劇場公開日 2016年1月9日

「国民皆保険制度」いしゃ先生 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0国民皆保険制度

2022年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ワンピースなのに「裸」だと噂される周子先生。診療所を開設しても患者はしばらく誰も来なかった。盲腸になっても内科医であるため、隣町まで搬送しなければならず、最初は死亡することが多かった。一番の問題は村人貧困により、医者にかかる金を工面できないこと・・・

 僻地医療の先駆けとなった「仙境のナイチンゲール」と称された志田周子。最初は村長である父親に頼まれて3年間だけ村医になったが、恋人との文通もやがて途絶え、約束の時間にも急患のため結婚を諦める。

 医療ドラマが大流行している昨今。戦前という時代背景で、全く医療機器も不満足なまま、また外科的知識も未熟のまま始めた志田診療所。身体の具合が悪い人を求めて村中を廻るものの「金が無いから」とか、村では呪術的な信仰が根強いため患者は来ない。母親が亡くなり、大家族の主婦の役割も果たし、地道に医療活動を続けるのだった。

 全ての人に医療を受けさせる願い。国民皆保険制度が確立するのは昭和三十六年のことだが、それを見届けるようにして、翌年51歳の若さで亡くなった。肺結核の女の子が看護師として赴任してきたこと(フィクションかもしれない)が嬉しかっただけに泣けてくる。

 誰でも医療を受けられる制度は大切にしなければならない。かつては1割負担だったものが3割負担となり、医療制度はどんどん改悪されていくばかり。天使のような女医さんの願いを無駄にしてはならない。コロナ時代になってから、PCR検査が無償化されるのにもどれだけ時間がかかってるんだか・・・とにかく、悪政から医療を守らなければならないと思った。

kossy