風なクライマックスの崩壊シーンもイマヒトツ。魅力的な設定が活かしきれず、尻すぼみな物語。『メイズ・ランナー('14~)』シリーズとは違い、どこでもモテモテの我儘な主人公に白馬に乗った王子様登場と云った都合良過ぎる展開が多く、ステロタイプな青春ものの醜さが際立っていた。45/100点。
・第一の波「暗黒(電磁波で電子機器を狂わせライフラインを寸断)」~第二の波「崩壊(地震と津波)」~第三の波「感染(鳥によりウイルスを拡散)」~第四の波「侵略(人に寄生)」と来て、タイトルにもなってる第五の波とは謂わば「洗脳」と云った処か……無慈悲だった“アザーズ”の攻撃がだんだんショボくなり、展開的に無理がある。このスケールダウンに気付けば、一気に興醒めしてしまう。
・一方的に仕掛けてくる“アザーズ”に対し、状況対応のみしか描かれず、人類側の反撃と云った描写も無く、ラストで受け身に徹した人類に希望が云々と高説を説かれても白けてしまう。続篇への布石か、L.シュレイバー演じるヒールの“ヴォーシュ”大佐、A.ローの“エヴァン・ウォーカー”の消息が不明な儘ラストを迎えてしまうフラストレーションのみが欝積するカタルシスを得られない幕引きだった。
・主演“キャシー・サリヴァン”のC.グレース・モレッツ、随分お姉さんになった印象だが、華奢な下半身に較べ上半身──特に肩から背中にかけての肉付きが気になった。映画として仕方が無いが、だいたい生きるか死ぬかの状況の中、着の身着の儘で飛び出し、最低限の持ち物で彷徨ってる筈(まして高校生役)なのに、ナチュラルメイクがバッチリなシーンが多かったのには、鼻白んでしまった。三度は読んだと云う原作のファンだと云う彼女のキャリアが疵付かない事を願うのみ。
・“リンガー”役のM.モンロー、ガーリッシュなティーン役の『ザ・ゲスト('14)』、どこにでもいそうだった『イット・フォローズ('14)』のヒロイン、『インデペンデンス・デイ: リサージェンス('16)』のパイロットであり、立派な父を持ちキャリアを重ねる高官役と最近、よく眼にする事に気付いた。本作の男勝りでクールな役柄にゴスっぽいメイクも佳かった。尚、原作でこの役は、黒い髪を持つアジア系と設定されている。亦、原作ではM.ベロ演じる“レズニック”軍曹が男性となっている。
・原作では、オハイオ州デイトンが舞台となっているが、大規模なロケの殆どはジョージア州メイコンで行われた。津波のシーンで破壊される都市は、マイアミ、バンコク、ロンドン、ニューヨークであるらしい。
・鑑賞日:2017年1月2日(月・振替休日)